AI活用コンサルタントのナオキです。フリーランスとして、個人事業主や中小企業の皆さまの業務効率化やSNS運用のお手伝いをしています。
最近、お客様とお話ししていると、「AIの進化が早すぎて、何から手をつけていいか分からない」「うちのビジネスにはまだ関係ないかな」といった声をよく耳にします。確かに、AIのニュースは毎日のように飛び込んできて、そのスピードに圧倒されてしまう気持ちもよく分かります。
しかし、今日お話しするのは、もはや「まだ大丈夫」と様子見をしていられない、そんな衝撃的なニュースについてです。もしかしたら、未来のSF映画の話のように聞こえるかもしれませんが、これは既に現実に起きていることなのです。
驚愕のニュース。AIが30時間でチャットアプリを開発
先日、AIの研究開発を行うAnthropic社が、驚くべき発表をしました。彼らが開発した最新のAIモデル「Claude 3.5 Sonnet」が、なんとたった30時間で、チャットアプリをゼロから作り上げてしまったというのです。
ゼロから生み出された本格的なアプリケーション
私たちが普段仕事で使っているSlackやMicrosoft Teamsのような、リアルタイムでメッセージのやり取りができるチャットアプリを、AIがたった一人で開発した、と言えばその凄さが伝わるでしょうか。
驚くべきは、その開発プロセスです。このAIは、途中でエラーを起こして止まったり、人間の助けを求めたりすることなく、30時間もの間、自律的に動き続けました。そして最終的に、約1万行にも及ぶ複雑なプログラムコードをすべて自力で書き上げたのです。
これは単に「AIが文章を書くのが上手になった」というレベルの話ではありません。人間が「こんなアプリを作って」と目標を与えただけで、AIが自ら計画を立て、必要な技術を調べ、コードを書き、テストを行い、一つの完成された製品を作り上げたことを意味します。
自律的に動く「AIエージェント」の登場
このような、与えられた目標を達成するために自ら考えて行動するAIのことを「AIエージェント」と呼びます。今回の出来事は、このAIエージェントが、もはや単純な作業の自動化だけでなく、創造的で複雑なタスクさえもこなせるようになった、という何よりの証拠です。
これまで専門のエンジニアチームが何ヶ月もかけて行っていたような開発作業を、AIがたった一日少しでやってのける。そんな時代が、もうすぐそこまで来ているのではなく、すでに始まっているのです。
この出来事が私たちにとって意味すること
「すごいニュースだけど、プログラマーの話でしょ？自分には関係ないかな」と思われた方もいるかもしれません。しかし、この変化は、あらゆるビジネスに大きな影響を与えます。特に、私たちのような個人事業主や中小企業の経営者こそ、この事実を真剣に受け止める必要があります。
「誰かが作る」から「AIが作る」時代へのシフト
これまで、新しいツールやサービスは、専門知識を持った「誰か」が生み出すものでした。そして私たちは、その中から自社に合ったものを選んで利用してきました。しかし、これからは「こんな業務を効率化するツールが欲しいな」と思いついたら、それをAIに伝えれば、自社専用のツールをAIが作ってくれる、という未来が現実味を帯びてきます。
これは、ビジネスのスピード感が根底から変わることを意味します。新しいアイデアが生まれ、それが形になり、世の中に出てくるまでの時間が、劇的に短くなるのです。
私自身も、お客様の業務をヒアリングしながら「ここに、こんな機能を持ったツールがあれば一気に楽になるのに」と感じることが多々あります。これまでは既存のサービスを探したり、開発を外注したりする必要がありましたが、今後はAIに「作ってもらう」という選択肢が当たり前になるかもしれません。
「準備ができたら」では遅すぎる理由
この変化のスピードに対応できなければ、どうなるでしょうか。
「もう少し様子を見て、みんなが使い始めたら導入しよう」「社内の準備が整ったら考えよう」
こうした慎重な姿勢は、これまでのビジネス環境では有効だったかもしれません。しかし、AIの時代においては、致命的な遅れにつながる可能性があります。
なぜなら、あなたが「様子見」をしている間にも、世界のどこかでは、誰かが、あるいはAI自身が、あなたの業界の常識を覆すような新しいサービスを生み出しているかもしれないからです。競合他社は、AIを活用して生産性を飛躍的に高め、コストを大幅に削減し、あなたよりもずっと速いスピードで顧客のニーズに応えているかもしれません。
あなたはこの変化のスピードについていけていますか。傍観者でいる間に、気づけばライバルに大きく差をつけられていた、ということになりかねないのです。
では、私たちは今から何をすべきか？
ここまでお話しすると、少し焦りや不安を感じた方もいるかもしれません。しかし、心配はいりません。今からでも決して遅くはありませんし、何もいきなりAIにアプリ開発をさせる必要はないのです。大切なのは、この変化の波に乗り遅れないという意識を持ち、小さな一歩を踏み出すことです。
まずは「知る」ことから始めよう
最初の一歩は、AIに「触れてみる」ことです。ChatGPTやGoogleのGeminiなど、今では無料で使える高性能な生成AIがたくさんあります。まずはこれらを、あなた自身の仕事や日常の中で使ってみてください。
例えば、お客様へのメールの文面を考えてもらう、ブログ記事のアイデアを出してもらう、新しい事業計画について壁打ち相手になってもらう。本当に些細なことで構いません。実際に使ってみることで、AIが何を得意で、どんなことが苦手なのかを肌で感じることができます。この「肌感覚」こそが、AIをビジネスに活かす上で最も重要な土台となります。
小さな業務改善からAI活用を試す
次に、あなたのビジネスの中で、AIに任せられそうな小さなタスクがないか探してみましょう。例えば、SNS投稿のキャプション作成、定型的な報告書の要約、顧客からのよくある質問への回答案作成など、時間を取られているけれど創造的とは言えない作業はありませんか。
私自身も、クライアントへの提案書を作成する際に、まずはAIに構成案を出してもらい、それを元に肉付けしていく、という使い方をしています。これだけでも、ゼロから考える時間が大幅に削減され、より本質的な戦略を練る時間が増えました。まずはこうした小さな成功体験を積み重ねていくことが大切です。
まとめ
AIが自分でアプリケーションを作り上げる時代は、もう始まっています。この進化のスピードは、今後さらに加速していくでしょう。「まだ大丈夫」という考えは一度脇に置いて、今すぐ行動を始める視点を持つことが、これからの時代を生き抜く鍵となります。
この大きな変化の波は、脅威であると同時に、私たちのような個人事業主や中小企業にとっては、大企業とも対等に渡り合える大きなチャンスでもあります。高価なシステムや大人数のチームがなくても、アイデアとAIを使いこなす力さえあれば、市場をリードすることだって夢ではありません。
まずはAIに触れ、その可能性を感じることから始めてみませんか。
