AI活用コンサルタントのナオキです。
日々の業務効率化やSNS運用などで、AIの力を実感されている方も増えてきたのではないでしょうか。特にChatGPTをはじめとする生成AIの登場は、私たちの働き方を大きく変えようとしています。
さて、そのChatGPTを開発した企業が「OpenAI」であることは、多くの方がご存知かと思います。では、そのOpenAIを率いるCEOのサムアルトマン氏がどのような人物か、ご存知でしょうか。彼の経歴を紐解くと、これからの時代を生き抜くための、そして事業を成長させるための大きなヒントが隠されていました。
今回は、AI界の最重要人物ともいえるサムアルトマン氏の意外なキャリアから、私たち個人事業主や中小企業経営者が学べる「挑戦の哲学」についてお話ししたいと思います。
AI時代の立役者、サムアルトマンとは
今や世界中のメディアに登場し、各国の首脳とも対話するサムアルトマン氏。彼はOpenAIの共同創業者であり、CEOとしてAI技術の発展をリードする存在です。その姿から、生粋の技術者やエリート経営者というイメージを持つ方が多いかもしれません。
しかし、彼のキャリアは一直線のエリート街道とは少し違います。むしろ、既存のレールから自ら外れ、新しい道を切り拓いてきた、まさに挑戦者の連続でした。その第一歩は、多くの人が驚くような決断から始まります。
名門大学を中退、19歳での大きな挑戦
最初の成功「Loopt」の創業
サムアルトマン氏は、アメリカの名門スタンフォード大学でコンピューターサイエンスを学んでいました。誰もが羨むような経歴ですが、彼はなんと19歳の若さで大学を中退するという決断をします。
皆さんが19歳の頃、何を考えていたでしょうか。多くの方は、大学生活を楽しんだり、将来について漠然と考えたりしていたかもしれません。しかし彼は、学歴という安定した未来の保証書を手放し、自らのアイデアでビジネスを立ち上げる道を選んだのです。
そしてすぐに仲間と共に最初の会社「Loopt」を立ち上げました。これは、スマートフォンの位置情報を利用して、友人が近くにいることを知らせる、今でいうソーシャルネットワーキングサービスの一種です。まだスマートフォンが今ほど普及していなかった時代に、その可能性にいち早く着目した先見の明があったと言えるでしょう。
43億円での売却と若き成功者への道
Looptは順調に成長し、2012年、彼はこの会社を約43億円という驚くべき金額で売却することに成功します。20代半ばにして、誰もがうらやむような大金と成功を手にしたのです。
普通なら、ここで人生のゴールテープを切って、悠々自適な生活を送ることもできたはずです。しかし、彼の物語はここで終わりませんでした。この大きな成功は、彼にとって次なるステージへの出発点に過ぎなかったのです。
成功の先に見据えたもの、投資家としての新たなステージ
次世代の起業家を育てる「Y Combinator」
Looptを売却した後、彼が選んだのは、これまでの経験を活かして次の世代の起業家を支援する「投資家」という道でした。
彼は、スタートアップ、つまり新しく立ち上がったばかりの会社を支援し、育てることで有名な組織「Y Combinator」に参加し、後にはその代表に就任します。ここでは、AirbnbやDropboxといった、今や世界的な大企業を初期段階から支援し、世に送り出してきました。
自らが起業家として成功した経験を持つからこそ、彼は若い挑戦者たちの悩みや課題を深く理解し、的確なアドバイスを送ることができたのでしょう。
そして、世界を変える「OpenAI」の誕生へ
投資家として輝かしい実績を積み上げていた彼ですが、2015年にキャリアの転機となる大きな一歩を踏み出します。それが、イーロンマスク氏らと共にAI研究機関「OpenAI」を共同で設立したことです。
当初、OpenAIは特定の企業の利益のためではなく、「人類全体に利益をもたらすAI」を開発することを目的とした非営利団体としてスタートしました。目先の利益を追い求めるのではなく、AIという強力な技術が人類の未来にとって良い方向に進むように導く、という非常に壮大なビジョンを掲げていたのです。
そしてご存知の通り、ChatGPTの登場によって、そのビジョンは現実のものとなりつつあります。彼の挑戦は、ついに世界中の人々の生活や仕事に直接的な影響を与える段階にまで到達したのです。
私たちがサムアルトマンから学べること
彼の波乱に満ちたキャリアは、AIに関心を持つ私たちビジネスパーソンにとって、多くの示唆を与えてくれます。
「安定」という名の固定概念を疑う勇気
大学中退という彼の選択は、従来の価値観で見れば「リスク」以外の何物でもありません。しかし彼は、そこに自分の情熱を注げる「チャンス」を見出しました。今の事業や働き方に対して、私たちは無意識のうちに「こうあるべきだ」という固定概念に縛られていないでしょうか。時には常識を疑い、自分の心の声に従って一歩踏み出す勇気も必要です。
成功はゴールではなく、次への通過点
43億円での会社売却という大きな成功に安住せず、彼は投資家、そしてAI研究機関の設立者へと、常に新しい挑戦を続けました。事業が軌道に乗ると、現状維持に満足してしまいがちです。しかし、彼は成功を次のステージへの切符と捉え、常に学び、進化し続けました。私たちも、小さな成功を積み重ねながら、その先に何を目指すのかを考え続ける姿勢が大切です。
大きなビジョンが人を動かす
OpenAIが掲げた「人類全体への貢献」というビジョンは、多くの優秀な研究者や技術者を引きつけました。利益だけを追求するのではなく、その事業が社会にどのような価値を提供するのか。そうした大きなビジョンを持つことが、困難な状況でも前に進むための原動力となり、仲間を集める力にもなるのです。
まとめ
今回は、OpenAIのCEOであるサムアルトマン氏のキャリアをご紹介しました。彼の歩みは、AIという最先端技術の話であると同時に、普遍的な「挑戦の物語」でもあります。
学歴や既存のルールにとらわれず、自らの情熱とビジョンを信じて行動し続ける。その姿勢こそが、彼を時代の寵児へと押し上げた最大の要因ではないでしょうか。
AIという技術そのものを学ぶことももちろん重要ですが、こうしたAIの世界を創り出している人々の物語に目を向けてみることで、また違った角度からビジネスのヒントが得られるかもしれません。
これからも、皆さんのビジネスに役立つAIの情報や、その裏側にある興味深いストーリーをお届けしていきます。一緒に学び、未来を創っていきましょう。


監修者:岡田 直記
AIコンサルント / 「ナオキのAI研究所」所長
企業のAI活用を支援するAIコンサルタント。セミナーや法人研修、個人指導などを通じ、これまでに延べ100名以上へAI活用の指導実績を持つ。現在は、主に中小企業を対象としたAI顧問として、業務効率化や生産性向上を実現するための戦略立案からツール導入までをサポート。また、個人向けには月額制の「AI家庭教師」サービスを展開し、実践的なAIスキルの習得を支援している。
自身の「元大手営業マンでスキル0から独立した」という異色の経歴を活かし、ビジネスの現場目線と最新のAI知識を組み合わせた、具体的で分かりやすい解説が強み。AI技術がもたらす未来の可能性を、一人でも多くの人に届けることを mission としている。