Sora2で動画が作れない人へ|質が劇的に変わるプロンプト術

AIツール活用術

AI活用コンサルタントのナオキです。中小企業の業務効率化やSNS運用のお手伝いをしています。

最近、私の周りでも話題沸騰なのが、テキストから驚くほどリアルな動画を生成するAI「Sora2」です。発表された動画のクオリティを見て、「自分のビジネスにも活用してみたい」と感じた方も多いのではないでしょうか。しかし同時に、「一体どうやって指示を出せば、あんなにすごい動画が作れるんだろう」という疑問の声もよく耳にします。

実は、Sora2を使いこなす鍵は、AIへの指示文、いわゆる「プロンプト」にあります。そして最近、このプロンプト作成のコツが公式から示唆されました。

「とりあえず思いついた言葉を並べてみたけど、イメージと全然違う動画が出てきてしまった」なんて経験はありませんか。今回の記事では、まるで映画監督のようにSora2を操り、あなたの頭の中にあるイメージを形にするためのプロンプト術を、分かりやすく解説していきます。

プロンプトの基本姿勢:あなたは撮影監督です

まず初めに、Sora2に指示を出すときの心構えからお話しします。一番大切なのは、自分を「映画の撮影監督」だと思うことです。

撮影現場で、監督がカメラマンに「なんかいい感じの映像を撮って」と指示したら、どうなるでしょうか。きっとカメラマンは困ってしまいますよね。「いい感じ」の定義は人それぞれですし、どんな映像を求めているのか全く伝わりません。

AIへの指示もこれと全く同じです。例えば、「かっこいい車の動画」というプロンプトでは、AIは何をどう撮れば良いのか判断できません。スポーツカーなのか、クラシックカーなのか。走っているのか、停まっているのか。昼なのか、夜なのか。情報があまりにも漠然としすぎているのです。

では、撮影監督ならどう指示するでしょうか。

「夕暮れ時、オレンジ色の光が差し込む海岸沿いの道を、一台の赤いオープンカーが駆け抜けていく。カメラはドローンで、少し上空から車を追いかけるようなアングルで撮影してほしい。風になびく髪や、タイヤが地面を蹴る様子もリアルに表現して」

ここまで具体的に指示すれば、カメラマンは監督の意図を正確に汲み取り、イメージ通りの映像を撮影できるはずです。Sora2へのプロンプトも、まさにこの「撮影監督の指示書」のように、具体的で明確であることが求められます。

ただし、ここで一つ注意点があります。それは「やみくもに長くすれば良いわけではない」ということです。不要な情報を詰め込みすぎると、かえってAIが混乱し、意図しない結果を招くこともあります。大切なのは、映像を構成する要素を整理し、的確な言葉で伝えることなのです。

Sora2動画の質を高める3つのプロンプト術

それでは、具体的にどのようなプロンプトを書けば、動画のクオリティを高めることができるのでしょうか。ここでは、特に重要となる3つのコツをご紹介します。

コツ1:超精密プロンプトを作成する

一つ目は、映像の細部にまでこだわった「超精密なプロンプト」を作成することです。先ほどの撮影監督の例のように、映像の構成要素を分解して、一つひとつ言語化していくイメージです。

私が動画を作る際に意識している要素は、主に以下の6つです。

  • 被写体:誰が、何が主役なのか(例:ふわふわの毛並みを持つ子猫)
  • アクション:被写体が何をしているのか(例:毛糸玉にじゃれついている)
  • 場所:どこにいるのか(例:日当たりの良いリビングの、厚手の絨毯の上)
  • 時間や天気:いつの出来事か(例:晴れた日の午後、窓から光が差し込んでいる)
  • カメラワーク:どのように撮影するか(例:猫の目線に近いローアングルからの接写)
  • スタイルや雰囲気:全体の色味やムード(例:温かみのある、少しノスタルジックな雰囲気)

以前、私も「猫が遊んでいる動画」という簡単なプロンプトで試したことがありました。しかし、出てきたのはなんだか薄暗い部屋で、あまり可愛くない猫が映っている、想像とはかけ離れた動画でした。

そこで、上記の6つの要素を意識してプロンプトを練り直したところ、まるでペット専門の写真家が撮ったかのような、心温まる素晴らしいクオリティの動画が生成されたのです。この経験から、細部へのこだわりが結果を大きく左右することを痛感しました。

コツ2:既存動画のリミックスは「意図」が命

Sora2には、既存の動画を元に新しい動画を生成する「リミックス」という考え方もあります。これは、一度作った動画を少しだけ修正したい時や、特定のスタイルを別の動画に適用したい時に非常に便利な機能です。

しかし、このリミックス機能を使う際も、ただ闇雲に試行錯誤を繰り返すのは非効率です。大切なのは、一つひとつの調整に「明確な意図」を持つことです。

「なんとなく雰囲気を変えてみよう」ではなく、「この動画の背景を、昼から夜に変えたい」「この人物の服装を、カジュアルからフォーマルに変更したい」といったように、具体的な目的を持ってプロンプトを修正するのです。

例えば、ある商品のプロモーション動画を作ったとします。最初のバージョンは日中の爽やかなイメージでしたが、「夜の落ち着いた雰囲気のバージョンも見てみたい」と考えたとしましょう。その場合、「時間帯を夜に変更し、街のネオンが輝く背景にしてほしい」という明確な意図を持ってリミックスの指示を出すことで、効率的にバリエーションを生み出すことができます。

一つひとつの試行錯誤に目的意識を持つことが、成功への一番の近道です。

コツ3:公式テンプレートを活用しよう

「いきなり精密なプロンプトなんて書けないよ」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。そんな時に心強い味方となってくれるのが、公式に推奨されているプロンプトの「テンプレート」です。

Sora 2 Prompting Guide | OpenAI Cookbook
Think of prompting like briefing a cinematographer who has never seen your storyboard. If you leave out details, they’ll...

例えば、以下のようなシンプルな構造が紹介されています。

「(動画のスタイルや画風)の(被写体)、(何をしているか)、(詳細な背景や設定)」

この型に当てはめて言葉を埋めていくだけでも、AIにとって非常に理解しやすい、整理された指示文になります。

例:
「アニメスタイルの一人の若い女性、雨が降る東京の交差点で、ネオンの光を反射する傘をさして立っている」

まずはこのテンプレートを基本に、少しずつオリジナルの要素を加えていく練習から始めてみてはいかがでしょうか。型を覚えることで、プロンプト作成のハードルがぐっと下がり、応用も効くようになります。

さあ、あなたもSora2で動画制作を楽しもう

今回は、Sora2で高品質な動画を作るためのプロンプトのコツについて解説しました。

  • プロンプトは漠然としたお願いではなく、「撮影監督の指示書」のように具体的に書く。
  • ただし、不要な情報を詰め込んだ長い文章が良いわけではない。
  • 「超精密プロンプト」で細部をコントロールし、「リミックス」は明確な意図を持って行う。
  • 迷ったときは、公式の「テンプレート」を活用する。

これらのポイントを意識するだけで、Sora2が生み出す動画のクオリティは劇的に向上するはずです。AIはあくまで道具です。その道具をどう使いこなすかは、私たち人間のクリエイティビティにかかっています。

皆さんは、Sora2を使ってどんな動画を作ってみたいですか。自社の商品紹介、SNSで目を引くショート動画、あるいは採用活動で使う会社のコンセプトムービーなど、可能性は無限大です。

まずは短い動画からで構いません。今回ご紹介したコツを参考に、ぜひあなただけの映像制作に挑戦してみてください。もし、Sora2のビジネス活用について具体的な相談をしたい、あるいはAI導入全般でお困りのことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。

Threads icon
岡田 直記 プロフィール写真

監修者:岡田 直記

AIコンサルント / 「ナオキのAI研究所」所長

企業のAI活用を支援するAIコンサルタント。セミナーや法人研修、個人指導などを通じ、これまでに延べ100名以上へAI活用の指導実績を持つ。現在は、主に中小企業を対象としたAI顧問として、業務効率化や生産性向上を実現するための戦略立案からツール導入までをサポート。また、個人向けには月額制の「AI家庭教師」サービスを展開し、実践的なAIスキルの習得を支援している。

自身の「元大手営業マンでスキル0から独立した」という異色の経歴を活かし、ビジネスの現場目線と最新のAI知識を組み合わせた、具体的で分かりやすい解説が強み。AI技術がもたらす未来の可能性を、一人でも多くの人に届けることを mission としている。

 

タイトルとURLをコピーしました