AIを活用したビジネスコンサルタントのナオキです。
いつもは業務効率化やSNS運用といった、すぐに使えるAI活用術についてお話ししていますが、今回は少し視点を上げて、AIが創り出す未来について、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
先日、ChatGPTを開発したOpenAIのCEO、サムアルトマン氏が非常に興味深いブログ記事を公開しました。タイトルは「豊かな知能」。この記事で語られたAIの未来構想は、まさにSF映画の世界が現実になるような、壮大なビジョンでした。
「そんな先の未来の話は、うちの会社には関係ないよ」と思われるかもしれません。しかし、この大きな流れを知っておくことは、これからのビジネスの舵取りにおいて、間違いなく重要な羅針盤となるはずです。少しだけ、未来への旅にお付き合いください。
AIが当たり前になる世界「豊かな知能」とは?
アルトマン氏が提唱する「豊かな知能」とは、一体どのような世界なのでしょうか。
まるで電気や水道のように「知能」が使える時代
一言でいうと、これは「知能が非常に安価で、豊富に手に入るようになる」という考え方です。
少し歴史を振り返ってみましょう。かつて電気は非常に高価で、一部の人しか使えない貴重なものでした。しかし、技術革新によって安価で安定的に供給されるようになり、私たちの生活は一変しました。今や電気のない暮らしは考えられませんよね。
アルトマン氏は、AIによる「知能」もこれと同じ道を辿ると考えているのです。現在、高度なAIを利用するには専門的な知識やコストがかかりますが、将来的には誰もが、まるで電気や水道の蛇口をひねるように、必要な時に必要なだけ高度な知能を安価に利用できるようになる。そんな未来がすぐそこまで来ている、というのです。
あなたのビジネスに「超優秀な相談役」がいたら?
この「豊かな知能」の時代が訪れると、私たちのビジネスはどう変わるでしょうか。
例えば、あなたが新しい事業計画を立てているとします。通常であれば、市場調査会社に依頼したり、コンサルタントに相談したりと、時間も費用もかかります。
しかし、「豊かな知能」が当たり前になれば、AIアシスタントに「30代女性向けの新しいオンラインサービスを始めたいんだけど、市場の分析と事業計画の叩き台を作って」と頼むだけで、瞬時に専門家顔負けの分析レポートや具体的なプランが手に入るかもしれません。
まるで、各分野の超優秀な専門家チームを、いつでも格安で雇えるようなものです。そう考えると、個人事業主や中小企業にとって、これほど心強い味方はいないのではないでしょうか。これまで大企業にしかできなかったような高度な戦略立案やデータ分析が、誰にでも可能になるのです。
がん治療からビジネス課題まで。AIが拓く可能性
アルトマン氏はブログの中で、AIが人類規模の困難な課題を解決する可能性にも言及しています。その一つとして挙げられたのが「がんの治療法発見」です。
これは決して夢物語ではありません。AIは人間には到底処理しきれない、膨大な量の医学論文や臨床データを瞬時に解析し、これまで誰も気づかなかった治療法のヒントを見つけ出す可能性があります。
鍵を握る「莫大な計算能力」
では、なぜAIにそんなことができるのでしょうか。その鍵を握るのが「計算能力」です。
計算能力とは、簡単に言えばAIを動かすためのコンピューターのパワーのこと。このパワーが大きければ大きいほど、AIはより複雑で高度な思考や分析ができるようになります。がん治療法の発見のような壮大な目標を達成するには、現在のレベルをはるかに超える、とてつもない計算能力が必要になるのです。
これは私たちのビジネスにも置き換えられます。例えば、お客様の購買データを分析して次のヒット商品を予測したり、SNSの膨大な投稿から自社製品の評判を分析したりする際も、AIの計算能力が非常に役立ちます。AIのパワーが上がれば、これまで見えなかったビジネスチャンスを発見できる可能性も高まるのです。
OpenAIが挑む「現代のアポロ計画」
そして、この莫大な計算能力を生み出すために、OpenAIは驚くべき計画を進めようとしています。
知能を生み出す「巨大工場」の建設
アルトマン氏が明かしたのは、毎週1ギガワット規模のAIインフラ、つまりAIを動かすための巨大なデータセンターを建設する「工場」のようなシステムを構築するという構想です。
1ギガワットと聞いてもピンとこないかもしれませんが、これは大規模な原子力発電所1基分に相当するほどの、とてつもないエネルギー量です。そんな巨大な施設を、毎週のように作り出していくというのですから、そのスケールの大きさに圧倒されます。
アルトマン氏は、この挑戦を「現代のアポロ計画」と表現しました。かつて人類が国を挙げて月を目指したように、これは単なる一企業の技術開発ではなく、人類の未来をかけて「知能そのもの」を大規模に生み出すという、壮大な挑戦なのです。
もしこの計画が実現すれば、AIの能力は飛躍的に向上し、先ほどお話しした「豊かな知能」の時代が一気に現実味を帯びてくるでしょう。
私たち経営者は、この未来にどう備えるべきか
さて、ここまで壮大な未来の話をしてきましたが、最後に、私たち個人事業主や中小企業の経営者は、この大きな変化の波にどう向き合っていけば良いのでしょうか。
もちろん、「現代のアポロ計画」のような話は、すぐに私たちの日々の業務に直結するわけではありません。しかし、重要なのは「知能が安価で豊富になる」という大きな方向性を理解し、今から準備を始めることです。
まずは「小さな一歩」から始めよう
私がいつもお伝えしているのは、「まずはAIに触れてみること」の重要性です。
例えば、
・ブログ記事やSNS投稿の文章をAIに手伝ってもらう
・会議の議事録をAIで要約する
・メールの返信文をAIに作成してもらう
このような小さな業務効率化からで構いません。大切なのは、AIを「よくわからない魔法の箱」ではなく、「便利なビジネスパートナー」として捉え、使いこなす感覚を養っていくことです。
AIの進化のスピードは、私たちの想像をはるかに超えています。今日できなかったことが、明日には当たり前にできるようになっているかもしれません。この流れに乗り遅れないことこそが、これからの時代を生き抜くための最も重要なスキルの一つだと私は考えています。
OpenAIが描く未来は、もはや遠い未来の話ではありません。その未来は、すでに始まっています。まずはあなたのビジネスの「ちょっとした面倒」をAIに任せてみることから、未来への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
これからも、皆さんのビジネスに役立つAIの最新情報や活用術をお届けしていきますので、ぜひご期待ください。