AI活用コンサルタントのナオキです。フリーランスとして、中小企業の皆さんや個人事業主の方々へ、AIを使った業務効率化のお手伝いをしています。
「AIってなんだか難しそう」「開発するには専門の知識や技術者が必要なんでしょ?」
クライアントの皆さんとお話ししていると、今でもこんな声をよく耳にします。確かに少し前までは、AI開発は一部の専門家だけのものでした。しかし、その常識はもう過去のものです。
実は今、プログラミングの知識がほとんどなくても、誰でも自分だけのAIサービスを、しかも無料で開発できる時代が来ています。それを可能にするのが、今回ご紹介するGoogle AI Studioです。この記事を読めば、あなたも今日からAIクリエイターとしての一歩を踏み出せるかもしれません。
AI開発は専門家の仕事?そんな時代はもう終わりです
これまでAIをビジネスに活用しようとすると、いくつかの高いハードルがありました。まず、AIを開発するための専門的なプログラミング知識が必要です。そして、優秀なエンジニアを雇うための高額なコストや、開発にかかる長い時間も覚悟しなければなりませんでした。これでは、私たちのような個人事業主や中小企業が気軽に手を出せるものではありませんでしたよね。
しかし、Googleが提供する「Google AI Studio」の登場によって、この状況は劇的に変わりました。まるで、これまでプロの料理人にしか作れなかった高級料理のレシピが公開され、誰でも家庭のキッチンで再現できるようになったようなものです。
Google AI Studioって一体何?
では、そのGoogle AI Studioとは一体何なのでしょうか。少し噛み砕いてご説明しますね。
直感的にAIと対話できる実験室
Google AI Studioは、一言でいえば「Googleが開発した最新の高性能AIを、誰でも気軽に試せる実験室」のような場所です。難しい設定は必要なく、チャット形式でAIに話しかけながら、その性能を確かめたり、自分好みのAIに調整したりすることができます。
この実験室のすごいところは、ただAIとおしゃべりするだけでなく、そこから自分だけのオリジナルのAIアプリケーションを生み出せる機能が備わっている点です。
今回の主役「Build apps」機能
その魔法のような機能を担うのが、今回ご紹介したい「Build apps」というアプリ構築機能です。
これは、あなたが思い描いた「こんなAIがあったら便利なのに」というアイデアを、プログラミングコードを一行も書くことなく、実際のアプリケーションの形にしてくれる画期的な機能です。まるで、頭の中にある設計図を渡すだけで、優秀な職人が「カチッ」とボタンを押すように、あっという間に製品の試作品を作ってくれるようなイメージです。
アイデアを形にする、驚くほど簡単なステップ
「いくら簡単と言っても、やっぱり専門的な操作が必要なんじゃないの?」と思われるかもしれません。でも、本当に驚くほどシンプルなんです。提供元の資料にある「クリック一つで、小さなバナナが生まれる」という表現は、この手軽さを的確に表しています。バナナのように、皮をむけばすぐに食べられる手軽さで、AIという栄養価の高い果実を手にできるのです。
具体的な手順を見ていきましょう。
ステップ1 アイデアを言葉にする
まず必要なのは、あなたのアイデアです。あなたが「どんなAIに、何をしてほしいのか」を、普段使っている日本語でAIに伝えるだけです。これを「指示文」や「プロンプト」と呼びます。
例えば、私のようなSNS運用を支援する仕事なら、「親しみやすい口調で、ITに詳しくない個人事業主向けに、AIの便利な使い方を300文字程度で解説する投稿文を3パターン考えてください」といった具体的な指示を出します。
あなたがカフェの経営者なら、「春の新メニュー『さくらラテ』の魅力を伝える、インスタグラム用のキャッチコピーを5つ考えて」といった指示でも良いでしょう。
ステップ2 クリック一つでAIが誕生
してほしいことを言葉で伝えたら、あとは画面にある「Build apps」のボタンをクリックするだけ。たったこれだけで、あなたの指示を理解したAIが、専用のアプリケーションとして自動的に生成されるのです。
先ほどのカフェの例でいえば、「商品名を入力すると、インスタ用のキャッチコピーを5つ考えてくれるAIアプリ」が、ほんの数秒であなたの目の前に現れます。プログラミングの黒い画面と格闘する必要は一切ありません。
ステップ3 試して、育てて、自分だけのAIに
もちろん、一度で完璧なAIができるとは限りません。生成されたアプリを実際に使ってみて、「もっと優しい言葉遣いにしてほしいな」「絵文字は使わないでほしい」といった改善点が見つかることもあるでしょう。
そんな時も大丈夫。追加で指示を書き加えたり、手本となる文章を見せたりすることで、AIをどんどん賢く、あなた好みに「育てて」いくことができます。まるで、新人のスタッフに仕事を教えながら、少しずつ成長させていく感覚に似ています。
私も試してみました。SNS投稿アシスタントAI作成記
先日、私自身もこの機能を使って、クライアント向けのAIツールを作ってみました。そのクライアントは素晴らしいサービスをお持ちなのですが、SNSでの発信が少し苦手で、投稿文を考えるのにいつも時間がかかっていました。
そこで私が作ったのが、「サービスのターゲット層と伝えたい要点を入力するだけで、魅力的なSNS投稿文の案を3つ提案してくれるAI」です。
指示文には、「あなたはプロのSNSマーケターです。以下のターゲットと要点を踏まえて、読み手の心に響く投稿文を3パターン作成してください」といった基本的な役割設定と、いくつか良い投稿文のサンプルをAIに学習させました。
そして「Build apps」ボタンをクリック。本当にあっという間に、クライアント専用の「SNS投稿アシスタントAI」が完成しました。今ではクライアントもこのAIを使って、以前の半分以下の時間で投稿を作成できるようになったと喜んでいます。
あなたのビジネスならどう使う?活用アイデア集
ここまで読んで、少しワクワクしてきませんか。あなたのビジネスなら、どんなAIが作れそうでしょうか。可能性は無限に広がっています。
例えば、こんな使い方が考えられます。
- 飲食店経営者向け: お客様のレビューを分析し、人気のメニューや改善点を要約してくれるAI
- オンラインショップ運営者向け: 商品説明文を入力すると、SEOに強い魅力的なタイトルを考えてくれるAI
- コンサルタント・士業向け: 専門的な内容のブログ記事の構成案を自動で作成してくれるAI
- 採用担当者向け: 募集したい職種を伝えると、面接で聞くべき質問リストを作成してくれるAI
これらはほんの一例です。日々の業務の中で「この作業、もっと楽にならないかな」「誰か代わりに考えてくれないかな」と感じる瞬間があれば、それはAIアプリを作る絶好のチャンスです。
必要なのは、ひらめきと一歩踏み出す勇気だけ
Google AI Studioの登場で、AIは「使う」ものから「作る」ものへと、そのステージを大きく変えようとしています。そして、その主役は専門家だけではありません。現場の課題を一番よく知っている、あなた自身なのです。
この記事でお伝えしたかったことは、たった三つです。
一つ、Google AI Studioは無料で利用できること。
二つ、プログラミングの知識はほとんど必要ないこと。
三つ、必要なのはあなたの「こうなったら良いな」というアイデアだけだということ。
まずは遊び感覚で、気軽にこの「未来の実験室」を覗いてみませんか。あなたのビジネスを加速させるユニークなAIが、あなたのその手から生まれる日も、そう遠くないかもしれません。
私も、皆さんのビジネスに役立つAI活用術をこれからも発信していきます。あなたの挑戦を、心から応援しています。