AI活用コンサルタントのナオキです。
個人事業主や中小企業の経営者の皆さんとお話していると、「日々の情報収集やデータ入力に時間がかかりすぎて、本当にやりたいコア業務に集中できない」という悩みをよく耳にします。インターネット上にあふれる情報を集め、それを資料にまとめる作業は、想像以上に骨が折れるものですよね。
もし、そんな時間のかかる作業をAIが肩代わりしてくれたら、どれだけ楽になるでしょうか。
今回は、私が実際に担当した案件の中から、AIを活用してウェブサイトの情報収集と書類作成を自動化し、作業時間を約95パーセントも削減できた驚きの事例をご紹介します。この記事を読めば、AIがあなたのビジネスをどのように変える可能性があるのか、具体的なイメージが湧くはずです。
手作業では限界?膨大な情報整理という高い壁
先日、あるクライアントからこんなご相談を受けました。「特定のオンライン掲示板に日々投稿される膨大な量の書き込みを、すべてWord形式の報告書としてきれいにまとめてほしい」という内容でした。
皆さんも、ウェブサイトの情報をコピーして、WordやExcelに貼り付ける、といった作業をした経験はありませんか。今回の依頼も、基本的にはその作業の繰り返しです。しかし、問題はその量でした。対象となる投稿は数百件にも及び、これからも増え続けるとのこと。
試しに、以前の方法でどれくらいの時間がかかるか計算してみました。手作業で30記事分の情報をまとめると、およそ5時間かかっていました。単純計算で1記事あたり10分です。もしこれを700記事以上行うとなると、100時間以上かかってしまう計算になります。これでは、いくら時間があっても足りません。
さらに、こうした単純作業を長時間続けていると、どうしても集中力が低下し、コピーする場所を間違えたり、貼り付け漏れが発生したりと、ヒューマンエラーのリスクも高まります。何より、創造性のない作業に貴重な時間を費やすのは、精神的にもつらいものがありますよね。
皆さんの業務の中にも、このように「時間はかかるけれど、誰がやっても結果は同じ」といった定型的な作業はないでしょうか。それこそが、AIに任せるべき領域なのかもしれません。
AIプログラムが解決策に!自動化の仕組みを解説
そこで今回、私が提案したのが「AIが生成したプログラムによる完全自動化」です。難しく聞こえるかもしれませんが、仕組みは意外とシンプルです。AI、特にChatGPTのような文章やプログラムを生成してくれるAIに「こんな作業を自動化するプログラムを作って」とお願いするのです。
具体的には、以下の3つのステップで作業を自動化しました。
ステップ1 ウェブサイトから情報を自動で集める
まず最初に行ったのが、ウェブサイトから必要な情報を自動で収集することです。専門的な言葉では「クローリング」や「スクレイピング」と呼ばれます。
これは、人間がブラウザでページを一つひとつ開いて情報を探す代わりに、プログラムが自動でウェブサイトを巡回し、指定した情報だけをごっそりと集めてきてくれる仕組みです。まるで、優秀なデジタル探偵が、膨大な資料の中から必要な書類だけを一瞬で見つけ出してくれるようなイメージです。
今回は、対象のオンライン掲示板の構造をAIに伝え、「投稿のタイトル、サブタイトル、投稿日時、そして本文をすべて抜き出すプログラムを作って」と指示しました。AIはすぐさまその指示に従い、情報収集用のプログラムを書き上げてくれました。
ステップ2 集めたデータをきれいに整理整頓
ウェブサイトから集めてきたばかりのデータは、いわば素材そのものです。まだごちゃごちゃしていて、そのままでは報告書として使えません。そこで次に、プログラムが収集したデータを自動で分類し、整理整頓する役割を担います。
プログラムは、集めたテキストの塊の中から、「これはタイトルだな」「これは投稿日だ」「ここからここまでが本文だ」というように、あらかじめ設定したルールに従って情報を仕分けていきます。人間が目で見て一つひとつ確認し、分類する作業を、プログラムが瞬時に、かつ正確に実行してくれるのです。この工程があるおかげで、後の書類作成が非常にスムーズになります。
ステップ3 Wordファイルへ自動で書き出す
最後の仕上げです。きれいに整理整頓されたデータを、指定された形式のWordファイルとして出力します。
これもプログラムが自動で行います。例えば、「タイトルは大きな文字で中央揃えにする」「投稿日時は右揃えで記載する」「本文は段落ごとに改行を入れる」といった、報告書としての体裁もプログラムに指示しておけば、その通りに整形された美しいWordファイルが次々と生成されていきます。
手作業で文字の大きさを変えたり、レイアウトを調整したりする手間は一切ありません。ボタンを一つ押すだけで、完成された報告書が自動で出来上がるのです。
驚きの結果!95パーセントの時間短縮を達成
さて、このAIプログラムを導入した結果、業務効率はどれだけ改善したのでしょうか。結果は、私たちの想像をはるかに超えるものでした。
以前の方法では、30記事の処理に5時間もかかっていました。しかし、AIプログラムを導入したところ、なんと755記事もの大量のデータを、わずか4時間半で処理し、Wordファイルとして出力することに成功したのです。
もし、この755記事を従来の手作業でやっていたとしたら、単純計算でも125時間以上はかかっていたはずです。それがたったの4時間半で終わったのですから、削減できた時間は実に95パーセント以上にものぼります。
この結果は、単に作業時間が短くなったというだけではありません。これまで単純作業に費やしていた膨大な時間を、クライアントとの打ち合わせや、新しい企画の立案といった、より付加価値の高い、創造的な仕事に使えるようになったのです。これこそが、AIを活用した業務効率化の最大のメリットと言えるでしょう。
あなたのビジネスにもAIを活かすヒント
今回の事例は少し専門的に聞こえたかもしれませんが、この考え方は皆さんのビジネスにも応用できます。
例えば、
・競合他社のウェブサイトを定期的に巡回し、新商品や価格の情報を自動でリストアップする。
・業界のニュースサイトから、自社に関連するキーワードが含まれる記事だけを毎日収集し、朝礼用の資料を自動で作成する。
・お客様からのお問い合わせフォームの内容を自動で読み取り、内容に応じて担当者に振り分け、返信メールの草案を自動で作成する。
このように、あなたが毎日、あるいは毎週行っている情報収集やデータ入力の作業の中に、AIで自動化できるヒントはきっと隠されています。
難しく考える必要はありません。まずは「この作業、面倒だな」「時間がかかってもったいないな」と感じる業務を書き出してみてください。そして、「これをAIで自動化できないかな?」と考えてみること。それが、業務効率化への第一歩です。
今では、ChatGPTのような高性能なAIに「〇〇を自動化する方法を教えて」と気軽に相談することもできます。ぜひ一度、試してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、AIプログラムを活用してウェブサイトからの情報収集と書類作成を自動化し、作業時間を劇的に短縮した事例をご紹介しました。
AIはもはや、遠い未来の技術ではありません。私たちの仕事を助け、ビジネスを加速させてくれる、非常に心強いパートナーです。時間のかかる単純作業はAIに任せ、私たち人間は、人にしかできない創造的な仕事に集中する。そんな働き方が、当たり前になりつつあります。
これからも、皆さんのビジネスに役立つAI活用のヒントや事例を発信していきますので、ぜひ参考にしてくださいね。あなたのビジネスにも、AIの力を取り入れてみませんか。
監修者:岡田 直記
AIコンサルント / 「ナオキのAI研究所」所長
企業のAI活用を支援するAIコンサルタント。セミナーや法人研修、個人指導などを通じ、これまでに延べ100名以上へAI活用の指導実績を持つ。現在は、主に中小企業を対象としたAI顧問として、業務効率化や生産性向上を実現するための戦略立案からツール導入までをサポート。また、個人向けには月額制の「AI家庭教師」サービスを展開し、実践的なAIスキルの習得を支援している。
自身の「元大手営業マンでスキル0から独立した」という異色の経歴を活かし、ビジネスの現場目線と最新のAI知識を組み合わせた、具体的で分かりやすい解説が強み。AI技術がもたらす未来の可能性を、一人でも多くの人に届けることを mission としている。
