AIを活用した業務効率化をサポートしているフリーランスのナオキです。個人事業主や中小企業の経営者様とお話ししていると、日々の業務に追われて時間が足りないという悩みをよく伺います。
もし、お使いのスマートフォンが、まるで優秀な秘書のようにあなたの指示を理解し、面倒なアプリ操作をすべて自動でこなしてくれたら、どうでしょうか。夢のような話に聞こえるかもしれませんが、実はAppleがそんな未来に向けた大きな一歩を踏み出そうとしています。
今回は、私たちの仕事のやり方を根本から変えるかもしれない、iPhoneやMacに搭載される新しいAI技術の可能性について、分かりやすく解説していきます。
Appleが目指す未来のAI秘書とは
最近、開発者向けに公開されたベータ版のプログラムコードから、非常に興味深い動きが明らかになりました。それは、Appleが「App Intents」と呼ばれる仕組みに、新しいAI技術を統合しようとしているというものです。
この「App Intents」を簡単に説明すると、「アプリに色々な作業をお願いするための共通の窓口」のようなものです。これまでも、特定のアプリの特定の機能を音声アシスタントのSiriから呼び出すために使われてきました。
今回明らかになったのは、この窓口にChatGPTのような高度なAIが接続される可能性です。これが実現すると、私たちはAIに対して「こんなことをしてほしい」と話しかけるだけで、AIがその意図を汲み取り、必要なアプリを自動で組み合わせて操作してくれるようになります。
これまでのスマートフォンの操作は、私たちが一つひとつのアプリを開き、目的のボタンをタップするという手順が必要でした。しかし、これからはAIに目的を伝えるだけで、あとは全部お任せ、という世界がやってくるかもしれません。
具体的に何ができるようになるのか
では、この技術が私たちの仕事や生活にどう影響するのでしょうか。具体的な場面を想像してみましょう。
例えば、あなたがAIに「明日の予定を整理して」と一言お願いしたとします。
するとAIは、まずあなたのカレンダーアプリを開き、明日のアポイントメントを確認します。次に関連するメールやメッセージアプリをチェックして、約束の詳細や必要な資料がないかを探し出します。さらに、天気予報アプリで明日の天候を調べ、移動に影響がないかを確認。最後に、これらの情報をまとめて、分かりやすいリストとしてメモアプリに書き出してくれる。
こんな一連の作業を、あなたが他の仕事をしている間にAIが自動で実行してくれるのです。まるで、常にそばにいてくれる優秀な秘書がいるような感覚ではないでしょうか。
個人事業主や経営者の業務がこう変わる
この技術は、特に人手が限られている個人事業主や中小企業の皆さんにとって、強力な味方になるはずです。いくつか例を挙げてみましょう。
営業担当者の場合
クライアント訪問前に「次の訪問先の準備をして」とAIに頼むだけで、AIがCRMからそのクライアントの過去の取引履歴や連絡内容を抜き出し、地図アプリで最適なルートを検索。そして、訪問の目的や要点をまとめたブリーフィングノートを作成してくれる、といったことが可能になるでしょう。移動中にスマホで資料を探し回る必要がなくなります。
SNS運用担当者の場合
「先週一番エンゲージメントが高かった投稿を参考にして、新しい投稿案を3つ作って」と指示すれば、AIがSNSの分析ツールを操作してデータを抽出し、その結果に基づいて投稿のテキスト案を生成。さらに、ストックフォトアプリから関連性の高い画像をいくつか候補として提案してくれるかもしれません。アイデア出しから下書き作成までの時間が大幅に短縮できます。
経営者の場合
毎朝「今日の重要指標をまとめて報告して」と頼むだけで、会計ソフトや販売管理システムのデータを参照し、売上や利益、顧客数の推移などをグラフ化して、チャットツールで幹部メンバーに共有する、といった業務報告の自動化も考えられます。数字の確認や報告書作成にかけていた時間を、より重要な意思決定に使えるようになります。
なぜこれが画期的なのか
「Siriやショートカット機能でも似たようなことはできたのでは」と感じる方もいるかもしれません。しかし、今回の技術が画期的なのは、AIがユーザーの「曖昧な意図」を理解し、自律的に複数のアプリを連携させてタスクを遂行する点にあります。
従来のショートカット機能は、私たちが「Aアプリでこれをした後、Bアプリでこうする」という一連の命令を、あらかじめ細かく設定しておく必要がありました。いわば、決まった手順の自動化です。
しかし、新しい仕組みでは「この目的を達成してほしい」と伝えるだけで、AIがその目的を達成するための最適な手順、つまりどのアプリをどの順番で使うかを自分で考えて実行してくれるのです。これは、単なる自動化から、真の「知的エージェント」への進化と言えるでしょう。アプリとアプリの間にあった壁がなくなり、私たちのデバイス全体が一つの賢い頭脳を持つようなイメージです。
未来への大きな一歩
もちろん、この技術はまだ開発の初期段階です。実際に私たちの手元で使えるようになるまでには、もう少し時間が必要でしょう。セキュリティの問題や、各アプリがどこまで対応するかなど、解決すべき課題もたくさんあります。
しかし、この方向性は間違いなく、私たちの働き方やテクノロジーとの付き合い方を大きく変える可能性を秘めています。高価な業務自動化ツールを導入しなくても、誰もが持っているスマートフォンが、ビジネスを加速させる強力なパートナーになるのです。
私自身、AIコンサルタントとして、この技術がクライアント様の業務効率化にどれほどのインパクトを与えるか、今から本当に楽しみにしています。
もし、あなたのiPhoneやMacがこんな風に賢くなったら、どんな仕事をお願いしてみたいですか。ぜひ、ご自身のビジネスに置き換えて想像してみてください。きっと、新しい業務効率化のヒントが見つかるはずです。
この分野の最新情報は、これからも私のブログで詳しくお伝えしていきます。次回の更新も楽しみにお待ちください。