こんにちは、AI活用の専門家ナオキです。フリーランスとして、個人事業主の方や中小企業の皆さまの業務効率化やSNS運用のお手伝いをしています。
最近、AIの進化のスピードには本当に驚かされますよね。ほんの数年前には考えられなかったようなことが、次々と実現しています。皆さんのビジネスの現場でも、AIの話題を耳にする機会が増えたのではないでしょうか。
そんな中、先日、セールスフォースの元共同CEOであり、ChatGPTの生みの親であるOpenAIの役員も務めたブレット・テイラー氏が、現在のAIについて非常に興味深い発言をしました。今回は彼の言葉を手がかりに、AIがもたらす未来の働き方について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
もうAGIは達成済み?元CEOが語るAIの現在地
皆さんは「AGI」という言葉を聞いたことがありますか。これは「汎用人工知能」の略で、簡単に言えば「人間と同じように、様々な種類の課題を自分で考えて理解し、解決できる知能」のことを指します。これまでのAIは、特定の作業は得意でも、未知の課題に対応するのは苦手でした。AGIは、そんなAIの最終目標の一つとされてきた存在です。
ところが、テイラー氏は「今のAIはすでに非常に知能が高いと感じられ、3年前に設定したAGIの基準を超えている」と述べたのです。
これは衝撃的な発言ですよね。私たちがまだ「未来の技術」だと思っていたものが、専門家の目から見れば「すでに達成されている」というのですから。
確かに、今のAIの能力を考えると、彼の言葉にも頷ける部分があります。例えば、私がこのブログ記事を書く際にも、AIに「こんなテーマで読者層はこれで、こんな雰囲気の記事を書きたいんだけど、面白い構成案をいくつか提案して」とお願いすることがあります。すると、AIはまるで優秀な編集者のように、的確な切り口の構成案を複数提示してくれます。これは単なる情報検索ではなく、文脈を理解し、創造的な提案をするという、かなり高度な知的作業です。
皆さんも、AIに企画書の下書きを作らせたり、顧客へのメール文案を考えさせたりした経験はありませんか。その賢さに、「もしかして、自分より仕事ができるかも」と感じた瞬間があったかもしれません。テイラー氏が言うように、3年前に私たちが想像していた「賢いAI」の姿は、もう目の前にあるのかもしれませんね。
エンジニアが自らの仕事をAIに置き換える時代
さらにテイラー氏は、ソフトウェア業界が「自らを解体する時代」に突入した、と指摘しています。これは一体どういうことでしょうか。
彼は、エンジニアが自身の仕事、つまりプログラムコードを書くという作業を、AIを使って直接置き換えている現状を説明しました。これは、AIによって仕事が奪われるという単純な話ではありません。むしろ、エンジニアが自らの生産性を飛躍的に高めるために、積極的にAIを道具として活用している、という方が実態に近いでしょう。
「自らを解体する」とはどういうことか
少し前までエンジニアの仕事は、一行一行、丹念にコードを書き上げていく、職人的な作業の積み重ねでした。しかし今、GitHub CopilotのようなAIコーディング支援ツールを使えば、「こんな機能を作りたい」とコメントを書くだけで、AIが適切なコードを瞬時に提案してくれます。
これにより、エンジニアは単純なコーディング作業から解放され、より本質的な「どんな課題を解決するのか」「そのためにどんな仕組み(アーキテクチャ)を設計するべきか」といった、創造性が求められる仕事に集中できるようになりました。
つまり、「ソフトウェア開発」という仕事のプロセスそのものが、AIによって再構築(解体)され、より効率的で高度なものへと進化しているのです。これは、私たちのようなビジネスパーソンにとっても他人事ではありません。定型的な事務作業やデータ入力などをAIに任せることで、私たちはもっとお客様との対話や新しいサービスの企画といった、人間にしかできない価値ある仕事に時間を使えるようになるのです。
これからの時代に活躍する「10倍エンジニア」の新しい条件
テイラー氏は、こうした変化の中で、将来の「10倍生産性エンジニア」、つまり一人の力で十人分の成果を出すような優秀な人材には、全く新しいスキルセットが求められるだろう、と語っています。
これまでの優秀なエンジニアは、多くのプログラミング言語に精通していたり、複雑なアルゴリズムを組むのが得意だったりしました。もちろん、そうした基礎的な能力が不要になるわけではありません。しかし、これからの時代に本当に価値を持つのは、少し違う能力になってくるようです。
求められるのは「AIを使いこなす力」
未来の「10倍エンジニア」に求められる新しいスキルセットとは、ずばり「AIをいかにうまく使いこなすか」という能力です。具体的には、以下のような力が重要になるでしょう。
一つは、AIに的確な指示を与える力です。AIは非常に賢いですが、魔法の杖ではありません。私たちが何をしたいのか、どんな成果物が欲しいのかを、具体的で分かりやすい言葉で伝えなければ、期待した答えは返ってきません。これは、優秀な部下に仕事を任せるスキルにも似ていますね。
もう一つは、AIが生み出したものを評価し、見極める力です。AIは時々、もっともらしい嘘をついたり、間違った情報を生成したりすることがあります。AIの提案を鵜呑みにせず、それが本当に正しいのか、品質は十分かを見極める専門的な目が必要不可欠です。
そして最も重要なのが、AIという強力なツールを組み合わせて、新しい価値やサービスを生み出す構想力です。コーディングという「手段」をAIに任せられるようになったからこそ、「目的」であるビジネスの課題解決や、新しいアイデアの創出といった部分で、人間の力がより一層問われるようになります。
これは、私たち個人事業主や経営者にもそのまま当てはまります。AIという優秀なアシスタントをどう動かし、その能力をどう自分のビジネスに組み込んでいくか。その構想力こそが、今後のビジネスの成長を左右する鍵となるでしょう。
ゴールは常に先にある AIと共に進化し続ける私たち
最後に、テイラー氏はこのように話を結びました。
「私たちはただ、基準線を後ろにずらし続けているだけだ」
この言葉は、非常に示唆に富んでいます。彼が言うように、私たちが「AGI(汎用人工知能)」と呼ぶものの定義や基準は、技術が進化するたびに、どんどん更新され、より高いレベルへと移動していくのかもしれません。
かつては、電卓が驚異的な計算能力を持つ機械でした。チェスで世界チャンピオンに勝つAIが登場した時は、世界中が衝撃を受けました。しかし今、それらは当たり前の技術になっています。私たちは、AIが何かを達成するたびに、無意識のうちにゴールの基準を引き上げ、「いや、本当の知能とはもっとすごいもののはずだ」と考え続けているのです。
これは、決して悲観的な話ではありません。むしろ、人間の飽くなき探求心と、常に上を目指し続ける成長意欲の表れだと私は思います。
AIの急速な進化に、不安を感じる方もいるかもしれません。しかし、恐れる必要はありません。これは、私たちの能力を拡張してくれる、新しい強力な道具が登場したということです。この変化の波をチャンスと捉え、AIを学び、試してみる。そんな前向きな姿勢こそが、これからの時代を生き抜く上で最も大切なことではないでしょうか。
AIと共に、私たち自身も学び、成長し、ビジネスの「基準線」をどんどん後ろにずらしていく。そんな未来を、皆さんと一緒に作っていけたら嬉しく思います。
AIを活用した業務効率化や集客について、何かお困りのことがあれば、いつでもお気軽にご相談くださいね。
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