属人化はもう怖くない。AIで作る「引き継ぎ資料」の新常識

仕事に活かすAI

AI活用コンサルタントのナオキです。

さて、突然ですが皆さんに質問です。スタッフの退職や部署異動に伴う「業務の引き継ぎ」、スムーズに進んでいますか。「あの人にしか分からない業務」が多くて、資料作成に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。

引き継ぎ資料の作成は、ただでさえ忙しい通常業務に加えて発生する、時間と手間のかかる作業です。何から書けばいいのか、どこまで詳しく説明すればいいのか、考え始めるとキリがありませんよね。

今回は、そんな面倒な引き継ぎ資料の作成を、AIが劇的に効率化してくれたという驚きの実例をご紹介します。この記事を読めば、AIをいかに賢く、そして簡単に業務に取り入れられるかが分かるはずです。

なぜ引き継ぎ資料作りは大変なのか

本題に入る前に、少しだけ引き継ぎ業務の大変さについて共感させてください。特に、少数精鋭で運営されている個人事業や中小企業では、業務の属人化が起こりやすい傾向にあります。

「この業務の担当は〇〇さんだけ」という状況が続くと、いざその人が異動や退職となったときに、業務がストップしてしまうリスクがあります。それを防ぐためにマニュアルや引き継ぎ資料が必要なのですが、日々の業務に追われて作成が後回しになってしまうのが現実ではないでしょうか。

いざ資料を作ろうとしても、

  • そもそも何を書けばいいのか、構成を考えるだけで一日が終わってしまう
  • 自分の頭の中にある暗黙知を、どうやって言葉にすればいいか分からない
  • 抜け漏れがないか不安で、何度も書き直してしまう

といった壁にぶつかります。結果的に、膨大な時間をかけて作ったにもかかわらず、分かりにくい資料になってしまったり、肝心な情報が抜けてしまったりすることも少なくありません。皆さんの会社でも、似たような経験はありませんか。

驚きの実話!AIが引き継ぎ資料を20分で作成

先日、あるクライアントさんから、まさにこの引き継ぎ資料に関する驚きのエピソードを聞きました。その方は退職を控えており、後任の方のために、ご自身が担当していた多岐にわたる業務内容をまとめる必要がありました。ゼロから作れば、少なくとも数日はかかりそうな作業量です。

そこで彼は、普段から業務管理に使っていたあるツールに搭載されているAI機能を試してみることにしました。

業務管理ツール「Notion」の活用

彼が使っていたのは「Notion」というツールです。ご存知の方も多いかもしれませんが、Notionはデジタルなノートやタスク管理、データベースなどを自由に組み合わせられる、非常に便利なクラウドサービスです。

彼は日頃から、担当業務に関するメモやプロジェクトの進捗、会議の議事録などをすべてNotionのページに記録として残していました。言わば、彼の仕事のすべてが詰まったデジタルな業務日誌のようなものです。

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ワンクリックで叩き台が完成

退職前の大仕事として引き継ぎ資料の作成に取り掛かった彼は、膨大な情報量を前に少し途方に暮れていました。その時、ふとNotionに搭載されているAI機能のことを思い出したのです。

彼は、これまで書き溜めてきた業務関連のページをいくつか指定し、Notion AIにこう指示しました。

「これらのページの内容を元に、後任者向けの引き継ぎ資料を作成してください」

すると、どうでしょう。ほんの数十秒後、画面には驚くべきものが表示されました。業務の概要、月間の定例業務、週次のタスク、イレギュラー対応の手順、関連部署の連絡先リストなど、見事に構成された引き継ぎ資料の骨子が自動で生成されたのです。

AIは、彼が蓄積してきた複数のページから情報を読み取り、文脈を理解し、「引き継ぎ資料」として最適な形に再構築してくれたのです。これには、彼自身も「まさかここまでやってくれるとは」と声を上げたそうです。

わずか20分の修正で高品質な資料に

もちろん、AIが作ったものが100%完璧というわけではありません。専門的な用語のニュアンスが少し違っていたり、会社独自のカルチャーに関する補足が必要な部分もあったりしました。

しかし、最も時間のかかる「構成を考える」「情報を整理して文章化する」という作業は、すべてAIが肩代わりしてくれました。彼が行ったのは、AIが作った叩き台に対して、人間ならではの細やかな視点で修正や追記を加えることだけ。

その作業時間は、わずか20分ほどだったそうです。ゼロから作れば数日かかっていたであろう質の高い引き継ぎ資料が、AIとの共同作業によって、コーヒーを一杯飲むくらいの時間で完成してしまいました。

AI活用のポイントは「普段からの情報蓄積」

この事例は、私たちにAIをうまく活用するための重要なヒントを教えてくれます。それは、「普段からの情報蓄積がAIの性能を最大限に引き出す」ということです。

今回のケースでNotion AIが素晴らしい成果を出せたのは、AIが参照できる「質の高いデータ」が、日々の業務記録という形でNotion内に十分に蓄積されていたからです。AIは魔法の杖ではありません。与えられた情報を元に、最適な答えを導き出す賢いアシスタントなのです。

もし、彼の業務記録が紙のノートや個人のパソコン内に散らばっていたら、AIはここまで正確な資料を作ることはできなかったでしょう。

皆さんも、ぜひ今日から意識してみてはいかがでしょうか。日々の業務メモ、会議の議事録、クライアントとのやり取りなどを、Notionのような一つのツールにまとめて記録していくのです。その一つ一つの情報が、未来のあなたや同僚を助ける貴重な「資産」になります。

まとめ:面倒な作業はAIに任せて、人はもっと創造的な仕事を

今回ご紹介した事例は、AIが私たちの働き方をいかにポジティブに変えてくれるかを示す、ほんの一例に過ぎません。引き継ぎ資料の作成だけでなく、

  • 長文の議事録を要約して、決定事項と担当タスクを洗い出す
  • お客様への丁寧なメール文面を考える
  • 新しいサービスのアイデアやブログ記事の構成案を出す

など、AIは様々な場面で私たちの「面倒くさい」「時間がかかる」を解決してくれます。

AIは、私たちの仕事を奪う恐ろしい存在ではありません。むしろ、人間が本来やるべき、より創造的で付加価値の高い仕事に集中させてくれる、頼もしいパートナーです。

まずは、何か一つ、小さな作業からAIに任せてみませんか。その小さな一歩が、あなたのビジネスを大きく飛躍させるきっかけになるかもしれません。

私もAIを活用した業務効率化やSNS運用、CRM導入のお手伝いをしています。もし「自分のビジネスではどう使えばいいか分からない」といったお悩みがあれば、いつでもお気軽にご相談くださいね。

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岡田 直記 プロフィール写真

監修者:岡田 直記

AIコンサルント / 「ナオキのAI研究所」所長

企業のAI活用を支援するAIコンサルタント。セミナーや法人研修、個人指導などを通じ、これまでに延べ100名以上へAI活用の指導実績を持つ。現在は、主に中小企業を対象としたAI顧問として、業務効率化や生産性向上を実現するための戦略立案からツール導入までをサポート。また、個人向けには月額制の「AI家庭教師」サービスを展開し、実践的なAIスキルの習得を支援している。

自身の「元大手営業マンでスキル0から独立した」という異色の経歴を活かし、ビジネスの現場目線と最新のAI知識を組み合わせた、具体的で分かりやすい解説が強み。AI技術がもたらす未来の可能性を、一人でも多くの人に届けることを mission としている。

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