AI専門フリーランスのナオキです。AIを活用した業務効率化やSNS運用のお手伝いをしています。
最近、ChatGPTをはじめとするAIの進化がめざましく、多くの方から「AIってすごいですね」という声をいただく一方で、「このままでは自分の仕事がAIに奪われてしまうのではないか」という不安の声もよく耳にします。特に、ご自身のビジネスを一身に背負っている個人事業主の方や、従業員の生活を守る中小企業の経営者の皆さんにとっては、切実な問題ですよね。
果たして、AIは私たちの仕事を本当に奪ってしまうのでしょうか。今回は、ChatGPTを開発したOpenAI社のCEOであるサム・アルトマン氏の見解を紐解きながら、これからの時代の働き方について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
OpenAIのCEO、サム・アルトマン氏が予測する未来
まず、AI開発の最前線にいるサム・アルトマン氏が、AIと雇用の関係をどう見ているのかをご紹介します。彼は、AIが社会に与える影響について、決して楽観的なことばかりを言っているわけではありません。
彼は「確かに一部の仕事はなくなるだろう」と正直に認めています。AIが得意とする、単純なデータ入力や定型的な文章の作成、決まったパターンの情報収集といった作業は、今後ますますAIに置き換わっていく可能性が高いでしょう。
しかし、彼の言葉で本当に重要なのはその次です。「しかし、多くの仕事は形を変え、新たなカテゴリーの仕事が生まれるだろう」と彼は予測しています。これは、AIが仕事をゼロにするのではなく、仕事の「あり方」を変えるという見方です。
なくなる仕事ではなく「変化する仕事」
「仕事がなくなる」と聞くと、自分の職業そのものが消えてしまうようなイメージを持つかもしれません。しかし、アルトマン氏の言う「仕事が形を変える」とは、どういうことでしょうか。
これは、一つの職業に含まれる様々な「タスク（作業）」のうち、一部がAIに代替される、と考えると分かりやすいかもしれません。
例えば、経理の仕事について考えてみましょう。これまでは、領収書を見ながら一枚一枚手で仕訳入力する作業に多くの時間が割かれていたかもしれません。この部分は、AIを使えば自動化できる可能性が高いです。では、経理担当者の仕事はなくなるのでしょうか。いえ、むしろ逆です。入力作業から解放された時間を使って、AIが集計したデータを分析し、「どの経費が増えているのか」「どこに無駄があるのか」といった、経営改善に繋がる提案をすることに集中できるようになります。つまり、より創造的で、付加価値の高い仕事へとシフトしていくのです。
これはデザイナーやライターといったクリエイティブな職種でも同じです。AIにデザインのラフ案を何十パターンも作ってもらったり、記事の構成案を出してもらったりすることで、アイデア出しの時間を大幅に短縮できます。そして、人間は最終的なコンセプトを固め、クライアントの細かなニュアンスを汲み取り、心を動かす表現を追求するといった、最も重要な部分に時間とエネルギーを注げるようになります。
そして「生まれる新しい仕事」
さらに、アルトマン氏は「新たなカテゴリーの仕事が生まれる」とも言っています。これは、今私たちが想像もしていないような新しい職業が登場する可能性を示唆しています。
最近では、AIに的確な指示を出して望む答えを引き出す専門家として「プロンプトエンジニア」という職業が注目されています。ほんの数年前には存在しなかった仕事です。私自身が行っている「AI導入コンサルタント」という仕事も、AIの進化がなければ成り立ちませんでした。
これからは、AIが生成したコンテンツの事実確認や品質管理を行う「AIコンテンツ監修者」や、企業倫理に合わせてAIの言動を調整する「AI倫理チューナー」といった仕事も増えてくるかもしれません。
歴史は繰り返す？過去の技術革新が教えてくれること
こうした変化に対して不安を感じるかもしれませんが、アルトマン氏は「過去の技術革新で見られたパターンと類似するだろう」と説明しています。歴史を振り返ってみると、私たちは同じような変化を何度も経験してきました。
例えば、自動車が登場したとき、多くの馬車の御者は仕事を失いました。しかし、その一方でタクシーやバスの運転手、自動車整備士、自動車工場の従業員、道路を建設する人など、馬車しかなかった時代には考えられなかった、はるかに多くの新しい仕事が生まれました。
インターネットの登場も同じです。紙媒体の広告や情報誌の仕事は一部減ったかもしれませんが、ウェブデザイナー、デジタルマーケター、SNS運用担当者、ユーチューバーといった、全く新しい職業が数多く生まれ、今や大きな産業になっています。
このように、新しい技術は一部の古い仕事を淘汰する一方で、社会全体としてはより多くの、そしてより豊かな仕事を生み出してきたのです。AIも、この歴史的なパターンを繰り返す可能性が非常に高いと考えられます。
私たちが今からできること
では、このような大きな変化の波の中で、私たち個人事業主や中小企業の経営者は、具体的に何をすればよいのでしょうか。未来をただ待つのではなく、積極的に未来を創る側になるために、今からできることが三つあります。
まずはAIに触れてみることから
何よりも大切なのは、AIを実際に使ってみることです。「百聞は一見にしかず」です。ChatGPTや画像生成AIなど、無料で使えるツールもたくさんあります。まずは遊び感覚でいいので、色々と試してみてください。
その際に、「自分の仕事のどの部分をAIに手伝ってもらえそうか？」という視点で触れてみると、新しい発見があるはずです。私自身も、このブログ記事の構成案を考えるときにAIとブレインストーミングしたり、お客様へのメールの丁寧な言い回しを相談したりと、日常業務の様々な場面でAIを活用しています。
AIを「アシスタント」として捉える
AIを、自分の仕事を奪う「ライバル」や「敵」と考えるのではなく、自分専用の超優秀な「アシスタント」や「新人スタッフ」だと考えてみてください。
もし、あなたのビジネスに、文句も言わず疲れも知らずに働く優秀なアシスタントが加わったら、どんな仕事を任せたいですか。面倒な事務作業でしょうか。それとも、新しい企画のアイデア出しでしょうか。AIに何をさせるかを考える、つまり「的確な指示を出すスキル」や「本質的な問いを立てるスキル」が、これからの時代にはますます重要になります。
変化を恐れず、学び続ける姿勢
確実なのは、技術の進化はこれからも止まらないということです。だからこそ、私たち自身も学び、変化し続ける必要があります。AIに関するニュースをチェックしたり、使い方を解説した動画を見たりするだけでも構いません。変化を恐れるのではなく、新しいツールをどう使いこなして自分のビジネスを成長させるか、という前向きな姿勢が大切です。
もちろん、お一人で情報収集や活用方法を考えるのが難しいと感じることもあるでしょう。そのような時は、セミナーに参加したり、私のような専門家に気軽に相談したりするのも一つの有効な手段です。
まとめ
今回は、サム・アルトマン氏の言葉を手がかりに、AIと雇用の未来について考えてきました。AIによって、いくつかの仕事のやり方は変わるでしょう。しかし、それは私たちの仕事がなくなることを意味するのではありません。むしろ、面倒な作業から解放され、より人間らしい、創造的な仕事に集中できるようになる大きなチャンスです。
過去の技術革新がそうであったように、AIは脅威ではなく、私たちのビジネスを加速させる強力なパートナーになり得ます。大切なのは、今からAIに触れ、学び始め、来るべき未来に備えることです。
この記事が、皆さんがAIとの付き合い方を考える上での一つのヒントになれば幸いです。これからも、皆さんのビジネスに役立つAI情報をお届けしていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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