AI活用コンサルタントのナオキです。フリーランスとして、中小企業の皆さんや個人事業主へ、AIを使った業務効率化やSNS運用のサポートをしています。
皆さんのビジネスでは、動画コンテンツを活用していますか。商品の紹介やサービスの解説、会社の魅力を伝える採用動画など、動画の重要性は年々高まっていますよね。しかし、いざ作ろうとすると「編集ソフトの使い方が難しい」「編集作業に時間がかかりすぎる」「外注するとコストがかかる」といった壁にぶつかってしまう、というお悩みもよく耳にします。
もし、そんな動画編集の悩みをAIが一瞬で解決してくれるとしたら、どうでしょうか。
今回は、まさにそんな未来を現実にするかもしれない、画期的なAIサービスが登場しましたので、ご紹介したいと思います。動画制作の常識が、根底から変わるかもしれません。
ついに来た、AIによる全自動動画編集の時代
先日、Genspark社という企業が「Genspark Clip Genius」という驚くべき新機能を発表しました。これは一言で言うと、「AIにたった一つ指示を出すだけで、動画をまるごと自動で作り上げてくれる」サービスです。
これまでもAIを使った動画編集ツールは存在しましたが、その多くは動画の一部分を切り抜いたり、字幕を自動で生成したりといった、あくまで編集作業を部分的にサポートするものでした。
しかし、このGenspark Clip Geniusは次元が違います。動画制作のプロセス、つまりコンテンツの分析から始まり、どうすれば魅力的な動画になるかというストーリー構成、そしてカット編集や音楽の追加といった実際の編集作業、さらには最終的な完成まで、ほぼ全ての工程をAIが自動で処理してくれるのです。
AIはどのようにして動画を作り上げるのか
では、具体的にAIは何をしてくれるのでしょうか。もう少し詳しく見ていきましょう。
指示はたった一言でいい
このツールの最大の特徴は、操作が非常にシンプルであることです。私たちがやるべきことは、素材となる動画クリップを用意し、「AIへの命令文」、いわゆるプロンプトを入力するだけです。
例えば、皆さんが撮影した複数の製品紹介動画があるとします。それをAIに渡して、「この動画素材を使って、SNS投稿用の30秒の紹介動画を作って。テンポの良い音楽をつけて、商品の魅力が伝わるようにしてね」といった指示を出すイメージです。
するとAIは、その指示内容を理解し、素材動画の中から最適なシーンを自動で選び出します。そして、話の流れが自然になるようにクリップをつなぎ合わせ、指示に合った雰囲気の音楽を付け、最終的に一本の完成された動画を出力してくれるのです。
面倒な編集作業もAIにおまかせ
動画編集で時間がかかる作業の一つに、複数の動画クリップを組み合わせたり、画面を分割して同時に見せたりする作業があります。例えば、対談動画で二人の話者を同時に画面に表示させたり、商品の使用前と使用後を並べて見せたりするような編集です。
これまでは編集ソフト上で、一つひとつのクリップの長さを調整し、画面上の配置を決める、といった細かい手作業が必要でした。Genspark Clip Geniusは、こうした複数のクリップの結合や画面分割といった複雑な作業も、指示に基づいて自動で実行してくれます。
これにより、専門的な編集スキルや知識がなくても、誰でも簡単に見栄えのする、プロが作ったような動画を手にすることができるようになるのです。
ビジネスにどんな変化が生まれるのか
この技術は、特に私たちのような個人事業主や中小企業にとって、大きなチャンスをもたらす可能性があります。
私が支援しているクライアントさんの中にも、動画の必要性は感じつつも、リソース不足でなかなか手を出せずにいた方が多くいらっしゃいます。Genspark Clip Geniusのようなツールが一般的になれば、そうした状況は一変するでしょう。
例えば、次のような活用が考えられます。
まずは、SNSでの情報発信です。新商品の入荷情報やキャンペーンの告知、お客様の声などを、手軽に動画にして毎日でも発信できるようになります。動画は文字や画像だけの投稿よりも情報量が多く、視聴者の印象に残りやすいため、集客や売上アップに直結する可能性を秘めています。
次に、社内業務の効率化です。例えば、新入社員向けの研修内容や、複雑な業務の手順などを動画マニュアルとして作成しておくことができます。これまではマニュアル作成にも多大な時間と労力がかかっていましたが、AIを使えば、担当者が作業している様子を撮影するだけで、分かりやすい動画マニュアルが自動で完成する、といった未来が待っています。
動画制作を外注していた企業にとっては、大幅なコスト削減につながるでしょう。そして、これまで動画制作にかけていた時間や人手を、商品開発や顧客対応といった、より本質的な業務に集中させることができるようになります。
大切になるのは「何を伝えるか」という視点
AIが動画編集を代行してくれる時代になると、私たち人間の役割も変わってきます。重要になるのは、編集技術そのものではなく、「誰に、何を、どのように伝えたいか」という企画力やアイデアです。
AIはあくまで強力な道具です。その道具をどう使いこなすかは、私たち次第です。どんな動画を作ればお客様に喜んでもらえるだろうか。どういうストーリーにすれば、自社の魅力が伝わるだろうか。これからは、そうしたクリエイティブな思考に、より多くの時間を使えるようになります。
動画編集の技術的なハードルが下がることで、誰もが自由にアイデアを映像で表現できる時代がすぐそこまで来ています。皆さんのビジネスでは、この技術をどのように活用できそうでしょうか。ぜひ一度、ご自身の事業に置き換えて、その可能性を想像してみてください。
AIの進化は、私たちの働き方をより創造的で、人間らしいものへと変えていく力を持っています。Genspark Clip Geniusの登場は、その大きな一歩と言えるでしょう。
これからも、皆さんのビジネスに役立つAIの最新情報をお届けしていきます。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう。