脱ChatGPT?シリコンバレーで中国製AIが急増する2つの理由

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AI活用コンサルタントのナオキです。中小企業の皆さんや個人事業主の方々へ、AIを使った業務効率化のお手伝いをしています。

さて、皆さんはAIと聞くと、どのサービスを思い浮かべますか?多くの方がChatGPTのような、有名な企業のサービスをイメージするかもしれません。しかし今、AI開発の最前線であるアメリカのシリコンバレーで、これまでの常識を覆すような大きな地殻変動が起きているのをご存知でしょうか。

今日は、この新しい波が、日本の私たちのビジネスにどんなチャンスをもたらすのか、分かりやすくお話ししていきたいと思います。

大手一強の時代は終わり?シリコンバレーで起きている変化

これまでAIの世界では、ChatGPTを開発したOpenAIや、その後を追うAnthropicといった、巨大テック企業が開発する高性能なAIモデルが市場をリードしてきました。これらのAIは非常に賢く、私たちの仕事のやり方を大きく変える力を持っています。

しかし、その一方で「利用コストが高い」「会社の重要な情報を外部のサービスに送るのが不安」といった声があったのも事実です。私もクライアント様から、AIの月額費用が思ったより負担になっている、というご相談を受けることがよくありました。

そんな中、最近アメリカのNBCニュースが興味深い動きを報じました。シリコンバレーの多くのスタートアップ企業が、これまで使ってきた大手AIモデルから、中国製のオープンソースAIモデルへと乗り換え始めているというのです。

一体なぜ、彼らはこれまでと違う選択をし始めたのでしょうか。その背景には、私たち中小企業や個人事業主にとっても見逃せない、2つの大きなメリットがありました。

なぜ今「中国製AI」なのか?2つの大きなメリット

新しいものが注目されるには、必ず理由があります。今回、シリコンバレーの企業が中国製のAIモデルに注目している理由は、非常にシンプルです。

メリット1:驚きのコストパフォーマンス

一つ目の理由は、なんといってもそのコストパフォーマンスの高さです。

現在、最も賢いとされるAIは「フロンティアAI」と呼ばれています。これは、AI技術の最先端を走る、いわばトップクラスの性能を持つAIのことです。これまでの常識では、こうした高性能なAIを使うには、それなりの利用料を支払う必要がありました。

ところが、最近登場している中国製のオープンソースAIモデルは、このフロンティアAIに匹敵するほどの性能を持ちながら、その多くがなんと無料で利用できるのです。

「オープンソース」とは、プログラムの設計図が公開されていて、誰でも自由に利用したり、改良したりできる仕組みのことです。これにより、開発コストを抑えながら、世界中の技術者が協力して性能を高めていくことができます。

月々数千円、数万円とかかっていたAIの利用料がゼロになるかもしれない。これは、限られた予算の中で事業を運営している私たちにとって、非常に大きなインパクトがありますよね。コストを気にすることなく、様々な業務でAIを試せるようになる可能性が広がります。

メリット2:自社で管理できるという安心感

そして二つ目の理由が、セキュリティ面でのメリットです。これが、私が特に注目しているポイントです。

多くの中国製オープンソースAIモデルは、「セルフホスティング」に対応しています。これは、少し専門的な言葉ですが、要するに「自社のパソコンやサーバーの中でAIを動かすことができる」という意味です。

普段私たちが使っているChatGPTのようなAIサービスは、インターネットを通じて、開発会社の巨大なサーバーにアクセスして利用します。つまり、私たちが入力した情報は、すべて外部のサーバーに送られているわけです。

これに対してセルフホスティングは、AIそのものを自分の管理下にある環境に「住まわせる」イメージです。そのため、会社の機密情報やお客様の大切な個人情報を、外部に送信することなくAIで処理できます。情報漏洩のリスクを根本から大幅に減らすことができるのです。

CRM導入支援なども行っている私としては、このメリットは計り知れないほど大きいと感じています。お客様の情報を守ることは、ビジネスの信頼そのものですから。この安心感は、何物にも代えがたい価値があります。

日本の私たちにとって、これはどんなチャンスになる?

「シリコンバレーの話でしょう?私たちには関係ないのでは?」と思うかもしれません。しかし、この流れは間違いなく、日本のビジネスシーンにも大きな影響を与えます。むしろ、これは私たちにとって絶好のチャンスなのです。

まず、AI導入の金銭的なハードルが劇的に下がります。これまで「AIは便利そうだけど、費用がかかるから…」と導入をためらっていた業務にも、積極的に活用を検討できるようになるでしょう。

例えば、お客様からの簡単な問い合わせに自動で答えるチャットボット、毎日のSNS投稿のアイデア出し、膨大な社内資料の要約など、これまで人手に頼っていた作業をAIに任せることで、より創造的な仕事に時間を使えるようになります。

さらに、士業やコンサルティング業、医療関係など、特に厳しい情報管理が求められる業界の方々にとっても、セルフホスティング可能なAIは救世主となり得ます。社内の機密情報を安全に活用して、自社だけの業務マニュアルを学習させた「スーパーアシスタント」を作る、なんてことも夢物語ではなくなるのです。

もちろん、良いことばかりではない?導入前に考えるべきこと

ただし、専門家として冷静な視点もお伝えしておかなければなりません。こうしたオープンソースAIの導入は、良いことばかりではありません。

まず、セルフホスティングには、ある程度の技術的な知識や、AIを動かすためのサーバー環境の準備が必要です。ボタン一つで簡単に始められる、というわけにはいかないケースもあります。

また、モデルによっては、まだ日本語の処理能力が十分ではない可能性も考えられます。そして、何かトラブルが起きた時に、大手サービスのような手厚いサポートは期待できないかもしれません。

ただ安いから、便利そうだから、という理由だけで安易に飛びつくのではなく、自社の目的や技術力に合わせて、慎重に選択肢を検討することが大切です。

AI選びは「賢い消費者」になる時代へ

AIの世界は、私たちが思っている以上のスピードで進化し、多様化しています。

これまでは、有名な大手AIサービスを使うのが当たり前でした。しかしこれからは、まるでスーパーで食材を選ぶように、自分のビジネスの目的、予算、そしてセキュリティ要件に合わせて、世界中にある様々なAIモデルから最適なものを選ぶ「賢い消費者」になる時代がやってきます。

今回ご紹介した中国製オープンソースAIの台頭は、その象徴的な出来事です。この新しい波をうまく捉えることができれば、小規模なビジネスでも大企業と渡り合えるような、強力な武器を手にすることができるでしょう。

あなたのビジネスでは、どんな業務にAIが活躍してくれそうでしょうか?

AIの活用は、もはや他人事ではありません。今日の話が、あなたのビジネスを次のステージへ進めるための、何か一つのヒントになれば心から嬉しく思います。AIの導入や活用について、もし何かお困りのことがあれば、いつでもお気軽にご相談くださいね。

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岡田 直記 プロフィール写真

監修者:岡田 直記

AIコンサルント / 「ナオキのAI研究所」所長

企業のAI活用を支援するAIコンサルタント。セミナーや法人研修、個人指導などを通じ、これまでに延べ100名以上へAI活用の指導実績を持つ。現在は、主に中小企業を対象としたAI顧問として、業務効率化や生産性向上を実現するための戦略立案からツール導入までをサポート。また、個人向けには月額制の「AI家庭教師」サービスを展開し、実践的なAIスキルの習得を支援している。

自身の「元大手営業マンでスキル0から独立した」という異色の経歴を活かし、ビジネスの現場目線と最新のAI知識を組み合わせた、具体的で分かりやすい解説が強み。AI技術がもたらす未来の可能性を、一人でも多くの人に届けることを mission としている。

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