Copilot新機能!AI通訳「Interpreter」とは?

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AIを活用したビジネスの効率化をサポートしているナオキです。

皆さんは、海外のクライアントとの商談や、外国語のセミナーに参加する際、「言葉の壁」を感じたことはありませんか。もし、相手が話す言葉が、まるで映画の吹き替えのように、リアルタイムで自分の国の言葉に翻訳されて聞こえてきたら、ビジネスの可能性はどれだけ広がるでしょうか。

かつてはSFの世界の話だと思われていたそんな未来が、もう現実のものとなりつつあります。今回は、私たちの働き方を根底から変えるかもしれない、Microsoft 365のAI機能「Copilot」に新たに追加された、驚きの通訳機能についてご紹介します。

Microsoft Copilotの新機能「Interpreter」とは?

今回、Microsoftが発表した新機能は「Interpreter」、つまり「通訳者」という名前の通り、リアルタイムで言語を翻訳してくれる機能です。これが、私たちが普段使っているTeamsなどのオンライン会議ツールに搭載されるというのですから、そのインパクトは計り知れません。

Microsoft Teams会議でのインタープリター - Microsoft サポート
多言語Microsoft Teams会議で AI を活用した翻訳者であるインタープリターを使用して、参加者間のより明確で効果的なコミュニケーションを実現します。

まるで専属の同時通訳。リアルタイム翻訳の仕組み

このInterpreter機能がどれほどすごいのか、具体的な場面を想像してみてください。

あなたは今、海外の取引先とオンラインで会議をしています。画面の向こうで、相手が流暢な英語で話し始めます。すると、その音声がほぼ同時に、あなたの耳には自然な日本語として聞こえてくるのです。あなたが日本語で返事をすると、今度はその言葉が相手の言語に翻訳されて伝わります。

まるで、あなたの隣に超優秀な同時通訳者が座っているかのようです。これまでの翻訳ツールのように、一度文章を打ち込んだり、音声入力を区切ったりする必要はありません。会話の流れを止めずに、スムーズなコミュニケーションが実現できるのです。

ただの翻訳じゃない。相手の「声」まで再現する驚きの技術

そして、このInterpreter機能の最も驚くべき点は、ただ言葉を翻訳するだけではない、というところにあります。なんと、相手の声のトーンや話し方の特徴を保ったまま、翻訳後の音声を出力してくれるというのです。

これまでの機械的な翻訳音声は、どこか冷たく、感情が伝わりにくいという課題がありました。情熱を込めて語っていても、淡々とした音声に変換されてしまうと、その熱意は半減してしまいますよね。

しかし、この技術を使えば、相手が興奮して早口になっている様子や、自信に満ちた力強い口調、あるいは、何かを気遣うような優しい声色まで、言語が変わってもニュアンスとして感じ取れるようになるかもしれません。これにより、私たちは言葉の意味だけでなく、その裏にある感情や意図まで汲み取りやすくなり、より人間らしい、血の通ったコミュニケーションが可能になるのです。

これでビジネスはどう変わる?AI通訳がもたらす3つのメリット

では、このAI通訳機能は、私たち個人事業主や中小企業のビジネスに、具体的にどのような変化をもたらすのでしょうか。考えられるメリットを3つの視点からお話しします。

メリット1:海外展開のハードルが劇的に下がる

これまで、海外の市場に挑戦したくても、言語の壁が大きな障壁となっていた企業は少なくないはずです。通訳を雇うコストや時間、コミュニケーションの些細なすれ違いによるリスクなどを考えると、二の足を踏んでしまうのも無理はありません。

しかし、このInterpreter機能があれば、状況は一変します。海外のサプライヤーと直接価格交渉をしたり、海外の顧客に自社製品の魅力を熱意を込めてプレゼンしたり、現地のパートナー企業と細かい仕様について打ち合わせをしたりといったことが、まるで国内の取引先と話すような感覚でできるようになるのです。

私も以前、海外製の便利な業務ツールを導入しようとした際、英語のサポート資料や問い合わせに苦労した経験があります。あの時この機能があれば、もっとスムーズに、もっと深くツールを使いこなせていたでしょう。コストを抑えながら、スピーディーに海外との取引を始められる。これは、私たちのような小規模な事業者にとって、計り知れないチャンスです。

メリット2:グローバルな人材活用が加速する

ビジネスの成長には、優秀な人材の力が不可欠です。しかし、国内だけで人材を探すには限界があります。世界に目を向ければ、特定の分野で非常に高いスキルを持った専門家がたくさんいます。

これまでは、言語が通じないという理由で、海外の優秀なフリーランサーや専門家との協業を諦めていたかもしれません。しかし、AI通訳があれば、日本語で指示を出し、日本語で報告を受ける、といったスムーズな連携が可能になります。

例えば、日本の市場をターゲットにしたサービスを開発する際に、海外在住の優秀なプログラマーやデザイナーとチームを組む。多様な文化や価値観を持つメンバーが集まることで、これまでになかった革新的なアイデアが生まれる可能性も高まります。言語を問わずに「世界最高のチーム」を作れる時代がやってくるのです。

メリット3:より深い国際交流と情報収集が可能に

ビジネスは、直接的な取引だけでなく、情報収集や学びも非常に重要です。海外の最先端の技術動向や市場トレンドをいち早くキャッチすることは、競争優位性を保つ上で欠かせません。

AI通訳機能は、海外の専門家が開催するオンラインセミナーやウェビナーへの参加を容易にしてくれます。これまで字幕や翻訳記事を待っていた最新情報も、これからは発表と同時に、リアルタイムで直接情報を得ることができるようになります。

興味のある分野の海外コミュニティに参加して、世界中の人々とディスカッションを交わすことも夢ではありません。こうした交流を通じて得られる一次情報や人脈は、あなたのビジネスにとってかけがえのない資産となるでしょう。

知っておきたい注意点と今後の展望

もちろん、この素晴らしい技術も、まだ発展途上の段階です。AIによる翻訳精度は飛躍的に向上していますが、完璧ではありません。特に、専門用語が飛び交う業界や、文化的な背景が深く関わるような微妙なニュアンスの表現は、誤訳が生まれる可能性もゼロではありません。

ですから、法的な拘束力を持つ契約の交渉など、絶対に間違いが許されない重要な場面では、引き続き人間の専門家によるチェックやサポートが必要になるでしょう。AIを過信せず、あくまで強力なサポートツールとして捉えることが大切です。

しかし、技術の進化は止まりません。今後、AIはさらに多くの会話データを学習し、より自然で、より正確な通訳を実現していくはずです。いずれは、オンラインだけでなく、現実世界で対面して話す際にも、イヤホンのようなデバイスを通じて瞬時に通訳してくれるのが当たり前になるかもしれません。「言葉の壁」という概念そのものが、過去のものになる日もそう遠くないでしょう。

まとめ

今回は、Microsoft Copilotの新機能「Interpreter」がもたらす、言語の壁のない未来についてお話ししました。

この機能は、単なる便利なツールというだけでなく、私たちのビジネスのあり方、そして世界との関わり方を根本から変える力を持っています。海外展開、グローバルな人材活用、最先端の情報収集。これまで一部の大企業のものであったチャンスが、私たち個人や中小企業にも開かれようとしています。

まずは、あなたのビジネスでこの技術をどう活かせるか、自由に想像してみてください。ずっとアプローチしたかったあの国の企業に、連絡を取ってみるのもいいかもしれません。

AIを恐れるのではなく、賢く味方につけること。それが、これからの時代を生き抜くための鍵となります。私も、皆さんがAIという強力なパートナーと共に、ビジネスの新しい扉を開くお手伝いができればと思っています。これからも、役立つAI情報をどんどん発信していきますので、ぜひご期待ください。

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岡田 直記 プロフィール写真

監修者:岡田 直記

AIコンサルント / 「ナオキのAI研究所」所長

企業のAI活用を支援するAIコンサルタント。セミナーや法人研修、個人指導などを通じ、これまでに延べ100名以上へAI活用の指導実績を持つ。現在は、主に中小企業を対象としたAI顧問として、業務効率化や生産性向上を実現するための戦略立案からツール導入までをサポート。また、個人向けには月額制の「AI家庭教師」サービスを展開し、実践的なAIスキルの習得を支援している。

自身の「元大手営業マンでスキル0から独立した」という異色の経歴を活かし、ビジネスの現場目線と最新のAI知識を組み合わせた、具体的で分かりやすい解説が強み。AI技術がもたらす未来の可能性を、一人でも多くの人に届けることを mission としている。

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