AIを活用したビジネスコンサルティングを行っているナオキです。日頃は中小企業の皆さんや個人事業主の方々に向けて、業務効率化やSNS運用のお手伝いをしています。
さて、最近イギリスの元首相であるボリス・ジョンソン氏がAIについて興味深い発言をして話題になりました。それは「AIが国の運営をもっと効率的にできる」というものです。
なんだかとてもスケールの大きな話に聞こえますよね。しかし、実はこれ、私たちの日々のビジネスや業務改善にも深く関わる、とても大切な視点なんです。今回はこのニュースを切り口に、AIがもたらす未来と、私たちが今からできることについて、一緒に考えていきたいと思います。
弁護士費用が建設費より高い?AIが解決する巨大プロジェクトの課題
ジョンソン氏が例に挙げたのは、イギリスで進められている「HS2」という高速鉄道の建設計画でした。彼はこのプロジェクトで、純粋な建設費用よりも、弁護士を雇う費用や環境への影響を評価する手続きなど、いわゆる「お役所仕事」にかかるコストの方がはるかに大きいと指摘したのです。驚くべきことに、その費用はプロジェクト全体の半分以上を占めることもあるそうです。
新しい鉄道を一本通すために、なぜそんなに莫大な手続き費用がかかるのでしょうか。それは、複雑な法律の確認、何百ページにも及ぶ書類の作成、土地の所有者や地域住民との調整など、膨大で時間のかかる作業が必要だからです。一つ一つの手続きは、法律に則って正確に進めなければならず、膨大な時間と人手、そして専門家の力が必要になります。
この話を聞いて、皆さんはどう思われましたか。実はこれ、規模は違えど私たちのビジネス現場でも同じようなことが起きているのです。例えば、素晴らしい商品やサービスを持っていても、契約書の作成や確認、許認可の申請、経費の精算といったバックオフィス業務に追われて、本来集中すべき本業の時間が削られてしまう。そんな経験はありませんか。
ジョンソン氏が提唱するのは、こうした非効率な部分をAIに任せようというアイデアです。例えば、AIは過去の膨大な法律文書や判例を瞬時に学習し、必要な書類の草案を自動で作成することができます。環境評価に必要なデータ収集や分析も、人間が行うよりはるかに速く、正確にこなせるでしょう。
つまり、人間が膨大な時間をかけて行っていた調査や書類仕事の多くを、AIが肩代わりしてくれる未来です。これにより、プロジェクトはもっと速く、そして安く進められるようになるのです。
国のコスト削減が、私たちの暮らしを豊かにする
国の巨大プロジェクトで生まれた余分なコストが削減されると、私たちにどんな良いことがあるのでしょうか。
一番わかりやすいのは、税金の使われ方が変わることです。手続きに使われていた莫大な予算が、例えば社会福祉や医療、子どもたちの教育といった、より直接的に私たちの生活を豊かにする分野に回せるようになります。新しい道路や施設ができるまでの期間も短縮され、その恩恵をより早く受けられるようになるかもしれません。
そして、この「AIによる効率化」という考え方は、国の運営だけでなく、私たちのビジネスにこそ大きな可能性を秘めています。
中小企業こそAI効率化の恩恵が大きい
私が普段お仕事をさせていただいている中小企業や個人事業主の皆さんは、限られた時間と人材でビジネスを運営されています。だからこそ、AIによる業務効率化がもたらすインパクトは、大企業よりもむしろ大きいと私は考えています。
以前、あるお客様から「毎月の請求書作成と送付作業に丸一日かかってしまい、新しい企画を考える時間が取れない」という相談を受けました。そこで、会計ソフトと連携するAIツールを導入し、請求書の発行から送付までを自動化する仕組みを整えました。その結果、これまで一日がかりだった作業が、わずか数十分で終わるようになったのです。空いた時間で新しいサービスの開発に集中できるようになったと、大変喜んでいただけました。
これはほんの一例です。他にも、顧客からのよくある質問に自動で回答してくれるAIチャットボットを導入したり、SNSに投稿する文章のアイデアをAIに考えてもらったりと、活用方法は無限にあります。
国レベルの壮大な話も、突き詰めれば「面倒で時間のかかる作業はAIに任せて、人間はもっと創造的で価値のある仕事に集中しよう」という、私たちにとって非常に身近なテーマと同じなのです。
AIと共に歩む未来へ、私たちが今から準備すべきこと
ジョンソン氏が語るような、AIが社会のインフラを支える未来は、もはやSF映画の中だけの話ではありません。では、私たちはこの大きな変化の波にどう向き合っていけば良いのでしょうか。
まずは小さな一歩から試してみる
「AI導入」と聞くと、何やら高価なシステムを導入して、専門家を雇わなければならない、と身構えてしまうかもしれません。しかし、その必要は全くありません。大切なのは、まず小さな一歩を踏み出してみることです。
最近では、無料で使える文章作成AIや画像生成AIがたくさんあります。例えば、次回のブログ記事の下書きをAIに頼んでみる、SNS投稿に添える画像をAIに作ってもらう、といったことから始めてみてはいかがでしょうか。
大切なのは、AIを「得体の知れない魔法の箱」として恐れるのではなく、「自分の仕事を助けてくれる便利なアシスタント」として捉え、まずは気軽に触れてみることです。使っているうちに、自分のビジネスのどこに応用できそうか、きっとアイデアが湧いてくるはずです。
AIに仕事を奪われるのではなく、AIを使いこなす側になる
AIの進化について話すと、「仕事が奪われるのではないか」という不安の声をよく耳にします。確かに、単純な事務作業やデータ入力といった仕事は、今後AIに置き換わっていくでしょう。
しかし、AIはあくまで道具です。最終的な意思決定を下したり、お客様の心に寄り添ったコミュニケーションを取ったり、全く新しいアイデアを生み出したりすることは、人間にしかできません。これからの時代に求められるのは、AIという優秀なアシスタントをいかに上手く使いこなし、自分の仕事の価値をさらに高めていけるか、というスキルです。
AIに仕事を奪われることを心配するのではなく、AIを乗りこなして、これまで以上に大きな成果を出せる側になる。そんな視点を持つことが、これからのビジネスでは不可欠になります。
国の運営から日々の業務まで、AIがもたらす効率化の波は、私たちの想像を超える速さで社会全体に広がっています。この変化をチャンスと捉え、今日からできる小さな一歩を踏み出してみませんか。
AIの活用について、もし何かお困りのことや相談したいことがあれば、いつでもお気軽にお声がけください。皆さんのビジネスが、テクノロジーの力でさらに飛躍するためのお手伝いができれば幸いです。
監修者:岡田 直記
AIコンサルント / 「ナオキのAI研究所」所長
企業のAI活用を支援するAIコンサルタント。セミナーや法人研修、個人指導などを通じ、これまでに延べ100名以上へAI活用の指導実績を持つ。現在は、主に中小企業を対象としたAI顧問として、業務効率化や生産性向上を実現するための戦略立案からツール導入までをサポート。また、個人向けには月額制の「AI家庭教師」サービスを展開し、実践的なAIスキルの習得を支援している。
自身の「元大手営業マンでスキル0から独立した」という異色の経歴を活かし、ビジネスの現場目線と最新のAI知識を組み合わせた、具体的で分かりやすい解説が強み。AI技術がもたらす未来の可能性を、一人でも多くの人に届けることを mission としている。

