こんにちは、AI活用コンサルタントのナオキです。
個人事業主の方や中小企業の経営者の皆さんとお話していると、「AIって便利そうだけど、なんだか難しそう」「プログラミングの知識がないと使いこなせないのでは?」という声をよく耳にします。確かに、少し前まではAIをビジネスに導入するには専門的な知識や技術が必要不可欠でした。
しかし、その常識が大きく変わるかもしれない、とても素晴らしいニュースが飛び込んできました。今回は、Googleが発表した新しい実験的ツール「Opal」について、皆さんのビジネスにどう役立つのか、分かりやすく解説していきたいと思います。
Googleが発表した「Opal」とは?
今回ご紹介する「Opal」は、一言でいうと「自然言語、つまり私たちが普段使っている言葉だけで、AIを使った小さなアプリ(AIミニアプリ)を作れてしまう」という画期的なツールです。
「AIミニアプリ」と聞くと少し難しく感じるかもしれませんが、要は「特定の作業を自動でこなしてくれる小さなプログラム」のことです。例えば、「ウェブサイトの記事を要約して、SNS投稿用の文章を3パターン作って」とか、「お客様からの問い合わせメールの内容を判断して、緊急度を付けて担当者に知らせて」といった、一つ一つの具体的なお願いを形にできるものだと考えてください。
これまでは、こうした仕組みを作るにはプログラマーに依頼したり、複雑なツールを学んだりする必要がありました。しかしOpalは、その壁を取り払ってくれる可能性を秘めているのです。
Opalがビジネスを変えるかもしれない3つの理由
では、Opalの何がそんなにすごいのでしょうか。特に注目すべきポイントを3つに絞ってご紹介します。
理由1:プログラミングの知識が一切不要
最大の特長は、なんといっても「コードを一行も書かずに」AIアプリを開発できる点です。
皆さんは、パワーポイントで図形を線でつなげてフローチャートを作った経験はありませんか。Opalの操作感は、それに近いものがあります。画面上で「これをやったら、次にこれをやる」という指示を、ブロックを並べたり繋いだりするような直感的な操作で組み立てていくことができます。
例えば、「毎朝届く業界ニュースのメールマガジンを読み込む」というブロックに、「その内容をAIで要約する」というブロックを繋ぎ、さらに「要約結果をチャットツールに通知する」というブロックを繋げる。こんな一連の作業(ワークフロー)を、視覚的に構築できるのです。
これにより、これまで専門家でなければ難しかった業務の自動化や効率化のアイデアを、経営者や現場の担当者自らが形にできるようになります。
理由2:AIと「会話」しながら修正できる
Opalのもう一つの面白い点は、一度作ったAIミニアプリを、まるでアシスタントに指示を出すように「対話形式」で修正できることです。
例えば、先ほどのニュース要約アプリを使ってみて、「うーん、ちょっと要約が長すぎるな」と感じたとします。そんな時、Opalに対して「もっと要約を短くして。箇条書きで3点にまとめて」とチャットで話しかけるように指示するだけで、アプリの動きを調整できてしまうのです。
「もう少し丁寧な言葉遣いで顧客への返信案を作って」とか、「分析結果にグラフも追加して」といった、細かなニュアンスの調整も言葉で伝えられるようになります。
これは、トライアンドエラーを繰り返しながら、より精度の高い、自社の業務にフィットしたツールへと育てていくプロセスを、非常に簡単にしてくれます。まるで優秀な新入社員を指導しながら、一緒に成長していくような感覚かもしれませんね。
理由3:豊富なテンプレートでアイデアがなくても安心
「自動化と言われても、何から手をつけていいか分からない」という方も多いと思います。ご安心ください。Opalには、すぐに使える豊富なテンプレートが用意されています。
例えば、以下のようなテンプレートが考えられます。
- SNS投稿文の自動生成
- 会議の議事録の要約とタスクリストの作成
- 市場調査レポートの作成
- 顧客からのフィードバックの感情分析
まずはこれらのテンプレートを試してみて、「なるほど、こんなことができるのか」と体感するところから始められます。そして、そのテンプレートを少しだけ自分たちの業務に合わせてカスタマイズしていくことで、無理なくAI活用への第一歩を踏み出すことができるでしょう。
広がる活用の可能性
Opalが普及すれば、私たちの働き方は大きく変わるかもしれません。
例えば、あなたがカフェのオーナーだとします。お客様からのレビューをチェックし、返信を考え、SNSで新メニューの告知をする、といった作業がありますよね。Opalを使えば、「各レビューサイトから新しい口コミを自動で収集し、ポジティブな内容かネガティブな内容かを分類。返信文のたたき台を作成して、自分に通知する」といったミニアプリが作れるかもしれません。
また、新しいサービスのアイデアが浮かんだ時に、そのアイデアを検証するための簡単な試作品(プロトタイプ)をすぐに作って、実際に動かしてみる、といった使い方も可能です。
日々の面倒なルーティンワークをAIに任せることで、私たちはもっと人間にしかできない創造的な仕事や、お客様と向き合う時間、新しい戦略を考える時間などに集中できるようになるのです。
皆さんのビジネスでは、どんな作業を自動化してみたいですか。ぜひ一度、想像してみてください。
ただし、知っておきたい注意点も
ここまで良いことばかりをお伝えしてきましたが、一つ重要な注意点があります。Opalはまだ実験的なツールであり、現時点では米国のみでテスト提供が開始された段階です。残念ながら、まだ日本で私たちがすぐに使えるわけではありません。
しかし、がっかりする必要はありません。このようなツールが登場したという事実そのものが、今後の大きな流れを示唆しています。AI活用は、もはや一部の専門家だけのものではなく、誰もがアイデア次第で使いこなせる時代へと向かっているのです。
日本でのサービス開始が待たれるところですが、私たちは今から準備を始めることができます。それは、「自社の業務の中で、どんなことが自動化できそうか」「どんな作業に時間がかかっているか」を洗い出し、整理しておくことです。いざOpalのようなツールが使えるようになった時に、スムーズにスタートダッシュを切れるように、今から自社の業務を見直しておく絶好の機会と捉えることもできるでしょう。
まとめ
今回は、Googleの新しい実験ツール「Opal」についてご紹介しました。
プログラミング不要で、対話形式でAIミニアプリを開発できるOpalは、AI活用のハードルを劇的に下げ、私たち一人ひとりがビジネスの課題を自らの手で解決していく未来を予感させます。
日本での展開はまだ先ですが、こうした世界の最新動向を知っておくことは、今後のビジネス戦略を考える上で非常に重要です。
これからも、皆さんのビジネスを加速させるAIの最新情報や活用術を、分かりやすく発信していきます。また次回の記事でお会いしましょう。AIコンサルタントのナオキでした。
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