AIの回答精度が劇変!思い通りの回答を引き出す質問のコツ

仕事に活かすAI

中小企業や個人事業主の皆さまの業務効率化やSNS運用のお手伝いをしているナオキです。

最近、多くの方からAIの活用について相談を受ける機会が増えました。ChatGPTをはじめとする生成AIは、私たちのビジネスを大きく変える可能性を秘めています。しかし、その一方で「AIに指示を出しても、いまいち思ったような答えが返ってこない」という声もよく耳にします。

皆さんも、AIに「ブログ記事のアイデアを出して」とか「SNSの投稿文を作って」とお願いした経験はありませんか。そして、出てきた答えに「うーん、何か違うんだよな」と感じたことはないでしょうか。

もし、あなたがAIにただ「プロンプトを作って」と頼んでいるだけなら、それはAIの能力のほんの一部しか引き出せていないかもしれません。実はそれ、とてももったいないことなんです。今回は、なぜAIへの「丸投げ」がうまくいかないのか、そしてAIを優秀なビジネスパートナーに変えるための、ちょっとした質問のコツについてお話ししたいと思います。

AIへの「丸投げ」が失敗を招く理由

先日、クライアントさんから、こんな相談を受けました。「画像生成AIで広告用の画像を作りたいんだけど、良いプロンプト、つまりAIへの指示文が作れなくて。AIに『服の広告用のプロンプトを作って』って頼んでみてもらえませんか?」

もちろん、私はすぐにAIにその通り依頼してみました。するとAIは、それらしいプロンプトをいくつか提案してくれました。しかし、その中身を見て私は少し違和感を感じました。提案されたプロンプトは、一昔前の画像生成AIで使われていたような、少し古い形式のものだったのです。

最新の画像生成AIはもっと複雑で、写真と見間違えるほどリアルな画像を生成できる高度な指示に対応しています。AI自身もその最新情報を学習しているはずなのに、なぜ古い形式のものを提案してきたのでしょうか。

これは、AIが最新の情報を「知らない」わけではありません。問題は、私たちの「質問の仕方」にあるのです。

AIは、私たちが投げかけた質問に含まれる情報だけを頼りに答えを生成します。今回の場合、「服の広告用のプロンプトを作って」という指示は、あまりにも漠然としています。AIからすれば、「どんな服ですか?」「ターゲットは誰ですか?」「どんな雰囲気の広告にしたいですか?」「どの画像生成AIを使いますか?」といった情報が全く足りていない状態です。

情報が少ないと、AIは学習したデータの中から、最も一般的で無難な答えを返そうとします。その結果、多くの人が使っていた過去の古い形式のプロンプトが提案されてしまった、というわけです。これはAIが怠けているのではなく、私たちがAIに考えるための材料を十分に与えていないから起こる現象なのです。

AIは「知らない」のではなく「引き出せていない」だけ

この状況を、人間に例えると分かりやすいかもしれません。

あなたの会社に、非常に優秀で真面目な新入社員が入ってきたと想像してみてください。その新入社員に「何か適当に仕事しておいて」と指示したら、どのように動くでしょうか。おそらく、何をすれば良いか分からず困ってしまうか、良かれと思ってやったことが見当違いの結果になるでしょう。

しかし、「この前の会議の資料を参考にして、来週のプレゼンで使うための市場分析レポートを、このフォーマットで明日の午前中までに作ってほしい」と具体的に指示したらどうでしょうか。優秀な新入社員なら、きっと期待以上の成果物を出してくれるはずです。

AIもこれと全く同じです。AIは、膨大な知識を持つ超優秀なアシスタントのようなもの。しかし、その能力を最大限に引き出すためには、私たち指示を出す側が、何を求めているのかを明確に伝える必要があるのです。「プロンプトを作って」という丸投げの指示は、「何か適当に仕事しておいて」と言っているのと同じことなのです。

脱「丸投げ」!AIを優秀なアシスタントにする質問術

では、どうすればAIの能力を最大限に引き出すことができるのでしょうか。ポイントは、AIに「思考のヒント」を与えることです。いくつか具体的な方法をご紹介します。

状況と目的を具体的に伝える

まず最も大切なのは、あなたが置かれている状況(背景)と、AIに何をしてほしいのか(目的)をできるだけ具体的に伝えることです。先ほどの画像生成AIの例で考えてみましょう。

悪い例:
「服の広告用プロンプトを作って」

良い例:
「私は20代女性向けのカジュアルなアパレルブランドを運営しています。インスタグラムに掲載する、春物の新作ワンピースの広告画像を生成したいです。モデルは日本人女性で、東京の公園を背景に、自然光の中で撮影したような、明るく爽やかな雰囲気の写真が希望です。この条件に合うような、画像生成AIで使えるプロンプトを5つ提案してください。」

いかがでしょうか。ここまで具体的に指示をすれば、AIはあなたの意図を正確に理解し、より的確で質の高いプロンプトを生成してくれるようになります。誰が、何を、何のために、どんな風にしたいのか。これを伝えるだけで、AIの回答の質は劇的に向上します。

お手本や制約条件を提示する

次に有効なのが、AIにお手本を見せたり、やってはいけないこと(制約条件)を伝えたりする方法です。

例えば、あなたが理想とする雰囲気の広告写真や、参考になるプロンプトの例をAIに提示し、「このような雰囲気で、別のパターンのプロンプトを作って」と依頼します。これは、優秀なアシスタントにお手本を見せて「こんな感じでお願い」と頼むのと同じです。AIは提示された例からパターンを学習し、あなたの好みに合った回答を生成しやすくなります。

また、「モデルが笑いすぎていないこと」「背景に人が映り込まないように」といった制約条件を加えることも重要です。これにより、意図しない結果になるのを防ぎ、修正の手間を減らすことができます。

対話を重ねて精度を上げる

一度の指示で完璧な答えを求めないことも、AIと上手に付き合うコツです。

最初に出てきたAIの回答が100点満点でなくても、がっかりする必要はありません。まずは60点くらいの回答が出てくれば十分です。その回答に対して、「ありがとう。もう少しモデルの表情を柔らかくする表現を加えてみて」「背景を公園からおしゃれなカフェに変えた場合のプロンプトも教えて」というように、対話を重ねていきましょう。

このやり取りを通じて、AIはあなたの意図をより深く理解し、回答の精度をどんどん高めていってくれます。AIを一方的に指示するツールとしてではなく、一緒に考え、答えを作り上げていく対話のパートナーとして捉えることが大切です。

AI活用の鍵は「質問力」にあり

AIの技術は日々進化しており、私たちのビジネスにとって強力な武器になることは間違いありません。しかし、その力を本当に引き出せるかどうかは、私たちユーザーの「質問力」にかかっています。

漠然と「作って」とお願いするだけでは、AIは当たり障りのない平均的な答えしか返せません。あなたが持つビジネスの課題、目的、そしてこだわりを、具体的な言葉でAIに伝えてあげること。それこそが、AIを単なる道具から、あなたのビジネスを加速させる優秀なパートナーへと変える鍵なのです。

今日お話しした質問のコツは、決して難しいものではありません。ほんの少し意識を変えるだけで、AIから得られる成果は大きく変わるはずです。

皆さんもぜひ、次にAIに何かを頼むとき、少しだけ具体的に、そして対話を楽しむ気持ちで接してみてください。きっと、AIの驚くべき能力に、改めて気づかされるはずですよ。

Threads icon
岡田 直記 プロフィール写真

監修者:岡田 直記

AIコンサルント / 「ナオキのAI研究所」所長

企業のAI活用を支援するAIコンサルタント。セミナーや法人研修、個人指導などを通じ、これまでに延べ100名以上へAI活用の指導実績を持つ。現在は、主に中小企業を対象としたAI顧問として、業務効率化や生産性向上を実現するための戦略立案からツール導入までをサポート。また、個人向けには月額制の「AI家庭教師」サービスを展開し、実践的なAIスキルの習得を支援している。

自身の「元大手営業マンでスキル0から独立した」という異色の経歴を活かし、ビジネスの現場目線と最新のAI知識を組み合わせた、具体的で分かりやすい解説が強み。AI技術がもたらす未来の可能性を、一人でも多くの人に届けることを mission としている。

タイトルとURLをコピーしました