AI活用コンサルタントのナオキです。AIを使った業務効率化やSNS運用のお手伝いをしています。
個人事業主の方や中小企業の経営者の方とお話ししていると、よくこんな悩みを聞きます。「お客様へのアンケートや、ウェブサイトの問い合わせフォームを作るのが地味に大変で…」と。確かに、質問項目を考え、一つひとつ設定していく作業は、意外と時間と頭を使いますよね。
しかし、もうそんな手間に悩む必要はありません。今、AIを活用してGoogleフォームを驚くほど簡単かつスピーディーに作成する方法が注目されています。
今回は、誰でも明日から試せる、AIを使ったGoogleフォーム作成の2つのアプローチをご紹介します。この記事を読めば、あなたのビジネスのデータ収集がもっと楽になるはずです。
なぜ今、AIでのフォーム作成が注目されるのか
これまでGoogleフォームを作るとなると、まず「どんな質問をしようか」と頭を悩ませ、次に一つずつ質問形式を選んで入力し、選択肢を設定する、という手順が必要でした。簡単なアンケートでも、完成までには30分から1時間ほどかかってしまうことも珍しくありません。
この「考える時間」と「入力する時間」を劇的に短縮してくれるのがAIです。
AIに「こんな目的のアンケートを作りたい」と伝えるだけで、最適な質問項目を提案してくれます。アイデア出しの壁打ち相手になってくれるようなイメージですね。さらに、その提案を基に、フォームの作成自体を自動化することさえ可能です。
特に、私たちのような個人事業主やリソースの限られた中小企業にとって、こうした日々の雑務にかかる時間を削減できるインパクトは計り知れません。空いた時間をもっと本質的な、創造的な仕事に使えるようになるのです。まさに、AIは私たちの強力なビジネスパートナーになってくれます。
アプローチ1:手軽さが魅力。汎用AIツールでフォームを作る方法
まずご紹介するのは、特別な準備なしで、今すぐ誰でも試せる最も手軽な方法です。
どんなツールが使えるの?
ここで使うのは、Perplexity AIやChatGPTといった、皆さんも一度は名前を聞いたことがあるかもしれない対話型のAIツールです。これらは、私たちが普段話すような言葉でお願いごとをすると、文章を生成したり、情報を要約したりしてくれる賢いアシスタントです。
具体的な手順とプロンプト例
使い方は驚くほどシンプルです。例えば、あなたが運営するオンラインストアの顧客満足度を知りたいとします。その場合、AIに次のように話しかけるだけです。
「オンラインストアの顧客満足度アンケートを作成してください。商品の品質、配送スピード、ウェブサイトの使いやすさについての質問を5段階評価でお願いします。最後に、自由に意見を書ける欄も設けてください。」
こういった簡単な指示、いわゆる「プロンプト」を入力するだけで、AIはものの数十秒で適切な質問項目のリストをずらっと書き出してくれます。
あとは、そのリストをコピーして、Googleフォームの作成画面に一つずつ貼り付けていくだけ。質問を考える手間がゼロになるので、作業時間は半分以下になるでしょう。
この方法のメリットと注意点
この方法の最大のメリットは、何と言ってもその手軽さです。特別な設定は一切不要。思い立った瞬間に、誰でもAIの力を借りることができます。AIをこれから使ってみようという入門者の方には、まさにおすすめの方法です。
ただ、実際に僕も試してみて感じた注意点が一つあります。それは、AIが生成した質問リストを、結局は手作業でGoogleフォームにコピーアンドペーストする必要があるという点です。質問数が多くなると、この作業が少し手間に感じるかもしれません。とはいえ、ゼロから考える労力に比べれば、はるかに効率的であることは間違いありません。
アプローチ2:もう一歩先へ。GeminiとGASで全自動化する方法
次に、少しだけステップアップした、さらに強力な方法をご紹介します。こちらは、フォームの作成そのものを自動化してしまうアプローチです。
GeminiとGoogle Apps Script(GAS)って何?
ここで登場するのが、Googleが開発した高性能AI「Gemini」と、「Google Apps Script」、通称「GAS」です。
GASと聞くと「プログラミング?」と身構えてしまうかもしれませんね。簡単に言うと、これはスプレッドシートやGmail、そしてGoogleフォームといったGoogleの各サービスを、決まった手順で自動的に動かすための「魔法の呪文」のようなものです。そして嬉しいことに、この呪文はインターネット上に便利なものがたくさん公開されており、コピーして少し書き換えるだけで使えるケースがほとんどです。
連携で何ができるのか
この方法では、GASを使ってGeminiに指示を出し、Googleフォームを直接、全自動で生成させます。
具体的には、Googleスプレッドシートに「こんなタイトルのフォームを作って」「質問は選択式を3つ、記述式を2つ入れて」といった要件を書き込みます。そしてボタンを一つ押すと、GASがその内容をGeminiに伝え、Geminiが考えた質問項目で構成されたGoogleフォームが、あなたのGoogleドライブに自動的に生成される、という仕組みです。
先ほどのアプローチ1が「質問を考えてもらう」ところまでだったのに対し、こちらは「フォームを作る」という作業そのものをAIとプログラムに丸ごとお任せできるのが大きな違いです。
僕もクライアントへのヒアリングシートや、セミナー後のアンケート作成にこの方法を導入していますが、これまで30分以上かかっていた作業が、本当に5分もかからずに完了するようになりました。この時間短縮効果は絶大です。
プロンプトの工夫が鍵
この方法を使いこなすコツは、AIへの指示、つまりプロンプトを少し具体的にしてあげることです。例えば、先ほどの例で言えば、
「テーマ:ウェブデザインセミナー参加後アンケート。目的:セミナー内容の満足度と今後の改善点の収集。構成:選択式3問、5段階評価2問、自由記述1問。トーン:丁寧かつ親しみやすい言葉遣いで。」
このように、目的や構成、さらには文体のトーンまで指定することで、手直しがほとんど必要ない、完成度の高いフォームが一瞬で出来上がります。
あなたに合うのはどっち?目的別おすすめアプローチ
さて、2つの方法をご紹介しましたが、あなたはどちらのやり方に魅力を感じましたか?最後に、あなたの状況に合わせたおすすめのアプローチを整理してみましょう。
まずは手軽に試したいAI初心者の方へ
「プログラミングとかはちょっと…」「まずはAIがどんなものか体験してみたい」という方には、間違いなくアプローチ1の「汎用AIツールでフォームを作る方法」がおすすめです。難しい設定は一切ありません。まずはAIに質問を考えてもらう便利さを、ぜひ体感してみてください。
定期的にフォーム作成を行う方、さらなる効率化を目指す方へ
一方で、「毎月のようにアンケートを作っている」「顧客管理のために様々なフォームが必要だ」という方には、アプローチ2の「GeminiとGASで全自動化する方法」を強くおすすめします。
最初の設定に少しだけ時間を要しますが、一度その仕組みを整えてしまえば、あとは驚くほどのスピードでフォームを量産できます。特に、私のようにCRM導入支援などで顧客データの入口となるフォームを頻繁に作成する業務がある方にとっては、強力な武器になるはずです。
まとめ
今回は、AIを使ってGoogleフォームの作成を効率化する2つの方法をご紹介しました。
・ChatGPTなどの汎用AIに質問を考えてもらう手軽な方法。
・GeminiとGASを連携させてフォーム作成自体を自動化する方法。
AIはもはや遠い未来の技術ではなく、私たちの仕事を助けてくれる身近な相棒です。今回ご紹介したような、日々のちょっとした業務改善の積み重ねが、結果的に大きな時間的、精神的な余裕を生み出します。
まずは簡単な社内アンケートや、お客様へのちょっとしたヒアリングから、AIの力を試してみてはいかがでしょうか。きっとその便利さと、生み出された時間の価値に驚くはずです。
これからも、皆さんのビジネスが加速するようなAI活用術を発信していきますので、どうぞお楽しみに。
監修者:岡田 直記
AIコンサルント / 「ナオキのAI研究所」所長
企業のAI活用を支援するAIコンサルタント。セミナーや法人研修、個人指導などを通じ、これまでに延べ100名以上へAI活用の指導実績を持つ。現在は、主に中小企業を対象としたAI顧問として、業務効率化や生産性向上を実現するための戦略立案からツール導入までをサポート。また、個人向けには月額制の「AI家庭教師」サービスを展開し、実践的なAIスキルの習得を支援している。
自身の「元大手営業マンでスキル0から独立した」という異色の経歴を活かし、ビジネスの現場目線と最新のAI知識を組み合わせた、具体的で分かりやすい解説が強み。AI技術がもたらす未来の可能性を、一人でも多くの人に届けることを mission としている。
