AI活用コンサルタントのナオキです。フリーランスとして、中小企業の皆さんや個人事業主の方々がAIを使って業務を効率化したり、ビジネスを成長させたりするお手伝いをしています。
最近、「AIを導入したいけど、コストがかかりそう」「どのAIを選べばいいか分からない」といったご相談をよくいただきます。確かに、AIの世界は日進月歩で、新しい技術が次々と登場するため、情報を追いかけるだけでも大変ですよね。
そんな中、ビジネスの現場で本当に「使える」AIとして、非常に注目すべきニュースが飛び込んできました。IT業界の巨人であるIBMが、新しいAI言語モデルシリーズ「Granite 4.0」を発表したのです。
このGranite 4.0、ただ高性能なだけではありません。特に私たちのような個人事業主や中小企業にとって、見逃せない魅力がたくさん詰まっています。今回は、この新しいAIが私たちのビジネスにどんな可能性をもたらしてくれるのか、分かりやすく解説していきますね。

IBMが本気で開発したビジネス特化AI「Granite 4.0」
まず、Granite 4.0とは何か、簡単にご紹介します。これは、ChatGPTなどで使われている「大規模言語モデル」と呼ばれるAIの一種です。しかし、一般的なAIと大きく違うのは、その開発思想です。Granite 4.0は、最初から「企業のビジネス活動で使うこと」を徹底的に考えて作られています。
皆さんもAIに何かを質問したとき、少し的外れな答えが返ってきて「うーん、惜しい!」と感じた経験はありませんか。一般的なAIは幅広い知識を持っていますが、特定の会社の内部事情や専門的な業務内容までは知りません。
Granite 4.0は、この点を克服することに力を入れています。企業の持つ独自のデータ、例えば社内マニュアルや過去の取引記録、顧客からの問い合わせ履歴などをAIが正確に理解し、それを踏まえた上で回答を生成する能力が非常に高いのです。
まさに、ただ物知りなアシスタントではなく、会社のことをしっかり分かってくれる頼れる同僚のような存在を目指していると言えるでしょう。
中小企業こそ注目!Granite 4.0の3つのすごいポイント
では、具体的にGranite 4.0の何がすごいのでしょうか。特に私たちが注目すべきポイントを3つに絞ってご紹介します。
ポイント1:驚きのコストパフォーマンス!賢いのに経済的
AI導入を考えたとき、多くの方が真っ先に心配するのがコストだと思います。高性能なAIを動かすには、高性能なコンピューターが必要で、その利用料も決して安くはありません。
しかし、Granite 4.0はこの常識を覆すかもしれません。IBMは独自の技術によって、AIが処理を行う際に使うGPUメモリを、なんと最大で70%も削減することに成功したのです。
これは車で例えるなら、「パワフルな高級スポーツカーなのに、燃費は軽自動車並み」というようなものです。AIを動かすためのコスト、つまり運用コストを大幅に抑えることができるため、これまで予算の都合でAI導入をためらっていた企業にとっても、現実的な選択肢になります。
多くの社員が同時にAIを使ってもシステムが安定しやすいというメリットもあり、まさにビジネスの現場で安心して使える設計になっています。
ポイント2:社内資料もお任せ!膨大な情報から答えを見つけ出す力
次に注目したいのが、「RAG」と呼ばれる機能の大幅な向上です。RAGとは、日本語で言うと「検索拡張生成」となり、少し難しい言葉ですが、要は「AIが外部の資料を自分で読んで、その内容を元に回答してくれる機能」のことです。
例えば、あなたの会社に分厚い業務マニュアルや、過去数年分の契約書のデータがあったとします。新人のスタッフが「〇〇の業務手順を教えてください」とAIに質問すると、AIがマニュアルの中から該当箇所を探し出し、分かりやすく要約して教えてくれる。あるいは、「A社との契約で、違約金に関する条項はどこにありますか?」と聞けば、瞬時にその条項を見つけ出してくれる。
こんなことが可能になるのです。これまでは社員が時間をかけて探していた情報をAIが肩代わりしてくれるため、業務効率は劇的に向上するでしょう。Granite 4.0はこのRAGの性能が非常に高く、複雑な社内文書からでも的確に関連情報を見つけ出すのが得意です。
ポイント3:まるでベテラン社員?長文もスラスラ理解する読解力
ビジネスの現場では、長い報告書や会議の議事録、お客様との長文のメールなど、たくさんのテキスト情報を扱いますよね。従来のAIは、あまりに長い文章だと途中で文脈を見失ってしまい、話のつじつまが合わない回答をしてしまうことがありました。
Granite 4.0は、この点も大きく進化しています。最大で128Kトークンという、非常に長い文脈を一度に理解できる能力を持っています。128Kトークンと言われてもピンとこないかもしれませんが、これは一般的なビジネス文書に換算すると数十ページ分にも相当する量です。
つまり、数時間に及ぶ会議の議事録を丸ごと読み込ませて、「この会議での決定事項を3つにまとめて」と指示したり、分厚い市場調査レポートから「私たちのビジネスに関連する重要なポイントだけ抽出して」とお願いしたり、といったことが高い精度で可能になります。
まるで、長年の経験を持つベテラン社員のように、物事の背景や文脈をしっかりと踏まえた上で仕事をしてくれる。そんな頼もしさを感じさせてくれます。
Granite 4.0は私たちのビジネスをどう変えるのか?
ここまでご紹介してきた特徴を考えると、Granite 4.0が私たちのビジネスに大きな変革をもたらす可能性が見えてきます。
例えば、顧客対応。過去の問い合わせ履歴や製品マニュアルをAIに学習させておくことで、お客様からの質問に対して、より迅速で的確な回答を自動で生成できるようになります。担当者の負担を減らしながら、顧客満足度を向上させることができるでしょう。
また、資料作成の場面でも大活躍しそうです。社内に蓄積されたデータを元に、説得力のある企画書や報告書のドラフトをAIに作らせる。人間は最後の仕上げやクリエイティブな部分に集中する。そんな働き方が当たり前になるかもしれません。
さらに、Granite 4.0は他のアプリケーションとの連携も得意としています。今お使いの顧客管理システムや会計ソフトとAIを連携させることで、これまで見えなかったビジネスの課題を発見したり、新たなチャンスを見つけ出したりすることも可能になるでしょう。
皆さんの会社では、どんな業務にAIを活用できそうでしょうか?日々のルーティンワークや、情報探しに費やしている時間などを思い浮かべてみると、具体的な活用イメージが湧いてくるかもしれません。
まとめ
今回は、IBMが発表した新しいAIモデル「Granite 4.0」についてご紹介しました。
- 高いコストパフォーマンスで導入のハードルを下げる
- 社内データ活用能力(RAG)で業務知識をAIに継承
- 優れた長文読解力で複雑な業務もサポート
これらの特徴を持つGranite 4.0は、特に私たち個人事業主や中小企業にとって、ビジネスを次のステージへ進めるための強力なパートナーとなり得る存在です。
AIの導入は、もはや一部の大企業だけのものではありません。「うちにはまだ早い」と思わずに、こうした新しい技術の動向にアンテナを張っておくことが、これからの時代を勝ち抜く上で非常に重要になります。
私も、皆さんのビジネスに役立つ最新のAI情報を、これからも分かりやすくお伝えしていきたいと思っています。AIを活用して、一緒にビジネスを盛り上げていきましょう。


監修者:岡田 直記
AIコンサルント / 「ナオキのAI研究所」所長
企業のAI活用を支援するAIコンサルタント。セミナーや法人研修、個人指導などを通じ、これまでに延べ100名以上へAI活用の指導実績を持つ。現在は、主に中小企業を対象としたAI顧問として、業務効率化や生産性向上を実現するための戦略立案からツール導入までをサポート。また、個人向けには月額制の「AI家庭教師」サービスを展開し、実践的なAIスキルの習得を支援している。
自身の「元大手営業マンでスキル0から独立した」という異色の経歴を活かし、ビジネスの現場目線と最新のAI知識を組み合わせた、具体的で分かりやすい解説が強み。AI技術がもたらす未来の可能性を、一人でも多くの人に届けることを mission としている。