AI活用コンサルタントのナオキです。普段は、個人事業主や中小企業にAIを使った業務効率化のお手伝いをしています。
日々の業務に追われていると、どうしても後回しになりがちなのが、大量の資料や情報の整理ではないでしょうか。「あの資料、どこに保存したっけ」「会議の議事録を読み返す時間がない」なんて経験、誰にでもありますよね。
そんな悩みを解決してくれるかもしれない、すごいニュースが飛び込んできました。今回は、GoogleのAIツール「Notebook LM」が、私たちの仕事を劇的に変える可能性についてお話ししたいと思います。情報整理が苦手な方、もっと効率的に働きたいと考えている方は、ぜひ最後までお付き合いください。
AIがあなた専用の「賢い秘書」になる時代へ
まず、「Notebook LMってそもそも何?」という方もいらっしゃるかもしれませんね。簡単に言うと、あなたが持っている資料やデータを読み込ませて、それに関する質問に答えたり、内容を要約したりしてくれるAIアシスタントです。
例えば、あなたがPDFの報告書や、ウェブサイトの記事、自分で書いたメモなどをNotebook LMにアップロードします。すると、AIがその内容をすべて理解してくれます。その上で、「この報告書で一番重要なポイントを3つにまとめて」「このテーマについて、参考になる部分を抜き出して」といったお願いをすると、瞬時に答えを返してくれるのです。
これまでも、私自身、新しい情報をリサーチしたり、ブログ記事の構成を考えたりするときに、このNotebook LMを個人的に活用してきました。たくさんの資料を短時間でインプットできるので、本当に便利です。
ただ、これまではあくまで「個人」で使うツールという側面が強かったんですね。チームで情報を共有したり、会社のプロジェクト全体で活用したりするには、少しハードルがありました。しかし、今回のアップデートで、その状況が大きく変わろうとしています。
ビジネスと教育の現場で本格始動
今回の大きなニュースは、このNotebook LMが、二つの強力なプラットフォームに導入されるという発表です。
一つ目は、Googleの企業向けAIサービスである「Gemini Enterprise」です。これは、セキュリティや管理機能が強化された、いわばビジネス用の特別なAIサービスです。ここにNotebook LMが組み込まれることで、単なる個人の情報整理ツールから、組織全体で使える「ナレッジベース」へと進化します。
想像してみてください。あなたの会社で進んでいるプロジェクトの関連資料、過去の議事録、お客様とのメールのやり取り、企画書などをすべてNotebook LMに読み込ませたとします。
新しくチームに参加したメンバーが、プロジェクトの全体像を把握したいとき、「このプロジェクトの目的と経緯を簡単に教えて」とNotebook LMに聞くだけで、必要な情報がすぐに手に入ります。わざわざ先輩社員が時間をとって説明しなくても、AIが一次的な窓口になってくれるのです。これは、教育コストの削減にも繋がりますね。
また、会議の前に「前回の会議で決まったことと、今回の会議で話し合うべき課題は何?」と質問すれば、AIが議事録を横断的に分析して、的確なアジェンダを提案してくれるかもしれません。これまで人間が時間をかけて行っていた情報収集や整理の作業を、AIが肩代わりしてくれる未来が、もうすぐそこまで来ています。
そして二つ目は、教育現場向けの学習支援ツール「Google Classroom」への導入です。これは、特に社員研修やOJTといった場面で大きな力を発揮しそうです。
例えば、新入社員研修で分厚いマニュアルを渡されても、すべてを一度に覚えるのは難しいですよね。そんなとき、マニュアル全体をNotebook LMに読み込ませておけば、研修生は分からないことがあったときにいつでも質問できます。「この業務の手順で注意すべき点は?」「この専門用語はどういう意味ですか?」といった具体的な質問に対して、AIがマニュアルの中から的確な答えを探し出して教えてくれるのです。
これにより、教える側の負担が減るだけでなく、教わる側も質問のハードルが下がり、自分のペースで学習を進められるようになります。まさに、一人ひとりに寄り添うパーソナルな研修講師が誕生するようなものです。
私たち小規模事業者はどう活用できる?
「大企業や学校の話でしょう?」と思われるかもしれませんが、実は、私たちのような個人事業主や中小企業にこそ、この進化は大きなチャンスをもたらします。
溜まった資料が「資産」に変わる
長年ビジネスを続けていると、過去の見積書や企画書、顧客データなど、たくさんの情報が蓄積されていきますよね。それらは本来、貴重な経営資産のはずですが、多くの場合、フォルダの奥深くに眠ったままになっています。
Notebook LMを使えば、これらの過去のデータをすべて読み込ませて、いつでも引き出せる「会社の記憶装置」として活用できます。「去年、A社に提案した企画の内容を参考にしたい」「似たような案件で、過去にどんなトラブルがあったか知りたい」といった問いに、AIが即座に答えてくれるようになれば、業務の質もスピードも格段に向上するでしょう。
知識の「属人化」を防ぐ
少人数の組織でよくあるのが、特定の業務について「あの人しか知らない」という状況、いわゆる属人化です。担当者が急に休んだり、退職してしまったりすると、業務が滞ってしまうリスクがあります。
日々の業務報告やノウハウをNotebook LMに記録していく習慣をつければ、それがチーム共有の知識となります。AIがその情報を整理し、誰でもアクセスできるようにしてくれるので、スムーズな情報共有と業務の引き継ぎが可能になります。まるで、経験豊富なベテラン社員がもう一人、チームに加わったかのような心強さです。
まとめ:AIを「賢い相棒」として育てていこう
今回ご紹介したNotebook LMの進化は、AIが単に作業をこなす「道具」から、私たちの知識や経験を整理し、共に考えてくれる「協力者」や「相棒」へと変わっていく大きな一歩だと感じています。
もちろん、AIにすべてを任せるわけではありません。最終的な判断を下すのは私たち人間です。しかし、その判断をするために必要な情報を、AIが瞬時に、そして的確に提供してくれるようになれば、私たちはもっと創造的で本質的な仕事に集中できるようになるはずです。
もしあなたが今、情報の海でおぼれそうになっているなら、まずは身の回りの資料を整理するところから、AIの力を試してみてはいかがでしょうか。あなたのビジネスでは、このNotebook LMをどんな風に使ってみたいですか?ぜひ、未来の働き方を想像してみてください。
これからも、皆さまのビジネスに役立つAIの最新情報や活用術を発信していきますので、どうぞお楽しみに。


監修者:岡田 直記
AIコンサルント / 「ナオキのAI研究所」所長
企業のAI活用を支援するAIコンサルタント。セミナーや法人研修、個人指導などを通じ、これまでに延べ100名以上へAI活用の指導実績を持つ。現在は、主に中小企業を対象としたAI顧問として、業務効率化や生産性向上を実現するための戦略立案からツール導入までをサポート。また、個人向けには月額制の「AI家庭教師」サービスを展開し、実践的なAIスキルの習得を支援している。
自身の「元大手営業マンでスキル0から独立した」という異色の経歴を活かし、ビジネスの現場目線と最新のAI知識を組み合わせた、具体的で分かりやすい解説が強み。AI技術がもたらす未来の可能性を、一人でも多くの人に届けることを mission としている。