AIを活用したビジネスコンサルティングを行っているナオキです。
最近、ChatGPTをはじめとする生成AIの進化には凄まじいですよね。資料作成からSNS投稿のアイデア出しまで、私たちのビジネスにAIを取り入れることで、これまで考えられなかったような業務効率化が可能になってきました。私自身も、クライアントの皆様にAI導入をご支援する中で、その計り知れない可能性を日々実感しています。
しかし、この華々しいAIの進化の裏側で、実は深刻な問題が持ち上がっていることをご存知でしょうか。今回は、ChatGPTを開発したOpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏が警鐘を鳴らした、AI業界が直面する大きな課題について、皆さんのビジネスにも関わる重要なポイントを分かりやすく解説していきたいと思います。
AIが「頭脳」を使うためのエネルギーが足りない？
先日、サム・アルトマンCEOが衝撃的な発言をしました。それは、「AIを動かすための計算能力が、数年以内に足りなくなるかもしれない」というものです。
ここで言う「計算能力」とは、専門用語で「コンピューティングパワー」とも呼ばれます。要は「AIが物事を考えたり、処理したりするための力」のことです。人間でいえば「脳の処理能力」や「地頭の良さ」のようなものだとイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。
私たちがChatGPTに質問を投げかけると、瞬時に的確な答えが返ってきますよね。あの裏側では、AIが膨大なデータをものすごいスピードで計算・処理しています。そのために必要なのが、高性能なコンピューターであり、その性能こそが「計算能力」なのです。
アルトマン氏によれば、AIの需要があまりにも急激に拡大しているため、世界最高峰のAI企業であるOpenAIでさえ、その需要に追いつくのがやっとの状態だというのです。皆さんも、ChatGPTを使っている時に「現在、アクセスが集中しています」といったメッセージが表示されたり、反応が少し遅く感じたりした経験はありませんか。あれは、世界中の人々が一斉にAIにアクセスし、AIの「頭脳」がフル回転していることの現れでもあるのです。
もし計算能力が足りなくなったら、どうなるのか
では、このまま計算能力が不足していくと、私たちの世界は一体どうなってしまうのでしょうか。アルトマン氏は、非常に考えさせられる例を挙げています。
究極の選択を迫られる未来
彼は、「数年後には、がん治療の画期的な研究にAIを使うか、それとも世界中の子供たちに無料で質の高い教育を提供するためにAIを使うか、といった選択を迫られるかもしれない」と語りました。
どちらも社会にとって非常に重要で、本来であれば両方とも実現したいことですよね。しかし、AIを動かすための計算能力という資源が限られていると、どちらか一方を優先せざるを得ない、という悲しい状況が生まれる可能性があるというのです。
これは、遠い未来のSF映画の話ではありません。AIの活用が社会のあらゆる分野に広がれば広がるほど、この「計算能力の奪い合い」は現実味を帯びてきます。
少し視点を変えて、私たちのビジネスに置き換えて考えてみましょう。例えば、あなたの会社で「長年の顧客データをAIで分析して、画期的な新商品を開発するプロジェクト」と、「AIチャットボットを導入して、お客様からのお問い合わせに24時間対応し、顧客満足度を劇的に向上させるプロジェクト」があったとします。
もし、社内で使えるAIの計算能力に上限があったとしたら、あなたはどちらを優先しますか？未来への投資か、それとも今のお客様へのサービス向上か。非常に悩ましい選択ではないでしょうか。このように、限られたAIリソースをどこに割り振るかという戦略的な判断が、企業の成長を左右する時代が来るのかもしれません。
私たちのビジネスへの直接的な影響
計算能力が不足するということは、それが「希少な資源」になることを意味します。そうなると、需要と供給のバランスから、AIサービスの利用料金が今後上昇していく可能性も十分に考えられます。
特に、私たちのような個人事業主や中小企業にとっては、AIの利用コストは死活問題になりかねません。だからこそ、今のうちからAIをただ闇雲に使うのではなく、「どの業務にAIを使えば、最も費用対効果が高いのか」を見極めるスキルを身につけておくことが非常に重要になります。
見えない場所での巨大な投資
こうした未来の危機を回避するため、OpenAIはすでに行動を起こしています。アルトマン氏は、AIを安定して動かすための「インフラ」に対して、前例のない規模の投資を強化していると強調しました。
ここで言う「インフラ」とは、道路や電気、水道のような社会基盤と同じです。AIという高性能な車をスムーズに走らせるためには、広くて頑丈な高速道路が必要ですよね。その道路にあたるのが、AIの世界におけるインフラです。具体的には、AIの頭脳となる半導体チップを大量に設置した「データセンター」の建設や、より電力効率の良い新しいAIチップの開発などがこれにあたります。
私自身、クライアントのCRM導入支援などでクラウドサービスをおすすめすることが多いのですが、どんなに優れたソフトウェアも、それを支えるサーバーが不安定では全く意味がありません。AIも全く同じで、その賢い頭脳を動かすための土台が、目には見えないところで非常に重要な役割を果たしているのです。OpenAIのような巨大企業が、この裏側の部分に巨額の投資をしているという事実は、AIの未来がいかにこのインフラにかかっているかを物語っています。
私たちが今、考えるべきこと
今回のサム・アルトマンCEOの発言から、私たちは何を学ぶべきでしょうか。
一つは、AIの進化は魔法ではなく、膨大な電力や半導体といった物理的なリソースに支えられているという現実です。私たちは便利なツールを享受するだけでなく、その裏側にある仕組みや課題にも少しだけ目を向ける必要があるのかもしれません。
そして、私たちビジネスパーソンにとって最も重要なのは、AIを戦略的に活用する視点を持つことです。計算能力という資源が有限である可能性を念頭に置けば、「自社のビジネスにとって、本当に価値を生むAIの使い方は何か」を真剣に考えるきっかけになるはずです。
あなたのビジネスでは、AIをどのような業務に活用したいと考えていますか？もし、AIで効率化できる業務に優先順位をつけなければならないとしたら、何から始めますか？
こうした未来を見据え、今のうちから自社の課題を洗い出し、AI活用の計画を立てておくこと。それが、数年後に他社との大きな差を生み出すための、確かな一歩となるでしょう。
私も、皆さんのビジネスに合わせた最適なAI活用法を一緒に考え、その計画作りを全力でサポートさせていただきます。AIに関するお悩みやご相談があれば、いつでもお気軽にご連絡ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
