AIを活用したビジネスの効率化をサポートしているナオキです。
皆さんは、世界で最も有名なユーチューバーの一人、MrBeastさんをご存知でしょうか。彼のチャンネル登録者数は億を超え、その影響力は計り知れません。そんな彼が先日、AIの進化について「恐ろしい時代だ」と語り、大きな話題を呼びました。
AIの進化が私たちの仕事や生活を大きく変えようとしている今、彼の言葉は多くの示唆に富んでいます。特に、私のように個人の力でビジネスをされている方や、中小企業の皆さんにとっては、決して他人事ではないはずです。
今回は、MrBeastさんの発言をきっかけに、AIは私たちの仕事を脅かす敵なのか、それともビジネスを加速させる味方なのか、そしてこれからの時代をどう生き抜いていくべきか、一緒に考えていきたいと思います。
世界一のユーチューバーが鳴らす警鐘
まずは、MrBeastさんが何に対して危機感を覚えているのか、詳しく見ていきましょう。
MrBeastが感じたAIの「恐ろしさ」とは
彼が「恐ろしい」と表現したのは、AIの進化のスピードです。少し前までは想像もできなかったような高品質な文章や画像、動画までもが、AIによって自動で生成され始めています。
彼のようなトップクリエイターは、常に新しいアイデアを考え、膨大な時間と労力をかけて一本の動画を制作しています。そのプロセスの一部、あるいは全部が、いずれAIに代替されてしまうかもしれない。その未来が、想像以上に早く訪れることへの危機感が、彼の言葉には込められています。
日々、AI技術の最前線に触れている私自身も、この進化の速さには正直、驚きを隠せません。昨日できなかったことが、今日にはできるようになっている。そんな世界が現実になっているのです。
視聴者からは賛否両論の声
このMrBeastさんの発言に対して、視聴者からは様々な意見が寄せられました。その中でも特に興味深かったのが、AIに代替される仕事とそうでない仕事についての議論です。
ある意見では、単純なチャレンジ動画や決まった形式を繰り返すようなコンテンツは、AIによって簡単に作られてしまう可能性があると指摘されています。例えば、「〇〇を100回やってみた」といった定型的な企画や、ありふれた情報を提供するだけの動画は、AIがシナリオを書き、バーチャルなキャラクターが話すことで、人間が介在せずとも成立してしまうかもしれません。
一方で、多くの人が指摘していたのは「独創性」の価値です。MrBeastさん自身が作るような、誰も思いつかない壮大な企画や、人間の感情に深く訴えかけるような工夫が凝らされた作品は、AIがすぐに真似できるものではない、という見方です。
この議論は、動画クリエイターだけの話ではありません。私たち全てのビジネスパーソンにとって、非常に重要な問いを投げかけています。あなたの仕事の中で、AIに代替されやすい部分はどこで、人間だからこそ価値を生み出せる部分はどこでしょうか。
AI時代に求められる「人間ならではの価値」
では、AIには真似できない「人間ならではの価値」とは、一体何なのでしょうか。
AIが得意なこと、人間が得意なこと
AIの得意分野は、膨大なデータからパターンを見つけ出し高速で処理することです。例えば、市場のトレンドを分析したり、顧客データを整理したり、SNS投稿の最適な時間を割り出したりといった作業は、人間よりもAIの方がはるかに速く正確に行えます。
一方で、人間が得意なのは、共感する力、ゼロから新しいものを生み出す独創性、そして物事の背景や文脈を深く理解する力です。お客様一人ひとりの表情や声のトーンから悩みを汲み取り、心に寄り添った提案をすること。社会の課題を発見し、それを解決するための全く新しいサービスを思いつくこと。これらは、現在のAIには難しい、人間が持つ素晴らしい能力です。
結局のところ、AIは「なぜそれをするのか」という目的や情熱を持つことができません。ビジネスの根幹にある「想い」や、お客様との間に生まれる「信頼関係」は、私たち人間だからこそ生み出せる究極の価値なのです。
あなたのビジネスにおける「クリエイティビティ」とは
「クリエイティビティ」や「独創性」と聞くと、芸術家やデザイナーのような特別な才能をイメージするかもしれません。しかし、これからの時代に求められるクリエイティビティは、もっと広い意味を持っています。
例えば、お客様が予想もしなかったような気の利いたサービスを提供すること。他社にはないユニークな方法で商品やサービスの魅力を伝えること。社内の非効率な業務プロセスを、斬新なアイデアで改善すること。これら全てが、ビジネスにおける立派なクリエイティビティです。
ぜひ一度、ご自身のビジネスを振り返ってみてください。あなたのビジネスの「魂」と呼べるような、他には真似できない独自の価値はどこにあるでしょうか。その部分こそが、AI時代を生き抜くための鍵となります。
AIを脅威ではなく「最強の相棒」にする方法
AIの進化をただ恐れるのではなく、その力をうまく活用し、ビジネスを成長させるための「最強の相棒」と捉え直すことが重要です。
業務効率化で「創造的な時間」を生み出す
私が普段、クライアント様にご提案しているのが、まさにこの考え方です。AIを使って、日々の面倒な作業を自動化し、それによって生まれた時間を、もっと創造的で付加価値の高い仕事に使いましょう、ということです。
例えば、メールの返信案を作成させたり、議事録を自動で要約させたり、SNSの投稿文を考えさせたり。これまで時間を取られていた定型的な作業をAIに任せることで、私たちは企画立案やお客様との対話といった、人間にしかできない本質的な業務に集中できるようになります。
私自身も、ブログ記事の構成案をAIと一緒に考えたり、リサーチした膨大な情報を要約させたりすることで、執筆そのものや、クライアント様一人ひとりに合わせた提案を練る時間を確保しています。AIは、私の能力を拡張してくれる、頼もしいアシスタントなのです。
AIをアイデア出しのパートナーに
AIは、優れたアイデアの「壁打ち相手」にもなってくれます。自分一人で考えていると、どうしても思考が偏ったり、行き詰まったりすることがありますよね。そんな時、AIに相談してみるのです。
例えば、「中小企業向けの新しい集客方法のアイデアを10個出して」とAIに尋ねてみてください。すると、自分では思いつきもしなかったような斬新な切り口や、忘れていた基本的な視点を提示してくれることがあります。
もちろん、AIが出した答えをそのまま使うわけではありません。そのアイデアをヒントに、「うちの会社だったら、こうアレンジできるな」「このアイデアと、既存のサービスを組み合わせたら面白そうだ」と、人間が思考を深めていく。このAIとの共同作業こそが、新しい価値を生み出す源泉となるのです。
まとめ
MrBeastさんの警鐘は、単に「AIに仕事が奪われる」という恐怖を煽るものではなく、「これからの時代、私たちは人間として何に価値を見出していくべきか」という本質的な問いを、私たち全員に投げかけています。
AIの進化は、もはや誰にも止められません。であるならば、その流れに抗うのではなく、その波を乗りこなす術を身につけるべきです。
面倒な作業やデータ処理は、優秀な相棒であるAIに任せましょう。そして私たち人間は、お客様の心に寄り添い、新しい価値を創造し、情熱を持ってビジネスを語る。そんな、より人間らしい仕事に集中していく。
それが、AIという「恐ろしい」ほどに賢いテクノロジーと共存し、ビジネスを成長させていくための、最も賢明な道だと私は信じています。
皆さんも、まずはご自身の業務の中で、AIに任せられそうな小さな作業を見つけることから始めてみてはいかがでしょうか。その一歩が、未来を大きく変えるきっかけになるかもしれません。


監修者:岡田 直記
AIコンサルント / 「ナオキのAI研究所」所長
企業のAI活用を支援するAIコンサルタント。セミナーや法人研修、個人指導などを通じ、これまでに延べ100名以上へAI活用の指導実績を持つ。現在は、主に中小企業を対象としたAI顧問として、業務効率化や生産性向上を実現するための戦略立案からツール導入までをサポート。また、個人向けには月額制の「AI家庭教師」サービスを展開し、実践的なAIスキルの習得を支援している。
自身の「元大手営業マンでスキル0から独立した」という異色の経歴を活かし、ビジネスの現場目線と最新のAI知識を組み合わせた、具体的で分かりやすい解説が強み。AI技術がもたらす未来の可能性を、一人でも多くの人に届けることを mission としている。