Google研究者が語る「AGIの前に来たる」AIの真の姿

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AI活用の専門家として活動しているナオキです。

日頃、中小企業の経営者様や個人事業主の方から、業務効率化やSNS運用についてご相談をいただく中で、AIへの関心が日に日に高まっているのを感じます。皆さんも、ニュースでAIの話題を目にするたびに「自分のビジネスにどう活かせるだろうか」「未来はどうなってしまうのだろうか」と、期待と少しの不安を感じているのではないでしょうか。

未来のAIと聞いて、皆さんはどんな姿を想像しますか。人間のように話し、考え、どんな仕事もこなしてしまう。まるで映画に出てくるような万能な存在でしょうか。

今日はそんなAIの未来について、少し違った、しかし非常に現実的でワクワクするような視点をご紹介したいと思います。Google DeepMindの研究者が語った、新しいAIの未来像です。

「何でもできるAI」の前に現れるもの

AIの世界には、AGI、つまり汎用人工知能という言葉があります。これは、人間ができるあらゆる知的作業を、人間と同じかそれ以上にこなせるAIのことを指します。まさに、先ほどお話しした「何でもできる万能AI」ですね。多くの研究者がこのAGIの実現を目指していますが、その完成がいつになるのかは、まだ誰にも分かりません。

映画で見るような「万能AI」はまだ先?

しかし、Google DeepMindの研究者であるシェーン・キルパトリック氏は、私たちがAGIという壮大な存在に出会う前に、もっと身近な形でAIの真価を体験することになると語っています。彼によれば、人々はAGIを難しい定義としてではなく、「身近な製品」として体験するというのです。

これはどういうことでしょうか。彼は、あらゆる分野で完璧なAIが一度に登場するのではなく、特定の分野で人間の能力をはるかに超える「特化型AI」が、先に私たちの社会に浸透していくだろうと予測しているのです。

AIは「身近な製品」として私たちの日常に

「特化型AI」と聞くと少し難しく感じるかもしれませんが、例えるなら「凄腕の専門家」のようなものです。

例えば、コミュニケーションは苦手だけれど、経理のことなら誰にも負けない。デザインのセンスはないけれど、プログラミングなら世界一。そんな、一つの分野に突出した能力を持つ専門家をイメージしてみてください。

AIも同じように、まずは特定の領域で驚異的なパフォーマンスを発揮する形で登場するというのです。まだ人間のように雑談をしたり、空気を読んだりすることはできなくても、「この作業だけは人間の何倍も速くて正確」というAIが、次々と製品やサービスとして私たちの手の届くところに来る。これが、キルパトリック氏が描くAIの未来像なのです。

「特化型AI」がもたらすビジネスの変革

では、こうした「凄腕の専門家AI」は、私たちのビジネスに具体的にどのような変化をもたらすのでしょうか。

プログラミングの世界で起こるかもしれない革命

キルパトリック氏は、その一例としてプログラミングの分野を挙げています。将来的には、人間がこなせる量の10倍もの効率で作業するプログラマーAIが登場するかもしれない、と。

これがもし実現したら、ビジネスの世界は一変するでしょう。これまで大規模な開発チームと長い時間が必要だったシステムの構築が、ほんの数人、あるいは一人で、しかも短期間で可能になるかもしれません。ウェブサイトの制作や業務アプリの開発コストは劇的に下がり、個人事業主の方でも、ちょっとしたアイデアをすぐに形にできるようになるのです。

私自身も、普段の業務でコードを書く際にAIアシスタントの助けを借りることがありますが、現時点ですら生産性は確実に上がっていると実感しています。これが10倍となると、もはや仕事の進め方そのものが根本から変わってしまうほどのインパクトです。

あなたのビジネスではどう活かせる?

そして、この革命はプログラミングの世界に限りません。皆さんのビジネスのあらゆる場面で、同じような変化が起こり得ます。

例えば、SNS運用。ターゲット層に最も響く文章と画像を自動で生成し、最適なタイミングで投稿してくれる「SNS運用専門AI」が登場すれば、広報担当者がいなくても効果的な情報発信が可能になります。

例えば、顧客対応。お客様からのお問い合わせに対し、過去の膨大なやり取りや購入履歴を瞬時に分析し、一人ひとりに合わせた最適な回答を生成する「カスタマーサポート専門AI」。これがあれば、顧客満足度は飛躍的に向上するはずです。

他にも、経理や事務作業を完璧にこなすAI、市場調査と分析のプロフェッショナルであるAIなど、様々な「専門家AI」が考えられます。

少し立ち止まって考えてみてください。もしあなたの会社に、「この作業だけは人間の10倍の速さと正確さでこなせるAI」を導入できるとしたら、どの業務を任せたいですか。

未来のAIとどう向き合うべきか

このような話をすると、「AIに仕事を奪われるのではないか」という不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、私は少し違う見方をしています。

「仕事を奪われる」のではなく「強力な相棒」と捉える

これらの「特化型AI」は、私たちの仕事を奪う存在というよりも、むしろ「非常に優秀な部下」や「頼れる業務パートナー」と捉えるべきだと考えています。

凄腕の専門家を雇うのと同じです。私たちは、AIに専門的な作業を任せることで、自分たちはもっと創造的で、人間にしかできない仕事に集中できるようになるのです。例えば、新しいサービスの企画、お客様との信頼関係の構築、経営戦略の立案といった、ビジョンを描き、決断を下す役割です。

私がCRM導入を支援しているお客様の中にも、AIに顧客データの分析やレポート作成を任せることで、ご自身は分析結果をもとにお客様一人ひとりへのアプローチを考える時間を作れるようになった、という事例があります。AIを「道具」や「相棒」として使いこなすことで、ビジネスの質を一段階も二段階も引き上げることができるのです。

今からできる準備とは

では、こうした未来に向けて、私たちは今から何を準備すればよいのでしょうか。

まずは、ご自身の業務を一度見直してみてください。そして、「AIに任せられそうな定型的な作業」と「自分にしかできない創造的な作業」に分けてみましょう。業務を整理するだけでも、AI活用のヒントが見えてくるはずです。

そして、ChatGPTをはじめとする、今すぐに使える身近なAIツールに触れてみることをお勧めします。最初は簡単な文章作成やアイデア出しからで構いません。少しずつAIと協業する感覚に慣れておくことが、未来の「専門家AI」をスムーズに受け入れ、使いこなすための第一歩になります。

まとめ

今回は、Google DeepMindの研究者が語るAIの未来像についてお話ししました。

何でもできる万能なAIが突然現れるのではなく、まずは特定の分野で人間を遥かに超える「特化型AI」が、「身近な製品」として私たちのビジネスや生活に浸透していく。

これは、私たち中小企業の経営者や個人事業主にとって、大きなチャンスです。これまで人手やコストの面で難しかった課題を、強力なAIパートナーと共に解決できる時代がすぐそこまで来ています。

この変化の波を脅威と捉えるか、チャンスと捉えるか。それは、私たち次第です。ぜひ、AIという新しい時代のパートナーと手を取り合って、あなたのビジネスをさらに飛躍させていきましょう。

私も、皆さんがAIをうまく活用できるよう、これからも情報発信を続けていきたいと思います。

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岡田 直記 プロフィール写真

監修者:岡田 直記

AIコンサルント / 「ナオキのAI研究所」所長

企業のAI活用を支援するAIコンサルタント。セミナーや法人研修、個人指導などを通じ、これまでに延べ100名以上へAI活用の指導実績を持つ。現在は、主に中小企業を対象としたAI顧問として、業務効率化や生産性向上を実現するための戦略立案からツール導入までをサポート。また、個人向けには月額制の「AI家庭教師」サービスを展開し、実践的なAIスキルの習得を支援している。

自身の「元大手営業マンでスキル0から独立した」という異色の経歴を活かし、ビジネスの現場目線と最新のAI知識を組み合わせた、具体的で分かりやすい解説が強み。AI技術がもたらす未来の可能性を、一人でも多くの人に届けることを mission としている。

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