AI活用コンサルタントのナオキです。AIを使った業務効率化やSNS運用のお手伝いをしています。
最近、クライアントの方々とお話ししていると、「AIって、最終的にどこまで賢くなるんですかね」という質問をよくいただきます。SF映画のように人間を超える知能を持つのか、それとも便利な道具のままでいるのか。皆さんも一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
AIの進化は本当に目まぐるしく、その実力を正確に測るのは難しいと感じていました。しかし先日、この「AIの賢さ」を測るための、新しいものさしが提案されたという興味深いニュースが飛び込んできました。今日はこの話題について、皆さんのビジネスにどう関わってくるのかも交えながら、分かりやすくお話ししていきたいと思います。
そもそもAGIって何のこと
本題に入る前に、ひとつだけ専門用語を説明させてください。それが「AGI」です。
AGIとは「汎用人工知能」の略で、ものすごく簡単に言うと「人間のように、どんな知的作業でもこなせるAI」のことです。今私たちが使っているAIの多くは、文章を作るのが得意だったり、絵を描くのが得意だったりと、特定の分野に特化した「特化型AI」です。お掃除ロボットが掃除しかできないのと同じですね。
それに対してAGIは、文章作成も、プログラミングも、経営分析も、さらには私たちがまだ思いついていないような新しい課題さえも、人間のように柔軟に考えて解決できる能力を持つとされています。もしそんなAIが登場したら、私たちの働き方やビジネスのあり方が根底から変わることは、想像に難くないはずです。
AIの賢さを測る新しいものさしが登場
これまで「AGIにどれくらい近づいたか」を測る明確な基準はありませんでした。しかし、今回発表された研究論文では、その進捗を具体的な数値で示そうという試みがなされています。
AGIの新しい定義とは
まず、この研究ではAGIを「よく学んだ大人のような知能を持つAI」と定義しました。これはとても分かりやすい表現だと思います。ただ物知りなだけではなく、知識を応用したり、新しい状況に対応したり、常識を働かせたりする、まさに成熟した一人の人間のような能力を指しています。
そして、この定義に基づいてAIの能力を様々な側面から評価し、AGI達成度をパーセンテージで示せるようにしたのです。これなら、AIの進化がどれくらいのペースで進んでいるのか、誰の目にも明らかになります。
GPTシリーズの達成度は何%?
では、この新しいものさしで測ると、今話題のAIはどのレベルにいるのでしょうか。
論文によると、2023年に公開されたGPT-4のAGI達成度は、なんと約27%に達しているそうです。27%と聞くと、まだ低いと感じるかもしれません。しかし、これは言い換えれば、成熟した大人の知性の4分の1以上をすでにAIが持っているということです。新入社員が一人いるくらいのインパクトは、すでにあるのかもしれません。実際にGPT-4を業務で使っている方なら、この数字にも頷けるのではないでしょうか。
さらに驚くべきは、その先の予測です。研究者たちは、2025年に登場すると噂される次世代モデルGPT-5では、AGI達成度が約58%にまで跳ね上がると予測しているのです。わずか2年で倍以上に進化する計算になります。これはもう、新人どころか、かなり頼りになる中堅社員レベルかもしれません。このスピード感には、正直なところ少し鳥肌が立ちました。
今のAIに足りない大きな課題「長期記憶」
もちろん、AGIの実現はまだ先の話です。現在のAIには、解決すべき大きな課題が残されています。その中でも特に重要だと指摘されているのが「長期記憶」の欠如です。
長期記憶がないというのは、どういうことでしょうか。例えるなら、今日の午前中にAIアシスタントと打ち合わせした内容を、午後に尋ねるとすっかり忘れてしまっているような状態です。毎回「はじめまして」から始まり、以前のやり取りを全く覚えていないのです。
これは、私たちにとっては死活問題です。例えば、クライアントA社との過去のプロジェクトの経緯や、担当者の方の好みなどを踏まえて提案書を作ってほしいとAIにお願いしても、その前提となる情報を毎回ゼロから教えなければなりません。これでは、本当の意味でのパートナーとして頼ることは難しいですよね。
AIが継続的に学習し、経験を積み重ねて成長していくためには、この長期記憶の機能が不可欠なのです。
未来予測、AGIは10年以内にやってくる
しかし、希望もあります。研究者たちは、この長期記憶の問題もいずれ解決可能だと考えています。技術的なハードルは高いものの、不可能ではないという見方が大勢です。
そして、こうした課題がクリアされれば、今後10年以内にAGIが実現する可能性は十分にあると期待されています。
10年後、あなたの会社に、創業以来のすべてのプロジェクトと顧客情報を記憶し、市場の動向を分析した上で的確な経営判断をサポートしてくれるAIがいたらどうでしょうか。個人事業主の方なら、自分の事業のすべてを理解し、二人三脚でビジネスを成長させてくれる最強の右腕がいるようなものです。そんな未来が、すぐそこまで来ているのかもしれません。
まとめ、私たちはどう備えるべきか
今回、AGIの達成度を測る具体的な評価基準が示されたことで、AI開発のロードマップがより明確になりました。これは、私たちビジネスオーナーにとっても非常に重要な意味を持ちます。
大切なのは、この変化をただ眺めているのではなく、今から準備を始めることです。AGI達成度27パーセントの現在のAIでさえ、使い方次第で仕事の生産性を劇的に向上させることができます。今のうちからAIを使いこなし、その特性を理解しておく経験こそが、数年後に訪れるであろう「AGI時代」を生き抜くための最大の武器になります。
まずは、ブログ記事のアイデア出しや、SNSの投稿文作成、顧客へのメール文面の推敲など、身近な業務からAIを取り入れてみてはいかがでしょうか。小さな一歩が、未来の大きな飛躍につながるはずです。
私も、皆さんがAIという強力なツールを味方につけられるよう、これからも最新情報や具体的な活用術を発信していきます。一緒に未来への準備を始めていきましょう。


監修者:岡田 直記
AIコンサルント / 「ナオキのAI研究所」所長
企業のAI活用を支援するAIコンサルタント。セミナーや法人研修、個人指導などを通じ、これまでに延べ100名以上へAI活用の指導実績を持つ。現在は、主に中小企業を対象としたAI顧問として、業務効率化や生産性向上を実現するための戦略立案からツール導入までをサポート。また、個人向けには月額制の「AI家庭教師」サービスを展開し、実践的なAIスキルの習得を支援している。
自身の「元大手営業マンでスキル0から独立した」という異色の経歴を活かし、ビジネスの現場目線と最新のAI知識を組み合わせた、具体的で分かりやすい解説が強み。AI技術がもたらす未来の可能性を、一人でも多くの人に届けることを mission としている。