AI活用コンサルタントのナオキです。フリーランスとして、個人事業主や中小企業の皆さまに、AIを使った業務効率化やSNS運用のサポートをしています。
さて、皆さんはAIチャットを使っていて、こんな風に感じたことはありませんか。「毎回、自己紹介や事業内容を説明するのが少し面倒だな」「前の会話の内容を覚えておいてくれたら、もっと話がスムーズなのに」。
まるで新しいスタッフに何度も同じことを教えるような、もどかしさを感じることがありますよね。もし、AIがあなたのことやあなたのビジネスのことをしっかりと記憶してくれて、いつでも文脈を理解した上で応答してくれるとしたら、どうでしょう。仕事の進め方が、劇的に変わるかもしれません。
実は、そんな未来を現実にする新機能が、人気のAIチャット「Claude」に搭載されました。今回は、この画期的な「メモリ機能」について、誰にでも分かるように、そして明日からすぐにでも活用をイメージできるように、詳しく解説していきます。
AIがあなたの専属アシスタントに？Claudeの「メモリ機能」とは
今回発表された新機能の目玉は、なんといっても「メモリ機能」です。一言で言うと、これは「Claudeが過去の会話の内容を長期的に覚えてくれる機能」のことです。
これまでのAIチャットは、基本的にその場限りの対話でした。一度ブラウザを閉じたり、新しいチャットを始めたりすると、以前のやり取りはリセットされてしまいます。そのため、同じプロジェクトに関する相談をする場合でも、その都度「このプロジェクトの目的は〇〇で、ターゲットは△△です」といった前提情報を伝え直す必要がありました。
しかし、このメモリ機能が搭載されたことで、そうした手間は一切不要になります。Claudeは、あなたが過去に伝えた好み、特定の指示、プロジェクトの詳細などを記憶し、それ以降のすべての会話にその情報を活かしてくれるのです。
具体的な活用シーンをイメージしてみよう
言葉で説明するだけでは、なかなかピンとこないかもしれません。そこで、日常業務に当てはめて、具体的な活用シーンをいくつか考えてみましょう。
一つ目は、ブログ記事やSNS投稿の作成です。
例えば、最初に「私のブログは、30代の若手起業家向けです。親しみやすく、でも専門的な信頼感も与えるような、少し丁寧な口調で書いてください」と伝えておくとします。すると次回以降、あなたが「新しい補助金についての記事を書いて」と指示するだけで、Claudeは以前伝えた読者層やトーンを完璧に記憶して、それに合った文章を生成してくれるようになります。もう「いつものトーンでお願いします」と付け加える必要はありません。
二つ目は、事業計画や新しい企画の壁打ち相手として使う場面です。
「先週相談した、新しいオンライン講座の件だけど、ターゲット層をもう少し広げるべきか悩んでいて…」といった形で、人間と話すように自然な会話の続きから相談を始めることができます。Claudeは「承知いたしました。前回お話しいただいた『初心者向けの導入コース』というコンセプトを踏まえると、ターゲット層を広げる場合は…」というように、過去の文脈を完全に理解した上で、的確なアドバイスを返してくれるでしょう。
三つ目は、顧客対応メールの文案作成です。
自社の製品情報、返品ポリシー、よくある質問への回答などを一度Claudeに記憶させておけば、顧客からの問い合わせ内容を伝えるだけで、自社のルールに沿った質の高い返信メールを瞬時に作成してくれます。これにより、対応のばらつきがなくなり、顧客満足度の向上にも繋がるはずです。
いかがでしょうか。まるで、あなたのビジネスを深く理解してくれている、優秀な専属アシスタントが一人増えたような感覚だと思いませんか。この機能は、私たちの働き方を根底から変える可能性を秘めています。
メモリ機能と合わせて知っておきたい新機能
今回のアップデートでは、メモリ機能と同時にもう一つ、便利な機能が追加されました。それが「シークレットモードチャット」です。こちらは、全てのユーザーが利用できます。
気軽に使える「シークレットモードチャット」
この機能は、その名の通り「会話の履歴が一切残らない」モードです。このモードでのやり取りは、Claudeの記憶に残りませんし、後から会話履歴を見返すこともできません。
では、どのような時に便利なのでしょうか。
例えば、誰にも見られたくない個人的なアイデアのメモや、頭の中を整理するための壁打ちに使いたい時です。あるいは、一時的に利用したい情報、例えば文章の誤字脱字チェックや簡単な計算など、後から見返す必要のない作業にも最適です。
重要なのは、メモリ機能との使い分けです。
長期的に覚えておいてほしい事業の根幹に関わる情報や、継続的なプロジェクトに関する相談は「通常モード（メモリ機能オン）」で。一度きりの単発の作業や、プライベートな思考整理は「シークレットモード」で。このように使い分けることで、Claudeをより安全かつ効率的に活用することができます。
どうすれば使えるの？提供状況と設定方法
さて、こんなに便利なメモリ機能ですが、現時点では企業向けの「Teamプラン」および「Enterpriseプラン」のユーザーから順次提供が開始されている段階です。無料プランや個人向けのProプランでの提供についてはまだ発表されていませんが、今後の展開に大いに期待したいところですね。
そして、気になる設定方法ですが、非常に簡単です。設定メニューから、メモリ機能のオンとオフをいつでも自由に切り替えることができます。「この会話は覚えてほしくないな」と思った時には、一時的にオフにするといった柔軟な使い方が可能です。AIに何を記憶させ、何をさせないかをユーザー自身がコントロールできるという点は、安心して利用するための重要なポイントと言えるでしょう。
まとめ
今回は、AIチャットClaudeに追加された新機能「メモリ機能」と「シークレットモードチャット」についてご紹介しました。
このメモリ機能の登場により、AIとの対話は、単なる「指示」と「応答」の繰り返しから、文脈を深く理解した上での「協業」や「対話」へと、大きく進化を遂げようとしています。これは、AIが私たちの仕事を代替するのではなく、一人ひとりに寄り添い、能力を拡張してくれる最高のパートナーになる未来を予感させます。
私自身も、クライアントへの提案資料の骨子作りや、このブログ記事のアイデア出しなどで、このメモリ機能を活用していくのが今からとても楽しみです。
この記事を読んでくださっている皆さんのビジネスでは、このAIの「記憶力」をどのように活かせるでしょうか。ぜひ一度、ご自身の業務に当てはめて想像してみてください。きっと、新しい業務効率化のヒントが見つかるはずです。
これからも、皆さんのビジネスに役立つAIの最新情報や活用術を発信していきますので、どうぞお楽しみに。
