AI活用コンサルタントのナオキです。フリーランスとして、中小企業や個人事業主がAIを使って業務を効率化する手伝いをしています。
さて、皆さんは普段、インターネットで何かを調べるとき、どのように検索していますか。多くの方が検索窓にキーワードを打ち込んでいるのではないでしょうか。これまで、ネットショップを運営する上で最も重要だったのは、このキーワード検索で上位に表示されるための「SEO対策」でした。
しかし、その常識が今、大きく変わろうとしています。AI、特にChatGPTのような文章や画像を生成するAIが、私たちの情報収集のスタイルを根本から変えつつあるのです。そして、この変化の波に乗るために欠かせない新しい考え方が、今回お話しする「GEO」です。
今回は、なぜ今GEOが重要なのか、そしてあなたのネットショップで今日から何を始めるべきかを解説いたします。
検索の世界に起きている地殻変動
まずは、これまでとこれからで検索がどう変わるのか、その大きな違いから見ていきましょう。
SEOが主役だった時代
これまでネットショップの集客といえば、SEO、つまり「検索エンジン最適化」が中心でした。例えば、あなたが「オーガニックコットン タオル」を販売しているとします。その場合、「オーガニックコットン タオル」「肌に優しい タオル」といったキーワードで検索されたときに、自社のサイトが検索結果の最初のページに表示されるよう、様々な工夫を凝らしてきたはずです。
ブログ記事を書いたり、サイトの構造を整えたり、多くの時間と労力をかけてきたことでしょう。この努力は、検索エンジンという機械に「この記事はユーザーの役に立つ良い情報ですよ」とアピールするためのものでした。
生成AIが検索の主役になる未来
ところが、生成AIの登場で状況は一変しました。特に、ChatGPTに商品検索機能が追加されたことは、大きな転換点と言えます。
これからのユーザーは、キーワードを打ち込むのではなく、AIと「会話」するようになります。例えば、こんな感じです。
「もうすぐ友人の出産祝いを探しているんだけど、予算一万円くらいで、赤ちゃんの肌に優しいオーガニック素材のベビー用品って何かおすすめあるかな。ラッピングも可愛いお店がいいな。」
これに対して、AIはインターネット上の膨大な情報の中から、条件にぴったり合う商品をいくつか選び出し、「こちらのショップのベビーバスローブはいかがでしょうか。口コミでも肌触りが良いと評判で、ギフトラッピングも素敵ですよ」といった形で、具体的な商品を提案してくれるのです。
キーワードを探す手間がなく、まるで親しい友人に相談するように、欲しいものが見つかる。これは、従来の検索とは全く異なる、新しい買い物の体験です。この変化は、お店を運営する私たちにとっても、無視できない大きな波なのです。
新しい検索「GEO」とは?
この新しい検索の時代に対応するための考え方が「GEO(Generative Engine Optimization)」、日本語で言えば「生成AI向け検索最適化」です。
少し難しく聞こえるかもしれませんが、要は「AIに、うちの商品やサービスをうまく見つけてもらい、お客様におすすめしてもらうための工夫」のことです。
SEOが検索エンジンという「機械」を相手にしていたのに対し、GEOは対話をしてくれる「AI」を相手にします。AIは単にキーワードが一致するかどうかだけでなく、文章の文脈や背景、ユーザーの意図まで汲み取って答えを生成します。だからこそ、私たちもAIに情報を伝える方法を変えていく必要があるのです。
AIに愛されるネットショップになるための第一歩
では、具体的に私たちは何をすれば良いのでしょうか。ここでは、今日からでも始められるGEO対策の基本的な考え方を3つご紹介します。
商品情報の「深さ」と「正確さ」を徹底する
AIは、あなたのネットショップに書かれている情報を学習データとして読み込みます。だからこそ、商品ページに掲載する情報の質がこれまで以上に重要になります。
ただ単に「軽量トートバッグ」と書くだけでは不十分です。AIがユーザーの細かい要望に応えられるように、もっと深い情報を提供しましょう。
例えば、「このバッグは、毎朝子供を保育園に送ってから出勤する、忙しいお母さんのために作られました。A4ファイルやノートパソコンはもちろん、哺乳瓶やおむつポーチもすっきり収まる大容量なのに、重さはたったの五百グラム。肩への負担を軽くする幅広の持ち手も特徴です。」といったように、誰のどんな悩みを解決する商品なのか、どんなストーリーがあるのかを丁寧に記述するのです。
商品の素材、サイズ、重さといった基本的なスペックはもちろんのこと、お手入れの方法、利用シーンの提案、作り手の想いなど、人間的な温かみのある情報が、AIにとっても価値ある情報となります。
お客様の声を宝物にする
実際に商品を使ったお客様の声、つまりレビューは、AIにとって非常に重要な情報源です。AIはレビューの内容を分析し、「この商品は肌触りが良いと評判だな」「このお店は発送が早いらしい」といったことを学習します。
ですから、お客様がレビューを書きやすい仕組みを整え、たくさんの声を集めることが大切です。良い評価はもちろん嬉しいですが、仮に厳しいご意見があったとしても、それが改善のヒントとなり、誠実に対応する姿勢が結果的にAIからの評価を高めることにも繋がります。
私がお手伝いしているある雑貨店では、レビュー投稿で次回使えるクーポンをプレゼントするキャンペーンを実施したところ、レビュー数が三倍に増え、それ以降、AIチャットで「口コミで評判の良い雑貨店」として紹介される機会が増えたという事例もあります。
構造化データでAIに情報を正しく伝える
少し専門的な話になりますが、「構造化データ」というものも非常に有効です。これは、ウェブページの情報が何であるかを、AIが理解しやすいように「名札」をつけてあげるような技術だと思ってください。
例えば、ページに書かれている「一万二千円」という数字が、「価格」であることを示す名札をつけたり、「在庫あり」という文字が「在庫状況」であることを伝えたりします。
こうすることで、AIはあなたのショップの情報を正確に読み取ることができ、「予算一万円で探している」というユーザーに、間違って一万二千円の商品をおすすめする、といったミスを防ぐことができます。設定には少し専門知識が必要な場合もありますが、今後の集客を考えると、取り組む価値は非常に高いと言えるでしょう。
変化を恐れず、未来の買い物客と出会うために
今回は、これからのネットショップ運営に欠かせない「GEO」という新しい考え方についてお話ししました。
これまでのSEOからGEOへの変化は、単なる技術的なトレンドではなく、人々の買い物の仕方が根本的に変わるという大きな時代の節目です。この変化に対応するのは大変だと感じるかもしれません。しかし、これは同時に大きなチャンスでもあります。
いち早くこの新しい流れに適応し、AIとの対話の準備を整えたショップが、未来のお客様と出会う機会を掴むことができるのです。
あなたのショップは、AIとの対話の準備ができていますか。
もし、自社の場合はどうすれば良いのだろう、と具体的なことでお悩みでしたら、いつでもお気軽にご相談ください。一緒に未来の集客の形を作っていきましょう。