AIを活用してビジネス支援を行っているフリーランスのナオキです。
日頃からAIの進化にはアンテナを張っていますが、最近のスピード感には本当に驚かされるばかりです。特に、文章や画像だけでなく、音楽といったクリエイティブな領域でのAIの活躍は、私たちのビジネスの可能性を大きく広げてくれています。
さて、今日はそんなAI業界、特に「音楽生成AI」の分野に激震が走るかもしれない、非常に大きなニュースをお届けします。
これまで音楽生成AIといえば、誰でも簡単にハイクオリティな曲を作れる「Suno AI」が圧倒的な存在感を放っていました。私のクライアントである個人事業主の方や中小企業の経営者様の中にも、SNS投稿や短い動画のBGMとして活用されている方がたくさんいらっしゃいます。
しかし、そのSuno AIの独走状態が、いよいよ終わりを告げるかもしれません。
音声AIの巨人、ElevenLabsが音楽生成に参入
今回、音楽生成AIの市場に新たに参入を表明したのは「ElevenLabs」という企業です。もしかしたら、この名前を聞いてピンと来た方もいらっしゃるかもしれません。
そうです、ElevenLabsはこれまで、まるで人間が話しているかのような、非常にリアルな「AI音声」を生成する技術で世界的に有名だった企業です。私自身も、動画のナレーション作成などでそのサービスを利用していますが、その品質の高さにはいつも舌を巻いています。
そんな音声合成のプロフェッショナルであるElevenLabsが、満を持して音楽生成の分野に足を踏み入れたのです。これは、単なる新サービスの登場というレベルの話ではありません。AI業界の勢力図を塗り替える可能性を秘めた、大きな出来事と言えるでしょう。
ElevenLabsが目指す「最高レベル」の音楽体験とは
ElevenLabsが発表した新しい音楽生成モデルは、ただ曲を作るだけではありません。彼らが目指しているのは「最高レベルのAI音楽生成モデル」です。具体的にどのようなことができるのか、少し噛み砕いて見ていきましょう。
まず一つ目は、ジャンルやスタイル、そして曲の構成まで、非常に細かくコントロールできる点です。
例えば、「八十年代の日本のポップス風で、少し切ない雰囲気のサビから始まる曲」といった、かなり具体的なリクエストにも応えられるようになるようです。Suno AIでも素晴らしい曲が作れましたが、時には「サビは良いけど、Aメロがイメージと違う」といったこともありました。ElevenLabsのモデルでは、Aメロ、Bメロ、サビといった曲の展開をより意図通りに組み立てられるようになるかもしれません。
さらに、生成された音楽のサウンドや歌詞を、後から自由に編集できる機能も搭載されるとのこと。これは、クリエイターにとって非常に強力な武器になります。思い通りのメロディーラインはできたけれど、歌詞の一部分だけ修正したい、といった細かい調整が可能になるのです。
Suno AI vs ElevenLabs、勝負の分かれ目は「商用利用」?
さて、ここからが特にビジネスでAI活用を考えているあなたにとって、最も重要なポイントかもしれません。新しい挑戦者であるElevenLabsは、既存の王者Suno AIとどこで差別化を図ろうとしているのでしょうか。
その最大の武器は「商用利用のしやすさ」にあると私は見ています。
Suno AIは、誰でも手軽に音楽を作れるという革命を起こしました。その功績は計り知れません。しかし、ビジネスで利用するとなると、そのライセンス体系や権利関係について、少し不安を感じていた方も少なくないのではないでしょうか。「この曲、本当に自社の広告動画に使って大丈夫なのだろうか?」と。
一方で、ElevenLabsは今回の音楽生成モデルを、ただ自社だけで開発しているのではありません。なんと、音楽レーベルや出版社、そして独立系のアーティストたちと協力して制作を進めているというのです。
これが何を意味するか、お分かりでしょうか。
つまり、最初から権利関係がクリアな、安心してビジネスに使える楽曲を生み出すことを目指しているということです。これにより、企業のプロモーションビデオ、YouTubeチャンネルで収益化を目指す際のBGM、店舗で流すオリジナルの環境音楽など、これまで著作権の問題で二の足を踏んでいたような用途にも、堂々とAI生成音楽を活用できる道が大きく開かれる可能性があります。
これは、私たち個人事業主や中小企業にとって、まさにゲームチェンジャーとなり得るのではないでしょうか。
実際に聴いてみた!ElevenLabsの実力は本物か?
もちろん、私も早速ElevenLabsが公式サイトで公開しているデモ音源をいくつか聴いてみました。
その感想は、正直なところ「驚き」の一言です。音の一つ一つの質感が非常に高く、ボーカルの感情表現も豊かで、これが本当にAIによって生成されたものなのかと、思わず耳を疑ってしまいました。Suno AIが持つ、アイデアを瞬時に形にする爆発力とはまた少し違う、じっくりと作り込まれたプロの仕事のような印象を受けました。
例えるなら、Suno AIが「閃きと勢いで名曲を生み出す天才シンガーソングライター」だとすれば、ElevenLabsは「最高の機材と技術で完璧な音を追求する熟練のスタジオミュージシャン」といったところでしょうか。どちらが良い悪いという話ではなく、それぞれに異なる強みと魅力があると感じます。
AI音楽生成の未来と、私たちがすべきこと
では、「Suno AIの時代はもう終わり」なのでしょうか。
私は、そう結論づけるのはまだ早いと考えています。むしろ、強力なライバルの登場によって競争が生まれ、両者が互いに切磋琢磨することで、AI音楽生成の技術はさらに進化していくはずです。私たちユーザーにとっては、選択肢が増え、よりクオリティの高いサービスを享受できるという、非常に喜ばしい状況が訪れるでしょう。
確かなことは、低コストか無料で、自社のためのオリジナル楽曲を、しかも商用利用可能な形で手に入れられる時代が本格的に到来したということです。これは、あなたのビジネスに新しい価値と魅力を加える大きなチャンスです。
論より証拠、という言葉もあります。まずはぜひ、あなた自身の耳でElevenLabsが作り出す音楽を体験してみてください。公式サイトでデモ音源が公開されています。そのサウンドを聴きながら、「自分のビジネスだったら、どんな音楽が合うだろうか?」と考えてみるだけでも、きっと新しいアイデアが湧いてくるはずです。
これからも、皆さんのビジネスに役立つ最新のAI情報をお届けしていきます。それではまた!
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