AIは「使う」から「相棒」へ。マッキンゼーが描く協働の未来

AIツール活用術

AIを活用したビジネスサポートを行っているナオキです。

個人事業主の方や中小企業の経営者様とお話ししていると、「AIって便利そうだけど、何だか難しそう」という声をよく耳にします。特に、海外の専門的なレポートやニュースとなると、読む気力さえ起きない、なんてこともありますよね。

しかし、そんな難しいAIの話題を、ぐっと身近に感じさせてくれる面白い取り組みを見つけました。今回は、世界的なコンサルティング会社が発表した最先端のAIレポートと、それを驚くほど分かりやすくした「漫画化」の事例をご紹介しながら、皆さんのビジネスに役立つAI活用のヒントをお伝えしたいと思います。

AIと人間が協力する未来を描くマッキンゼーの最新レポート

最近、ビジネス界で注目を集めているのが、世界的に有名なコンサルティングファーム、マッキンゼー・アンド・カンパニーが発表したAIに関するレポートです。

レポートが示す「スキルパートナーシップ」とは?

そのレポートのタイトルは「Agents, robots, and us: Skill partnerships in the age of AI」。日本語にすると、「エージェント、ロボット、そして私たち:AI時代のスキルパートナーシップ」といったところでしょうか。

https://www.mckinsey.com/mgi/our-research/agents-robots-and-us-skill-partnerships-in-the-age-of-ai

このレポートが伝えているのは、これからの時代、AIやロボットを単なる「便利な道具」として使うのではなく、人間とAIがそれぞれの得意なことを持ち寄って協力し合う「パートナー」になるべきだ、という考え方です。

例えば、データ分析や定型的な事務作業はAIが非常に得意な分野です。一方で、お客様の微妙な感情を汲み取ったり、全く新しいアイデアを創造したりするのは、まだまだ人間の得意分野です。

このレポートでは、お互いの得意なスキルをうまく組み合わせて連携させていく「スキルパートナーシップ」が、今後のビジネス成長の鍵を握ると指摘しています。AIに仕事を奪われると心配するのではなく、AIを最高の仕事仲間として迎え入れる、という視点が非常に重要になってくるのです。

なぜ今、この考え方が重要なのか

この考え方は、私たち個人事業主や中小企業にとってこそ、大きなチャンスを意味します。大企業のように多くの人材を抱えられない私たちにとって、AIはまさに「もう一人の優秀なスタッフ」になってくれる可能性があるからです。

私がお手伝いしたある小規模なECサイトのオーナー様は、お客様からのお問い合わせ対応に毎日数時間を費やしていました。そこで、よくある質問に自動で回答してくれるAIチャットボットを導入したのです。その結果、対応業務が大幅に削減され、オーナー様は空いた時間を使って新商品の企画や、大切なお客様への手書きメッセージ作成といった、人でなければできない温かみのある仕事に集中できるようになりました。

まさに、AIと人間がそれぞれの得意分野でスキルを連携させた好例ですよね。マッキンゼーのレポートは、こうした未来の働き方を具体的に考えるための、素晴らしい道しるべとなってくれるのです。

難解なレポートが、まさかの「漫画」に

とはいえ、マッキンゼーのレポートを実際に読んでみようとすると、英語である上に専門用語が多く、なかなか内容を理解するのは骨が折れます。私も読み解くのに少し時間がかかりました。

ところが、この難解なレポートを、誰もが直感的に理解できる「漫画」にしてしまったクリエイターの方がいるのです。

複雑な情報を視覚的に伝える力

そのクリエイターの方は、AIを使って漫画を制作できる「Nano Banana PRO」というツールを活用し、レポートの要点を分かりやすいストーリー漫画に変換したそうです。

文章だけではイメージしにくい「AIエージェントと人間が協力してプロジェクトを進める様子」や、「ロボットが現場作業をサポートし、人間が全体の管理を行う姿」などが、絵とセリフで生き生きと描かれています。

文字で「スキルを連携させる」と読むのと、漫画でキャラクター同士が助け合っているシーンを見るのとでは、理解の深さが全く違いますよね。複雑な情報や未来のコンセプトも、視覚的に、そして物語として伝えることで、すっと頭に入ってきやすくなります。

この取り組みは、専門知識が必要なAIの話題を、もっと多くの人に届けるための画期的なアイデアだと感じました。

AIがクリエイティブな表現を後押しする

そしてもう一つ注目したいのが、この漫画制作にAIツールが使われているという点です。これは、AIが単に情報を分析したり文章を作成したりするだけでなく、私たちのクリエイティブな表現活動まで手助けしてくれる存在に進化したことを示しています。

「絵が描けないから漫画なんて無理」と思っていた人でも、AIの力を借りれば、自分の伝えたいストーリーやアイデアを形にできる時代が来ています。

例えば、自社サービスの複雑な利用方法を説明するのに、AIで簡単な解説漫画を作ってウェブサイトに掲載する、といった活用法も考えられますね。お客様にとっても、取扱説明書を長々と読むより、ずっと楽しく理解できるはずです。

あなたのビジネスに活かす「分かりやすく伝える」ヒント

今回のマッキンゼーレポートの漫画化事例は、私たち自身のビジネスにも応用できる、大切な教訓を含んでいます。

「伝わらなければ、価値はない」という視点

皆さんが提供している商品やサービスには、素晴らしい価値があるはずです。しかし、その価値がお客様に「分かりやすく」伝わらなければ、残念ながら無いものと同じになってしまいます。

特に、専門的な分野のビジネスをされている方は、「業界の常識だから」と専門用語を多用してしまいがちです。しかし、お客様は専門家ではありません。今回の事例のように、イラストや漫画、あるいは簡単な言葉を使ったストーリーで伝える工夫が、お客様の心を動かすきっかけになるかもしれません。

あなたのビジネスについて、もっと分かりやすく伝える方法はないだろうか。そう一度、立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。

AIを「翻訳パートナー」にしてみよう

その「分かりやすく伝える」作業において、AIは強力なパートナーになってくれます。

例えば、お客様向けの提案資料を作成する際に、「この専門的な技術の説明を、小学生でも分かるように例え話を使って書き直して」とAIにお願いすることができます。また、ブログ記事やSNSで発信する情報の切り口に悩んだら、「このテーマについて、読者が興味を持つような面白いタイトル案を10個考えて」とAIに壁打ち相手になってもらうことも可能です。

私もこのブログ記事を書くにあたり、構成のアイデア出しなどでAIと相談しながら進めています。AIは、難しい情報をかみ砕いたり、新しい表現のヒントをくれたりする、頼もしい「翻訳パートナー」であり「表現アシスタント」なのです。

まとめ

今回は、マッキンゼーの最新AIレポートと、それを漫画で分かりやすくした事例をご紹介しました。

AIと人間が手を取り合って働く「スキルパートナーシップ」の時代は、もうすぐそこまで来ています。そして、その複雑で新しい未来の姿を、AI自身の力を借りて「分かりやすく伝える」ことができる時代にもなりました。

ぜひ皆さんも、AIを単なる業務効率化ツールとしてだけでなく、自社の魅力や価値を伝えるためのクリエイティブなパートナーとして、活用することを検討してみてください。

難しそうに見えるAIの世界も、見方や使い方を少し変えるだけで、あなたのビジネスの可能性を大きく広げるヒントに満ち溢れています。これからも、皆さんのビジネスに役立つAIの情報を、できるだけ分かりやすくお伝えしていければと思います。

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岡田 直記 プロフィール写真

監修者:岡田 直記

AIコンサルント / 「ナオキのAI研究所」所長

企業のAI活用を支援するAIコンサルタント。セミナーや法人研修、個人指導などを通じ、これまでに延べ100名以上へAI活用の指導実績を持つ。現在は、主に中小企業を対象としたAI顧問として、業務効率化や生産性向上を実現するための戦略立案からツール導入までをサポート。また、個人向けには月額制の「AI家庭教師」サービスを展開し、実践的なAIスキルの習得を支援している。

自身の「元大手営業マンでスキル0から独立した」という異色の経歴を活かし、ビジネスの現場目線と最新のAI知識を組み合わせた、具体的で分かりやすい解説が強み。AI技術がもたらす未来の可能性を、一人でも多くの人に届けることを mission としている。

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