AI活用コンサルタントのナオキです。フリーランスとして、個人事業主や中小企業の皆さんの業務効率化をお手伝いしています。
さて今日は、AIとの付き合い方が根本から変わるかもしれない、画期的なニュースをご紹介します。僕たちが普段から使っているAIアシスタント、Claudeに「記憶機能」が搭載されました。
「またAIに同じ説明をしなきゃいけないのか…」皆さんも一度はこんな風に感じたことがありませんか。プロジェクトの背景、自社の情報、文体の好みなど、AIとの対話では毎回同じ指示を繰り返すのが、地味なストレスでしたよね。
しかし、今回のアップデートでそんな手間はもう過去のものになるかもしれません。AIがあなたとの会話を覚えてくれる。これは、まるで専属のアシスタントを雇うような、大きな変化の始まりです。
この記事では、Claudeの新しい記憶機能が私たちの仕事をどう変えるのか、具体的な活用シーンを交えながら、分かりやすく解説していきます。
AIが「覚えてくれる」とはどういうことか
まず、Claudeの新しい「記憶機能」が一体何なのか、簡単におさらいします。
これまでのAIとの対話の課題
これまで、ほとんどのチャットAIは、一度会話を終えてチャット画面を閉じてしまうと、それまでのやり取りを忘れてしまうのが当たり前でした。AIにとっては、毎回が「はじめまして」の状態だったわけです。
例えば、あなたが自社の新商品に関するブログ記事の作成をAIに手伝ってもらっていたとします。初日に商品の特徴やターゲット顧客について詳しく説明し、いくつかの見出し案を作ってもらいました。そして翌日、「昨日の続きで、ブログの本文を書いて」とお願いしても、AIは「昨日とは何の話ですか?」となってしまう。これが今までの常識でした。
僕自身も、クライアントごとに異なる事業内容やSNSのコンセプトを、その都度AIに説明し直す作業に、もどかしさを感じることが多々ありました。
記憶機能で生まれる新しい対話体験
しかし、Claudeに搭載された記憶機能は、この課題を解決してくれます。AIが過去の会話から重要な情報を学び、記憶してくれるのです。
例えば、一度あなたが「僕は〇〇という会社を経営していて、主な事業はウェブ制作です。ブログ記事は、専門家だけど親しみやすいトーンで書きたい」と伝えたとします。
すると次回以降、あなたが「新しいブログ記事のアイデアをちょうだい」と話しかけるだけで、Claudeは「承知しました。ウェブ制作に関するテーマで、親しみやすいトーンの記事案をいくつか提案しますね」と、文脈を理解した上で応答してくれるようになります。
これは単に過去のログを参照するのとは違います。AIがあなたというユーザーの好み、仕事のスタイル、プロジェクトの背景などを「理解」し、対話の前提として活用してくれるのです。まるで、長年一緒に仕事をしている同僚と話すような、スムーズで自然なコミュニケーションが実現します。
個人事業主・中小企業経営者のための具体的な活用法
では、この記憶機能は私たちのビジネスに具体的にどんなメリットをもたらすのでしょうか。業務の効率化やSNS運用の視点から、いくつかの活用例を考えてみました。
企画書や提案書の作成が劇的にスピードアップ
資料作成は、多くの経営者やフリーランスにとって時間のかかる業務の一つです。毎回、会社の基本情報や事業概要、強みなどを書き起こすのは大変ですよね。
この記憶機能を使えば、そうした定型的な情報を一度Claudeに記憶させておくだけで済みます。
例えば、
「うちの会社は創業10年で、主な強みは地域密着の丁寧なサポートです」
「ターゲット顧客は、都心で働く30代の女性です」
といった情報を記憶させておきます。
そして、「新規クライアント向けのサービス提案書のたたき台を作って」と指示すれば、AIはそれらの記憶された情報をもとに、あなたの会社に最適化された提案書の骨子をあっという間に作成してくれるでしょう。思考を中断させることなく、本来集中すべき提案内容の検討に時間を使えるようになります。
SNS運用のブレない世界観を構築
SNS運用で大切なのは、一貫性のある情報発信です。しかし、忙しい日々の中で投稿内容を考えたり、複数の担当者で運用したりしていると、どうしてもトーン&マナーがブレてしまいがちです。
そこで、自社アカウントのコンセプトやペルソナ(理想の顧客像)、投稿のルールなどをClaudeに記憶させてみましょう。
「このアカウントのペルソナは、健康志向の20代社会人です」
「投稿文は必ず絵文字を使わず、丁寧語で書きます」
「ハッシュタグは#〇〇と#△△を必ず付けます」
このようにルールを覚えさせておけば、「今週のインスタ投稿案を5つ考えて」とお願いするだけで、アカウントの世界観に沿った質の高い投稿案が安定して得られるようになります。まるで、自社のブランドを熟知したSNS担当者が一人増えたような心強さです。
まるでプロジェクトの一員、頼れる壁打ち相手に
新しい事業を考えたり、顧客管理の仕組み(CRM)を導入したりする際、信頼できる相談相手がいると心強いですよね。Claudeの記憶機能は、そんな「壁打ち相手」としても非常に優秀です。
プロジェクトの目的、課題、関係者、予算といった前提条件をすべて記憶させておけば、いつでも的確なアドバイスをくれるパートナーになります。
「先日話したCRM導入プロジェクトの件だけど、導入後の顧客フォローメールの文面を、ターゲットAさん向けに3パターン考えてくれないか」
こんな風に話しかければ、AIはプロジェクトの全体像を理解した上で、具体的なアイデアを出してくれます。一人で考え込まずに済むので、より良い意思決定ができるようになるはずです。
あなたのビジネスでは、どんな情報をAIに覚えておいてほしいですか。きっと、考えるだけでワクワクしてきますよね。
利用方法と知っておきたいこと
最後に、この便利な記憶機能の利用方法と、注意点について触れておきます。
利用できるプランと今後の展開
現時点(2024年8月時点)で、この記憶機能は「Claude Max」「Team」「Enterprise」といった一部の有料プランの利用者から、順次提供が開始されています。まだすべてのユーザーが使えるわけではありません。
もしあなたが無料プランやProプランを利用している場合、もうしばらく待つ必要がありますが、今後、他のプランにも導入が拡大される予定とのことです。AIの世界は日進月歩ですから、今後のアップデートを楽しみに待ちましょう。
記憶の管理は自分でできるから安心
「AIに何でも覚えられてしまうのは、少し怖いかも」と感じる方もいるかもしれませんが心配は無用です。
この機能では、何を記憶させ、何を忘れさせるかをユーザー自身が完全にコントロールできます。具体的には、「この会話の内容は記憶しなくていいよ」と指示したり、設定画面から記憶内容の一覧を確認して個別に削除したりすることが可能です。
プライバシーに関わる情報や、一時的なメモなど、覚えてほしくない内容はその都度指示できるので、安心して利用できます。
まとめ:AIとの「協業」がいま始まる
今回は、Claudeに搭載された新しい記憶機能についてご紹介しました。
このアップデートは、私たちがAIと関わるスタイルを、単なる「ツールへの指示」から、より対等な「パートナーとの協業」へと進化させる、大きな一歩だと感じています。
AIが私たちのビジネスや好みを理解し、パーソナルなアシスタントとして成長していく。そんな未来が、もうすぐそこまで来ています。この変化の波に乗り遅れないよう、新しい技術を積極的に試していくことが、これからの時代を生き抜く鍵になるでしょう。
僕もさっそくこの記憶機能をフル活用して、クライアントの皆さんへの提供価値をさらに高めていきたいと考えています。また何か面白い活用法が見つかったら、このブログで共有しますね。
一緒にAIを賢く活用して、ビジネスをどんどん加速させていきましょう。