中国のAI事情に学ぶ!ビジネスと未来を変える「見える化」の重要性

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AI活用の専門家ナオキです。中小企業の皆さんや個人事業主の方々がAIを使って業務を効率化したり、SNS運用を改善したりするお手伝いをしています。

最近、生成AIなどの登場で、AIという言葉を耳にしない日はないくらいになりましたね。多くの方が「何かすごいことが起きているぞ」と感じているのではないでしょうか。私も日々、その進化のスピードに驚かされています。

しかし、技術がどんどん進歩するだけで、本当にAIは私たちの社会に根付いていくのでしょうか。今日は少し視点を変えて、中国のAI事情から見えてきた、これからのAI発展に欠かせない大切なヒントについてお話ししたいと思います。技術の話だけでなく、AIと社会がどう関わっていくべきか、一緒に考えてみませんか。

中国で見たAIと人々の驚くべき距離感

先日、中国のAI関連イベントの様子をオンラインで見る機会があったのですが、そこで繰り広げられていた光景に、私は正直なところ、度肝を抜かれました。

そこでは、まるでSF映画の世界から飛び出してきたかのようなロボットたちが、大勢の観客の前で技術を競い合う競技大会が開催されていました。また、別の日には、様々なAIロボットが街を練り歩く大規模なパレードが行われ、子どもからお年寄りまで、多くの市民がその様子を笑顔で見守っていました。

日本では、AIというとパソコンやスマートフォンの中のソフトウェアであったり、工場の奥で動く産業用ロボットであったりと、普段の生活で直接目に触れる機会はまだ少ないかもしれません。しかし中国では、AIロボットがごく当たり前に人々の前に姿を現し、エンターテイメントとして楽しまれているのです。この、AIと人々の距離感の近さ。これが単なるお祭り騒ぎで終わらない、非常に重要な意味を持っていると感じました。

「見える化」がもたらす技術革新の好循環

では、なぜAIを多くの人々に見せることが重要なのでしょうか。そこには、技術革新を加速させる素晴らしい好循環が生まれるからです。

企業の技術競争が活発になる

まず一つ目の理由は、開発企業間の健全な競争が生まれることです。

自分の会社が開発したロボットを大勢の観客の前で披露するとなれば、開発者たちは「他社よりも優れたものを」「もっと人々を驚かせるものを」と、必死に技術を磨きます。これは私自身の経験にも重なります。フリーランスとしてお客様に成果物をお見せする時が、一番集中力が高まりますし、良いものを作ろうという意欲が湧いてきます。

このように、多くの人の目に触れる機会があるからこそ、技術は磨かれ、開発のスピードも格段に上がっていくのです。閉ざされた研究所の中だけで開発が進むのではなく、社会という開かれた舞台で競い合うことが、技術全体のレベルを底上げする強力なエンジンとなります。

未来の才能を育む土壌ができる

そして、もう一つ、さらに重要な理由があります。それは、未来を担う子どもたちに夢と希望を与えることです。

パレードで見た最新のAIロボットに目を輝かせている子どもたち。彼らの中から、「すごい、かっこいい。自分もいつかあんなロボットを作ってみたい」と思う子が現れるのは、ごく自然なことでしょう。この純粋な憧れこそが、将来の優秀な技術者や研究者を生み出す最高の土壌となります。

日本でも小学校でプログラミング教育が必修化されるなど、未来に向けた取り組みは始まっています。しかし、教科書で学ぶ知識だけでなく、実際に動いている最先端のAI技術に触れる「体験」は、子どもたちの好奇心を刺激し、学習意欲を何倍にも引き上げてくれるはずです。中国のイベントは、まさに国全体で未来の才能を育てている現場だと言えるでしょう。

日本の私たちが今できること

「なるほど、中国のスケールはすごいな。でも、それは遠い国の話でしょう」と感じた方もいるかもしれません。しかし、この「AIを見える化する」という視点は、個人事業主や中小企業の経営者にとっても、大いに参考にできるはずです。

例えば、近年注目されている「自動運転車」を考えてみましょう。これは、AIが車に搭載されたカメラやセンサーからの情報を分析し、人間ドライバーのように周囲の状況を判断して、安全に車を操作するシステムのことです。この技術が社会に広く受け入れられるためには、技術的な安全性の確保はもちろんですが、それと同じくらい「多くの人々がAIによる運転を信頼し、安心して任せられる」という社会的なコンセンサスが不可欠です。

そのためには、開発企業が積極的にデモンストレーションを行ったり、試乗会を開いたりと、人々が技術に触れる機会を増やし、その仕組みや安全性を丁寧に説明していく必要があります。

これは、皆さんのビジネスにも置き換えることができます。

あなたは、ご自身のビジネスでAIをどのように活用していますか。そして、そのことを社内やお客様にどれくらい伝えているでしょうか。

例えば、AIを使って面倒な事務作業を自動化し、大幅な時間短縮に成功したとします。その事実を自分の中だけに留めておくのではなく、「AIのおかげで、お客様への対応により多くの時間を使えるようになりました」と、社内やお客様に伝えてみてはどうでしょうか。また、SNSの投稿作成にAIを活用しているなら、その裏側を少しだけ見せて、「AIと一緒にこんな面白いコンテンツを作っています」と発信するのも良いかもしれません。

AIを単なる「効率化のための黒子」として隠すのではなく、むしろ積極的に「見える化」していく。そうすることで、周囲の人々のAIへの理解が深まり、あなたのビジネスに対する新たな興味や信頼にも繋がっていくはずです。

AI技術と人が共に歩む未来へ

今回は、中国のAIイベントを切り口に、AI技術の発展には社会全体の関心と理解がいかに重要か、というお話をしてきました。

どれだけ優れた技術が生まれても、それを使う私たち人間が関心を持たず、理解しようとしなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。中国の事例は、AIという最先端技術を人々の日常に溶け込ませ、社会全体でその未来を育んでいこうという強い意志の表れのように見えました。

私たちも、AIを遠い世界の難しい話だと捉えるのではなく、もっと身近なパートナーとして捉え直す時期に来ているのかもしれません。まずは、あなたのスマートフォンに入っているAIアシスタントに話しかけてみる。気になったAIツールを試しに使ってみる。そして、AIについて同僚や友人と話してみる。そんな小さな一歩から、AIと人が共に歩む豊かな未来が始まっていくのだと私は信じています。

これからも、皆さんのビジネスと生活を豊かにするAIの活用法について、分かりやすくお伝えしていきます。一緒に未来を作っていきましょう。

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岡田 直記 プロフィール写真

監修者:岡田 直記

AIコンサルント / 「ナオキのAI研究所」所長

企業のAI活用を支援するAIコンサルタント。セミナーや法人研修、個人指導などを通じ、これまでに延べ100名以上へAI活用の指導実績を持つ。現在は、主に中小企業を対象としたAI顧問として、業務効率化や生産性向上を実現するための戦略立案からツール導入までをサポート。また、個人向けには月額制の「AI家庭教師」サービスを展開し、実践的なAIスキルの習得を支援している。

自身の「元大手営業マンでスキル0から独立した」という異色の経歴を活かし、ビジネスの現場目線と最新のAI知識を組み合わせた、具体的で分かりやすい解説が強み。AI技術がもたらす未来の可能性を、一人でも多くの人に届けることを mission としている。

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