AI活用コンサルタントのナオキです。中小企業の経営者様や個人事業主へ、AIを使った業務効率化やSNS運用のお手伝いをしています。
最近、クライアントの皆様とお話ししていると、「AIって便利だけど、これからの人の採用はどうなるんだろう?」という声をよく耳にするようになりました。人を雇うべきか、それともAIツールを導入すべきか。これは、これからのビジネスを考える上で非常に重要なテーマですよね。
実は今、AIの進化が企業の「採用戦略」そのものを大きく変えようとしています。今回は、最新の調査データをもとに、AIが私たちの働き方や採用のあり方にどのような影響を与えるのか、そして私たちはそれにどう備えるべきか、一緒に考えていきたいと思います。
世界の経営者はAIと採用をどう考えているのか?
少し衝撃的なデータからお話しさせてください。最近のある調査によると、世界の経営者のうち、なんと4割以上が「AIの導入によって、すでに人員を減らした」と回答しているのです。
これは、単なるコスト削減の話だけではありません。約4分の1の企業は、「新卒採用レベルの業務のほとんどは、AIで代替できる」と考えていることも明らかになりました。つまり、新しい人材を採用する前に、「この仕事、まずはAIで対応できないだろうか?」と検討する流れが、世界的に強まっているのです。
皆さんの会社ではいかがでしょうか。例えば、毎日のデータ入力や定型的なメールの返信、SNSの投稿文の草案作成など、これまで若手社員に任せていた業務を、すでにAIに任せ始めているという方もいらっしゃるかもしれませんね。
この傾向は、企業の年次報告書といった公式な文書にもはっきりと表れています。近年、「スキルアップ」や「再教育」といった言葉よりも、「自動化」という言葉が格段に多く使われるようになっているのです。これは、企業が人材育成よりも、AIによる業務の自動化を優先的に考えている、という強いメッセージとも受け取れます。
新卒採用のあり方が変わる?AIが代替する業務
では、具体的にどのような業務がAIに代替されると考えられているのでしょうか。特に影響が大きいと言われているのが、新卒社員や若手社員が担当することの多い「定型業務」です。
AIが得意な仕事、人がやるべき仕事
AIが非常に得意なのは、ルールやパターンが決まっている作業です。例えば、以下のような業務が挙げられます。
- 大量のデータ入力や整理
- 会議の議事録作成
- 顧客からのよくある質問への一次対応
- 市場調査のための情報収集や簡単な分析
- SNS投稿のアイデア出しや下書き作成
これまで、こうした業務は若手社員が仕事の基本を学ぶための「下積み」として位置づけられてきました。しかし、AIは人間よりも速く、正確に、そして文句も言わずにこれらの作業をこなしてくれます。そうなると、企業がこうした業務のために人を採用する理由は、どんどん少なくなっていきますよね。
もちろん、これは「人が不要になる」という意味ではありません。むしろ、「人にしかできない、より付加価値の高い仕事に集中してもらう」ための変化だと捉えるべきです。AIが自動で集めてくれたデータをどう解釈し、次のビジネス戦略に活かすか。AIが作った文章の草案を、お客様の心に響く言葉にどう磨き上げるか。そこにこそ、人間の価値が発揮されるのです。
若者世代のキャリアはどうなる?入り口が狭まる懸念
この変化は、特にこれから社会に出る若者世代、いわゆるZ世代にとって大きな影響を与える可能性があります。
これまで多くの人が経験してきた「まずは定型業務から覚えて、少しずつステップアップしていく」というキャリアパスが、通用しなくなるかもしれないからです。キャリアの入り口となるはずだったポジションがAIに置き換わることで、実務経験を積む機会が減ってしまうのではないか、という懸念の声も上がっています。
しかし、これを悲観的に捉える必要はないと私は考えています。見方を変えれば、若手社員がキャリアの早い段階から、定型業務ではなく、より創造的で戦略的な仕事に挑戦できるチャンスが生まれるとも言えます。AIをアシスタントとして使いこなし、最初から高いレベルの仕事に取り組む。そんな新しい働き方が当たり前になるのかもしれません。
AIと共存するために、今すぐ私たちがすべきこと
ここまでAIがもたらす変化についてお話ししてきましたが、現時点のデータでは、AIの導入が直接的に社会全体の失業率を押し上げている、とまでは断定できないようです。大切なのは、AIを恐れるのではなく、AIとどう共存していくかを考えることです。では、経営者として、また一人のビジネスパーソンとして、私たちは何をすべきなのでしょうか。
求められるのは「AIを使いこなす力」
これからの時代に最も重要になるスキルは、間違いなく「AIを使いこなす力」です。AIを単なる道具としてではなく、優秀なパートナーや部下として捉え、その能力を最大限に引き出す力が求められます。
具体的には、次のようなスキルが重要になります。
一つ目は、「AIへの的確な指示を出す力」です。AIは魔法の杖ではありません。私たちが何をしたいのか、どんな成果物が欲しいのかを、具体的で分かりやすい言葉で伝えてあげないと、期待通りの働きはしてくれません。
二つ目は、「AIの出した結果を評価し、活用する力」です。AIが作成した文章やデータが、本当に正しいのか、ビジネスの目的に合っているのかを判断するのは人間の役目です。その上で、AIの成果を元に、より良いアイデアを生み出したり、意思決定を行ったりする力が不可欠です。
そして何より、「人間ならではの力」、つまりコミュニケーション能力や共感力、創造性といったスキルは、ますます価値を高めていくでしょう。AIにはできない温かい対話や、既成概念を打ち破るような斬新な発想こそが、これからのビジネスの競争力になります。
これからの「スキルアップ」とは
企業の報告書では「自動化」という言葉が目立つ一方で、私たち個人にとっては、やはり「スキルアップ」が生き残りの鍵となります。ただし、その意味合いは少し変わってきます。新しいツールを覚えるだけでなく、AIをどう活用して自分の仕事の価値を高めるか、という視点での学び直し、いわゆる「リスキリング」が重要になるのです。
経営者の方であれば、従業員がAIを使いこなせるように研修の機会を設けたり、AIに任せられる業務を洗い出して、社員にはより創造的な業務に集中してもらうような体制づくりを検討することが、会社の成長につながるはずです。
まとめ
今回は、AIが企業の採用戦略や私たちの働き方に与える影響についてお話ししました。AIの導入によって一部の仕事がなくなる可能性はありますが、それは同時に、私たちがより人間らしい、付加価値の高い仕事に集中できるチャンスでもあります。
AIを脅威と捉えるか、それとも強力な味方と捉えるか。その視点の違いが、今後のビジネスの成否を分けることになるでしょう。
これからも、皆さんのビジネスに役立つAI活用のヒントを発信していきます。AI導入に関するお悩みやご相談があれば、いつでもお気軽にご連絡くださいね。最後までお読みいただき、ありがとうございました。


監修者:岡田 直記
AIコンサルント / 「ナオキのAI研究所」所長
企業のAI活用を支援するAIコンサルタント。セミナーや法人研修、個人指導などを通じ、これまでに延べ100名以上へAI活用の指導実績を持つ。現在は、主に中小企業を対象としたAI顧問として、業務効率化や生産性向上を実現するための戦略立案からツール導入までをサポート。また、個人向けには月額制の「AI家庭教師」サービスを展開し、実践的なAIスキルの習得を支援している。
自身の「元大手営業マンでスキル0から独立した」という異色の経歴を活かし、ビジネスの現場目線と最新のAI知識を組み合わせた、具体的で分かりやすい解説が強み。AI技術がもたらす未来の可能性を、一人でも多くの人に届けることを mission としている。